田中 新吾

誰かにとってのゴミが誰かにとっての宝に。

タナカ シンゴ

今日は一つご報告があるのでそれについて書きたいと思います。

ご報告

今年の3月にpolcaで開発費の出資を募ったプロダクトがようやく完成しました!

参考:新しい形のリサイクルを作りたい!!!

そしてそのプロダクトがこちら。ドン!

polcaの達成が今年の3月で、プロジェクトがスタートしたのがその一ヶ月後の4月末。

そして発表したのが11月末なので、半年以上かかってしまいました。お待ち頂いていた皆さんには心から「大変お待たせしました!」と言いたいです。

でも、実稼働に直すと多分1ヶ月くらい。検討していたことがダメになったりと色々ありましたがもっと重要なコンセプトを実は裏に設けていました。これについては長くなりそうなので別の機会に書きます。

開発プロセスを一部公開します

完成品だけ見ても面白くないと思うので、経てきたプロセスを一部公開してみます。

今回、この自由研究的なプロジェクトに付き合ってくれているパートナーはゑ藤隆弘さん。実績・実力はさることながら人柄も大変良いグラフィックデザイナーで今までも仕事で何度かお世話になっています。ゑ藤さんのポートフォリオもあるので是非覗いてみて下さい。

参考:STUDY LLC.

01 – ステッカーからタグに変更しました

プロジェクトスタート後、早速、当初予定から変更がありました。polcaの通り、元々は「ステッカー」を手持ちの透明ゴミ袋に貼ってもらうことを想定していましたが、ステッカーから「タグ」に変更することにしました。結びのところにタグを付けてもらう想定です。

理由は、ステッカーだとゴミ袋がくしゃっとしているため貼りづらい。貼りづらいだけでなく見えづらい時もあるかも。などを想像したからです。

タグであればステッカーと同じくらいの手間で取り組めるし、ステッカーで懸念されたことが起こる可能性は低くなるだろう。けれど、ステッカーよりも視認性や訴求性は失われるかもしれない。ここはデザイナーと相談をしながら「デザイン」で解決をしていこうという話になりました。

02 – 呼び名を作ることにしました

最初は僕の小さな仮説であり、社会実験・自由研究とはいえ、目指すところは製品化と地域への定着です。だから、完成形や使ってくれる人たちのことを想像すると「呼び名」の必要性を感じました。

呼び名=プロジェクトネームです。社会人における「クールビズ」のように「呼び名で共通の認識が持てる」そんな名前が付けられたらいいなと思いました。老若男女、恥かしがらずに呼んでもらえるそんな名前です。

03 – 呼び名の候補を考えました

製品名やれブランド名やれプロジェクト名やれ、仕事として考えるのを受けることもあって、この手のものを考えるのはとても好きです。得意かどうか分かりませんが、時に気に入ってもらえるものが出せるようです。

いつものように候補を書き出し検討をしました。

・ご自由にどうぞ
・どうぞ
・take it free
・私のゴミが誰かの宝に
・Someone’s trash to Someone’s treasure
・誰塵誰宝
・ST to ST
・ST2ST
・どうぞどうぞ
・トラトレ
・TTT
・3T
・DOZO
・STTST
・もっていってください
・もっていっていいよ
・モッテテイーヨ
・フェニックス
・バトン
・ループループ
・Knot
・惣材(SOUZAI)
・ゴミ+
・ゴミフル
・OSO
・SOSではない

などなど。この中でピンときたものが一つありました。やっぱりダメなアイデアが続かないといいアイデアは出ませんね。

それは、「ゴミ+」と書いて「ゴミタス」と読むネームです。

理由は、プロジェクトのコンセプトが「誰かにとってのゴミが誰かにとっての宝になる」なので、ゴミでは無いから「ゴミ+」、「+」がそれをみた人にとっての宝なのよ、という意味を表現できそうだからです。

「ゴミと勘違いされる」ことを上手く使い、注意を引くこともできそうです。ゴミで「参照」させ、プラスで「違い」を認識させるという考え方です。

Frame of Reference(参照フレーム)、Point of Difference(差別化ポイント)については下記ブログに分かり易く書いてあるので参照ください。

参考記事:マーガリンはなぜ黄色いのか?

あと「ゴミ+」はロゴにしてもいい感じなのができそうかも?とここまで考えて、ゑ藤さんへ思考の一部始終をパス。

客観的な意見をもらいました。

04 – 呼び名が決まりました

ロゴをデザインする視点から見ても印象が強いものになりそうですね!「ゴミ」という単語がやはりドキッとしますし造語よりも伝わるものがあります。

もしよければロゴを少しずつ作りましょうか。
形にしてみるとまた何か発見があるかもしれませんので。

このようなフィードバックをもらい「ゴミ+」に呼び名が決まりました。

05 – ロゴデザインをしました

呼び名が決まったあとは、ロゴデザインの検討をしました。

「ゴミ+」という文字列はすべての造形要素を「水平線」と「垂直線」で構成することができるため、ロゴをデザインするには非常に都合が良いネーミングということ。

よって、既存フォントを調整するのではなく、 最初から作字を進めることになりました。まずは、できる限りシンプルな造形にするために、5×5と7×7の正方形グリッドを利用して作字と検討を進めました。

ただ、この時点では結果として「ゴ」が読みにくいというのが問題点としてあがりました。また意味的に「+」が重要なのですが 「ゴミ」に対して小さく見えてしまうのも改善として見えてきました。

次に「コ」と「ミ」を4×5マス内に収まるようにして、+とのバランスが取れるようなものを考えました。濁点部分を工夫して、可読性を保とうとしたのですが、 左のa図だと「ゴ」が 「ナ」 に見えかねないため、 さらに調整をしてb図のように変更しました。

最終的には「タグ」にレイアウトすることになるので、横1行よりも正方形型に組む方が大きく配置できて都合が良いかもしれないとなり、その際にはアルファベットで「ルビ」を入れてもいいかもという話になりました。「ゴミ+」は「ゴミプラス」 と呼ばれる可能性もあるので、ルビは効果的ということで。

僕もゑ藤さん、両名同意の上、ロゴに関しては概ねこの方向でいくことになりました。

最終的にはタグ全体とのレイアウトにはなるが、タグのデザインもある程度は形になってきており、具体的な利用シーンなどを想定しながら「袋」のチョイスなどを並行して行おうと話しました。

06 – タグデザインをしました

まず、ロゴをタグに配してゴミ袋につけてみました。形状はホテルのドアにかける 「do not disturb」に近い形です。タグの裏に使用方法など情報が入るイメージで。

色はしっかり目立つように蛍光イエローに黒文字を考えました。大きな問題点として、ゴミ置場に普通ゴミと並んだ時にリサイクルできるモノには見えにくいということ。タグの大きさだと限界があるので、もっとパッと見た時に識別できる明快な差が欲しいと感じました。

そして、ここから「どうしたらより良いタグになるだろうか?」「どうしたら使いたくなるだろうか?」「どうしたら中にあるものを取り出す気持ちになるだろうか?」と時間をかけて何度も協議を行いました。

その結果できたのがこれです。

ここまでこれたのは紛れもなくゑ籐さんというスーパー優秀なデザイナーがいたから。この場を借りて感謝を申し上げたいです。

本当に仕事が丁寧でこちらの意図や要望を隈なく汲み取ろうとしてくれるだけでなく、それでいてユーザー目線も抜けていません。舌を巻くことが多く、このプロジェクトを通して僕自身いろんな気づきを得させていただきました。

ゴミタスの今後

twitterで簡単に報告をしたところ、早速ありがたい言葉を頂戴しています。

polcaの事業責任者の山田さんから嬉しいリプをもらったり。

https://twitter.com/NEdamoto/status/1069060752365903872

すぐに「使いたい!」と言ってくれる方も出てきています。いやもうすでに涙がちょちょ切れそう。

ゴミタスの今後ですが、何かイベントを企画してその参加権を出資者には渡そうと思っていたのですが、随分と時間もかかってしまったので、出資いただいた方には特別にサンプルとしてお送りさせていただくことにしました。

これからDMなどで順次発送先を聞きつつ送付準備をして行きます。お会いできる人にはお会いをして直接手渡しをしたいと思っています。

そして、受け取ってくれた方には是非モニターになっていただきたいです。使用感などをフィードバックいただけたら泣いて喜びます。それらを踏まえて今後の展開を考えていきたい。

当然、ここからブラッシュアップすることも考えていますし、もしかしたらこのままで販売させていただくかもしれません。BASEなんかでショップとか作るイメージもあります。

このプロダクトの根底にある想いは、これをきっかけに「気持ちが少し前向きになる人が増えたらいいな」です。直接言葉を交わすことはないかもしれないけれど、ゴミタスを介して「ちょっとほっこりするエピソードが生まれた」みたいな感じです。

経済活動の本質はコミュニケーションを増やすこと。いつの間にかお金を増やすことが主になってしまいましたが「それって本当?」みたいな問いにもなったら尚嬉しい。

ということで、年末年始はこちらの準備と発送に勤しむことになりそうです。実は今のタグは手動で作る感じになっているんですよね(笑)出資いただいた皆さまはもう少しお待ちいただければ嬉しいです。

また「我こそは使ってみたい!」という方がいましたら、現在サンプル配布を受付中なので直接DMなどでご連絡をいただけたらと思います。

田中新吾のツイッターはこちら

さいごに

ここまで書いて文字数を見て見たらなんと4,000字を超えてました。

このブログ史上最長です。自分自身驚きました。

「制作に時間をかけたこと」など、このプロジェクトについて考えていたこと、感じたことは幾つかあるので、それはまた別の機会に書いてみたいと思っています。

そういえば、今日したこのツイートはゑ藤さんを思い浮かべてツイートしました。

僕ももっと行動を起こしていこうと思います。

それでは今日はこの辺で。

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