田中 新吾

昔「仕事が速い人は、仕事に取りかかるのが速い」という話を知人にした時のこと。

タナカ シンゴ

今からは7年くらい前のことになるが、知人との間で「仕事が速い人」についての話で盛り上がったことがあった。

その知人によれば、自分は仕事が遅く、残業が多いのが悩みということだった。

話の流れで「何か工夫はしているのですか?」と私が尋ねると、

「タイムマネジメントのアプリを使ってみたり、仕事の優先順位を明確にするためにToDoリストを作成するなど、いくつかの方法を試していますが、あんまり上手くいっていないんです。」

「仕事の効率化についていくつかの本を読んだりもしています。」

と返ってきた。

本人の口ぶりからも現状を改善しようと努力していることはよく伝わってきたが「上手くいっていない」のであれば、未だに努力は報われていないのだろうと私は思った。

そんな知人に対して私は以下のようなことを伝えた。

「前に人から教わったことではあるんですが、仕事が速い人って、仕事の作業そのものが速いというよりも、仕事にとりかかるのが速いんですよね。」

「この教えが自分にはめちゃくちゃ腹落ちしたのでいつも強く意識してます。」

「仕事が発生したらあれこれ考えずに少しでもいいから素早くとりかかる。」

「とりかかりさえすれば面倒くさいなーと思っていたような仕事も前に進む。少しづつでも前に進むから結果的に進む。とりかからずに悩んだりしている時間が仕事を遅くしているのかなと思うんです。」

この話を聞いた知人が、非常に納得がいったような顔をしていたのが強く印象に残っている。

そして、早速翌日から私が意識しているように「仕事にとりかかるスピードを速くする」ことに注力してみる、と言い放った。

今なぜこんな昔の話をしているかと言えば、最近になってその知人と久々にコミュニケーションをとる機会があり、この時のことをよく覚えてくれていたからである。

そして、とても嬉しかったのは「あの時教えてもらった、仕事にとりかかるスピードを速くすることが、仕事のスピードを速くするという話、めちゃくちゃ役に立ちました」と言ってもらえたこと。

以前とは違い、仕事も順調に進んでいるということだった。

ちなみにこの手の話は何も私だけが言っているわけではない。

そもそも私も昔お世話になっていた方から教えてもらったことであるし、以下の本にも類似したことが書かれていた。

時間あたりの生産性を上げるには、行動そのもののスピードを上げるよりも、行動に移るまでの時間を短縮するほうが効果があります。

思いついたら即行動、ができないのは、たいてい不安になって自分の中で対話を始めてしまうからです。

「あれで本当によかったのかな?」「もっと別のやり方があったんじゃないかな?」とつい心の中で対話を始めてしまうと、次の一歩を踏み出すのが難しくなります。

本書を私が読んだのは4年前くらいになるのだが、まさに我が意を得たりということで自分が実践してきたことにより強い確信を得ることにもなった。

最後に、仕事にとりかかるスピードを速くする「おまじない」を一つご紹介したい。

1分着手」というものだ。

嘘だと思う人もいるかもしれないが、このおまじないを唱えるように日々の仕事をしていると、今までよりもずっと仕事のスタートを速めることができる。

この「1分着手」という考え方を知り、私が身につけたのは昨年の後半頃のことだ。

それまでは前述のとおり「仕事が速い人は、仕事にとりかかるのが速い」という考え方に則り仕事のスタートを速める努力をしていた。

しかし、このような経験があったからこそ「1分着手」と完璧にネーミングされた考え方が急所に入り、その威力を強烈に感じることができているのだろう。

思うに、多くの人を「仕事が速い人に変える」遥かに大きなポテンシャルのある言葉だ。

1分着手」について詳しくは、以下の本の中で「先送りゼロの新習慣」の一つとして提案がなされている。

少しだけ該当箇所を引用してみたい。

何よりも大事なのは、1分着手を習慣にすると、どんなことにでも早めに手をつけられます。

先送りグセのある人はどうしても現実逃避に時間を使ってしまって、ギリギリまで仕事やプロジェクトを始められないのです。

「1分着手」を身につけることで今までよりもスタートをずっと早められるでしょう。

1分着手ルールとはつまり、「終わらせる」より「始める」に集中する発想です。

その結果、「なるべく早く手をつけて、少しずつ進める」のが可能になります。これこそが仕事を進めるゴールデンルールなのです。

この部分を読んで、もし興味を持たれたら是非本書を手に取ってみていただきたい。

「1分着手」のみならずきっと驚きの発見が多数あるはずだ。

もし、20代の頃にこのおまじないに私が出会っていたら今とは違う人生を歩んでいたのかもしれないなと思ったりする。

UnsplashKelly Sikkemaが撮影した写真

【著者プロフィールと一言】

著者:田中 新吾

プロジェクトデザイナー|プロジェクト推進支援のハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)|タスクシュート(タスクと時間を同時に管理するメソッド)の認定トレーナー|WebメディアRANGERの管理人(https://ranger.blog)|「お客様のプロジェクトを推進する歯車になる。」が人生のミッション|座右の銘は積極的歯車。

●X(旧Twitter)田中新吾

●note 田中新吾

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