田中 新吾

スローガンとは、時代や社会に合わせて変化する企業やブランドの声。

タナカ シンゴ

最近、仕事で「スローガン」をつくることがあったので、今回はスローガンに関して、今の自分の考えを書き残しておきたいと思います。

インターネット検索をすると「ブランドに関する情報を伝達する短いフレーズのことをいう」などとでてきますが、これに自分の考えをもう少し補足するような感じです。

好きなスローガン「森は海の恋人」

ご存知の方もいるとは思いますが、僕は「森は海の恋人」というスローガンが好きです。

これは、NPO法人森は海の恋人の畠山重篤さんが考えられたもの。

畠山さんは、漁師が橅(ブナ)や楢(ナラ)を流域に植樹する活動を30年も前から進めていて、これを「森は海の恋人」というスローガンとして世に広めた方です。

2年前に森は海の恋人の拠点となっている気仙沼、舞根森里海研究所を訪れた時に、このスローガンにまつわるエピソードを具体的に聞くことができました。

一般教養として、降った雨は山に蓄えられ、それがやがて川を伝って海に流れていく自然界の仕組みは、誰もが知っているので「森は海の恋人」と聞けば「あー確かにそうだよな」となりやすいです。

また、自然の関係性を「恋人」という親近性の高いワードを用いて表現しているのもいいです。それに、実はこの森と海の関係性は、「科学的」にも証明されているものらしいですね。

ちなみに、英訳版のスローガンもあります。

The forest is longing for the sea,The sea is longing for the forest.

ここに出てくる「long for」という熟語は、「好き」とか「愛している」のもっと強い言葉であるとともに、「慕う」という意味ももっています。すなわち、この英文は、森と海は「相思相愛」であるということ表しています。

この英文スローガンは、以前皇后陛下に「森は海の恋人」を英訳するにはどうしたらいいか、といったご相談をした時に、アドバイスしてもらった熟語ということでした。

「lover」などとチープな単語は使わずに、その関係性を最も表現できる英語を探し続けた結果、皇后陛下からのアドバイスに至ったというエピソードは、僕の胸を強く打ったのを今でも覚えています。

時代や社会に合わせて変化する企業やブランドの声

先に、スローガンは「ブランドに関する情報を伝達する短いフレーズのことをいう」と述べましたが、「森は海の恋人」はまさにお手本のようなスローガンと言っていいでしょう。

でも、スローガンの意味というのは、実はこれだけでは不十分だと思っています。

なぜなら、時代や社会というのはものすごいスピードで変わっていくから。そして、それに合わせるような形で、人の価値観もものすごいスピードで変わっていくからです。

なので、スローガンとは、短いフレーズであることに加えて「時代や社会に合わせて変化する企業やブランドの声」という意味を加えておくべきだと考えています。

また、スローガンというのは、ブランドのコンセプトと「世の中の接点」でもあり「サービスやプロダクトの利用意向を高めるもの」でもあります。

この辺りを意識してスローガンをつくることが、非常に重要なことだなと改めて思ったので、このタイミングで書いておこうと思ったんです。

さいごに

ちなみに、100%オーガニックコットンのタオルメーカー「IKUCHIORGANIC」のスローガン「(創業創業120年の)2073年までに、赤ちゃんが食べても大丈夫なタオルをつくる」もとても好きです。

参照:お客さんの大満足は「顔が見える関係づくり」から。

自分自身が掲げている「世界にいい顔してるを増やす」は、今はまだスローガンとコンセプトの両方を兼ねている感じなので、個人的にはもう少しコミュニケーションデザインをしていきたい気持ちでいます。

それでは今日はこの辺で!

いつもこのブログを読んでくださっている方々にとって、何かしらの参考になったら幸いです。

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