田中 新吾

【書評】さかなクンの一魚一会 〜毎日夢中な人生!〜

タナカ シンゴ

今回は「さかなクンの一魚一会 〜毎日夢中な人生!〜」の「書評」を書きました。

東京海洋大学の客員准教授にして、名誉博士号。

キリン氷結のCMでは黒いスーツでスカパラと共演し、直近では、新元号「令和」の発表と同時にイラストを公開し話題を集めていた「さかなクン」の自叙伝。

この本が発売されたのは2016年ですが、今もなお評価され続けています。ちなみに、Amazonのレビューは、100%「星5つ」と圧倒的

この本の中でさかなクンは、自らの生い立ちから、小学生時代、中学生時代から現在まで、魚や生きもの達との出合い、友人達との出会いを赤裸々に語っています。

書籍の紹介文

どんな困難を前にしても、さかなクンは夢中であることをやめません。

魚との毎日をとことん楽しむさかなクンの生き方に触れると、この世界が喜びに満ちたものに思えてくるのではないでしょうか。

この本を読むと、何かを好きだった熱い気持ち、最後まで全力を尽くせずに投げ出したもの、さかなクンのように生きられなかった自分を省みることができます。

そして、ページをめくるたびに心が揺さぶられます

ハコフグ帽子と白衣の出で立ちに、甲高い声と大きなジェスチャーで魚の素晴らしさを伝え続けるさかなクン。

絶滅したと思われていたクニマス発見の偉業は天皇陛下にも言及され、東京海洋大学の客員准教授を務めるまでになったさかなクンの人生が、さかなクンの手によるかわいい魚のイラストとともに語られています。

そして、本文の漢字にはルビがついており、小さな子供でも楽しみながら読み通すことができるのです。

もちろん、大人も飽きさせません。

むしろこの本は、子供よりも大人が学ぶべきところの方が多いと言っても過言ではないと思います。

本書には、本当に何かを好きになることの苦しさ、そして、それ以上の楽しさが凝縮されているのです。

【要約】15個の抜粋ポイント

1.好きなこと、夢中になれる何かがあると、毎日がワクワクでいっぱいになります。「もっと知りたい。」と探究心が出てきます。そして、調べれば調べるほど「へえ、そうだったんだ!」「おもしろい!」と、感動や夢が広がり、自分の世界もまた、自然と広がっていくのです。

2.今までを振り返ってみるときっかけは友達の描いたタコの落書きでした。それから図鑑、お魚屋さん、水族館、海へと、どんどん世界が広がっていったのです。夢中になれるものがあると、それは心の支えにもなります。落ち込んだときにとても大きな力をくれます。

3.もし夢中になっているもの、大好きなことがあったら、ぜひつづけてみてください。好きなことを追い続けるのはすばらしいです。ひょっとしたら将来の道にはつながらないかもしれません

4.途中でスーッと気持ちが冷めてしまうこともあるかもしれないし、まったく別の道を歩むことになるかもしれません。それでもいいと思います。夢中になってひとつのことに打ち込んだという経験は、けっして無駄にはなりません。人生のどこかできっと役に立ちます。

5.もしお子さんがいらっしゃったら、いまお子さんが夢中になっているものが、すぐ思い浮かぶはずです。それは虫かもしれないし、ゲームやお菓子かもしれません。つい「もうやめなさい!」なんて言ってしまいたくなるかもしれません。

6.けれど、ちょっとでもお子さんが夢中になっている姿を見たら、どうか「やめなさい」とすぐ否定せず、「そんなに面白いの?教えて。」ときいてみてあげてください。きっとお子さんはよろこんで話してくれるはずです。その小さな芽が、もしかしたら将来とんでもなく大きな木に育つかもしれません。

7.母は、お魚に夢中な自分をいつもサポートしてくれました。じっくり観察して絵を描くために、お魚は一匹まるごと買ってくれ、休日はお魚がいる水族館や海に連れていってくれました。人への思いやりやマナーに関しては熱心な母でしたが、学校の勉強に関してはきびしく言いませんでした。

8.父は厳格でしたが、それでもお魚ばかりに夢中になることを止めることはありませんでした。そして、兄も毎日がタコ料理やお魚ばかりでも、文句ひとつ言わずいつもニコニコとおいしそうに食べてくれるのです。家族みんなが、お魚の道に進んでいく自分を今でも応援してくれています。

9.自分自身、お魚をおもしろい、好きだと思う気持ちに理屈なんてないのです。お魚ひとつひとつの姿形、色や模様、大きさや生態、そして味わい。どれも一匹づつみなちがう。それがお魚の持つ魅力なのです。

10.いつも自分が、お魚を見たときに「わあ!かわいい。色がキレイ!」とうっとりしたり、お魚の固有の動きや特徴を見て「ギョエ、なんだこれ!おもしろい!」と思っているのを、そのまま素直に出してみたら、それがいちばん伝わるんじゃないか。

11.なにも上手に伝えられなくてもいい。自分で感じたワクワクや感動を、そのまま体全体を使って表現するだけで、もしかしたらわかってもらえるんじゃないだろうか。

12.夢は言葉にするとかなう気がします。心の中で思っているだけじゃなく、言葉にしたり絵に描いたり、表現することがとても大事な気がするのです。その思いが、夢を現実へと近づけてくれるのだと思います。

13.自分にとってのゴールがいったいどこなのか、それは自分自身でもよくわかりません。決めるところにすら、まだ達していないと思っています。ただこれだけは強く思います。これからも、もっともっとお魚を描いていきたい、たくさんのお魚と出会いたい。これから先もずっと、さかなクンとして生涯現役でいたい。

14.絵には、言葉がちがう世界中の人にも伝える力があります。そして時として、絵をみた人の人生を大きく変えてしまう力もあります。自分も同級生の描いたタコの絵で人生がガラリと変わりました。

15.「おもしろい!本物をみてみたい、食べてみたい!」と思っていただけるようなお魚の絵を、いつも描いていたい!これが自分の思いです。絵を通して、もっともっとお魚の世界に興味を持っていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

【実践】3個の行動ポイント

1.好きなこと・夢中になれることがあると、毎日ワクワクすることができる。

2.夢中になっていたことから、気持ちが冷めてもそれは無駄にはならない。

3.夢は言葉にするから、その思いが現実へと近づけてくれる。

感想まとめ

読んで良かったんで、めちゃくちゃ人にも薦めています。

「夢中」は、個人的にも非常に興味をもっている言葉でして、「ある程度コントロールして夢中を作ることができるのではないか?」といった仮説を持っていたので、本書はこの仮説精度を上げることにもつながりました。

夢中と聞くと「孤独」と思う人もいるかもしれませんが、それは違うと私は思います。

なぜなら、最初は自分の物差しで満足していたはずなのに、いつしかそこには他者が現れ、より大きな喜びに変わっていることがあるからです。

本書の中にもこういうシーンがあります。だから、夢中であることは孤独であることではありません。

ちなみに、好きで「夢中になれること」と、好きかどうか別にして「無理なく続けられること」の両方をもてている状態は、精神的にとても豊かなのではないかと考えます。

この記事を通じて、一魚一会に興味をもった方がいましたら、ぜひ読んでみて欲しいです。

それでは今日はこの辺で。

いつもこのブログを読んでくださっている方々にとって、何かしらの参考になったら幸いです。

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