時間的豊かさは、「クロノス時間 × カイロス時間」によってできる「面積」という話。
私が最近よく考えるようになったことは、時間的豊かさというのは、「クロノス時間 × カイロス時間」の「面積」で決まる、というものです。
クロノス時間とは、客観的で計測できる時間のこと。
時計の針が示す時間、つまり1時間は60分、1日は24時間という絶対的な時間を指します。
一方、カイロス時間とは、主観的で質的な時間のこと。
意味や感情に満ちた時間、つまり「人に訪れる時間」を指すものだと理解しています。

そして、この2つの時間を掛け合わせた面積のでき方によって、「時間的豊かさ」の感じ方が変わってくるのではないか、ということです。
こんなイメージ。

同じ2時間でも、面積は全く違う
例えば、同じ2時間の会食でも、人によって感じ方が全く違いますよね。
「あっという間」に感じる人もいれば、「永遠に感じる」人もいる。
この違いは、クロノス時間(2時間)は同じでも、カイロス時間(主観的な質)が大きく異なるから。
私の最近の体験を少し話すと、ラジオの中でも話したのですが、学生時代の友人4人とご飯に行った時、久々にお腹が痛くなり、声が出なくなるほど笑ったのですが、この時間が非常に良質でした。
同じ2時間でも、笑う回数や笑いの質によって時間の感じ方が異なるというのは最近の大きな発見です。
これは、カイロス時間が大きかったからこそ、クロノス時間との面積が大きくなり、結果として大きな「時間的豊かさ」を感じることができたのだと思っています。
ちなみに余談ですが、今までの人生で「えーっ!!!!👀」って一番驚いた漫画やアニメのシーンはどこ?というお題については、満場一致で「ハンターハンターのカイト死す」でした。

面積を大きくするための実践的な5つの方法
では、この面積を大きくするためにはどうすればよいのか?
私が実践している方法を5つご紹介してみたいと思います。
1. 時間記録を取る
まず、クロノス時間の記録を取ることは確実に大事です。
理想は使途不明時間をゼロ。
クロノス時間が計測されていないということは、それはゼロと同じわけですから掛け算しても面積はできませんよね。
時間記録を取るようになると、時間が盗まれるという感覚も減じられる。
私はタスクシュートを使っているため、ほぼ使途不明時間ゼロ日々を送ることができています。
2. 現在やっていることを意識する
次に、カイロス時間を意識する方法について。
これは経験的に思うに、現在やっていることを意識すること、そしてそこに没頭することががめちゃくちゃ重要です。
没頭については、ありひとさんの記事が大変参考になります。
過去のことや未来のことばかり考えていると、現在感じることができるはずの時間はどんどん圧縮され、時間を短く感じてしまいます。
また、シングルタスクにすることも大切だと思います。
マルチタスクは収穫を焦ることにつながり、時間を短く感じさせてしまうためです。
目の前のタスクの実行にフォーカスし、結果を手放してプロセスに集中する。
これが、カイロス時間を大きくし、面積を大きくする秘訣だと思います。
3.定性的な記録を残す
時間の質を高めるためには、単に「何をしたか」だけでなく、「その時に何を感じたか?」「どんな気づきがあったか?」といった定性的な情報も記録しておくことが大切です。
これは先日行われた、以下のイベントにてタスクシュート開発者の大橋さんも言っておられました。

大橋さん曰く、定性的な記録を取り続けると以下の二つのメリットが生まれます。
・自らの価値観の醸成:自分が何に重きを置いているのかが明確になる
・感情回路の構築:決断を下す際の拠り所となる
この二点、首がもげるほど頷きました。
「集中できた」「楽しかった」「退屈だった」「新しい発見があった」などの切り口で、主観的な感覚や印象を自分の言葉でしっかり書き留めておくことで、自分にとって価値のある時間や逆に消耗してしまう時間が見えてきます。
このような記録を続けることで、どんな活動が自分のカイロス時間を大きくしてくれるのか。
逆にどんな時に時間がカイロス時間を小さくしてしまうのかを客観的に振り返り、捉えることができます。
私の場合、定性的な記録は1日の最後にObsidianのデイリーノートに残すようにしています。
4. バイネームで誰かを意識する
この習慣を続けていて、あらためて気づくことがありました。
デイリーノートに残る定性的な記録の多くは、「誰かと一緒に過ごした時間」「誰かのために何かをした時間」「誰かに何かをしてもらった時間」、そんな“誰か”が関わる瞬間ばかりなのです。
逆に、それ以外の時間はどうでしょう。
印象が薄く、振り返ってもなかなか思い出せません。
2年近く前に、以下のような投稿したことがあったのですが、「カイロス時間は人を通してしか実感できない」ということなのかなと今は思います。
時間的豊かさは人を通してしか理解できない。
— タナカシンゴ(ハグルマニ / 命名創研 / 栢の木まつり) (@tanashin115) December 18, 2023
ゆえに、重要なのは仕事にしても生活にしても、できる限りバイネームで誰かを意識すること。
打ち合わせやグループセッションでは嫌でも誰かのことを意識しますが、そういう場合じゃない時も、バイネームで誰かのことをできる限り意識することがカイロス時間を大きくすることに繋がると考えています。
そうすることで結果的に面積は大きくなる。
5. 「時間」の過ごし方ではなく、「時間」との過ごし方を考える
先月のユタカジンにも書きましたが、最近の私の個人的なテーマ・ブームは「時間と踊る」という意識を持つことです。
これを意識することで、
- 収穫(成果や結果)を焦り、急いで物事を進めようとしてしまう
- 今まさに行っていること(イマココ)に意識が向いていない
- 体調が悪かったり疲れていると、つい1や2の状態に陥りやすい
といった「時間を短く感じてしまう要因」をやらないようになっていく。
ここでの時間というのは「カイロス時間」のことを言いたかったのだと今思います。
「時間」の過ごし方ではなく、「時間」との過ごし方を考える。
私見ではありますが、このような意識の転換こそが、カイロス時間を大きくする鍵になると考えています。
まとめ
以上をまとめます。
- 時間的豊かさは、クロノス時間(量)とカイロス時間(質)の掛け算=「面積」で決まる
- 同じ2時間でも、感じる豊かさは大きく変わる。質が高ければ面積は広がる
- 面積を広げるカギは、量を測り、質を育て、振り返りで次に活かすこと
今日から実践できることは5選。
- 時間記録で使途不明時間をゼロに近づける(面積の土台=クロノス時間を確保)
- 今やっていることに没頭し、シングルタスクで進める(カイロス時間を拡張)
- 1日の終わりに定性的な記録を残す(感情・気づき・発見を言語化、カイロス時間のポイントを見つける)
- バイネームで人を意識する(人を通してカイロス時間は実感できる)
- 「時間の過ごし方」ではなく「時間との過ごし方(時間と踊る)」を選ぶ(結果よりプロセスに意識を置く)
私たちが手にできる時間的豊かさは「長く・深く」生きたと感じられる時間の総量です。
だからこそ、時計の針を管理しつつ、心の針を震わせる。
量と質の両輪を回し、面積を一日一日ていねいに広げていく。
その積み重ねが、後から振り返ったときに「豊かな時間だった」と言える人生の形をつくるのだと思います。
今回のお話が何かの参考になれば幸いです。
UnsplashのDaniele Levis Pelusiが撮影した写真
【著者プロフィール】
著者:田中 新吾
私も命名を仕事にするものとして、この真実は常に頭に留めておきたいと思っています。
◼︎ハグルマニ / 命名創研 代表 大企業様
中小企業様、ベンチャー企業様、NPO法人様のプロジェクト推進に必要とされる「歯車に」なったり、「#名前座」の構築によるブランディング支援をしたりしています。
◼︎#栢の木まつり 実行委員会 委員長(地域づくり事業@入間市宮寺)
◼︎タスクシュート認定トレーナー
◼︎Obsidian×10X情報処理

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