田中 新吾

高級ヘアドライヤーの購入で、あらためて「消費者行動モデル」について考えた。

タナカ シンゴ

先日、私は思い切って高級ヘアドライヤー「レプロナイザー」を購入しました。

このドライヤーについては、以下の記事でも少し触れています。

これまで使っていたドライヤーに特に不満があったわけではありません。

髪は乾かせるし何か問題を感じていたわけでもない。

しかし、上記ブログにも書きましたが、義母が持っていたレプロナイザーを使わせてもらった翌朝、髪質の劇的な変化に感動したことが、私の購入の決め手となりました。

その翌日には自分用にレプロナイザーを注文し、今日まで使い続けて2ヶ月が過ぎましたが今は心からその効果に満足しています。

以前のドライヤーにはもう戻れません。

そして、この体験を通して改めて消費者の行動モデルについて深く考える機会を得ました。

その結果として、行動は偶然から生まれるものではなく、明確な条件(動機、きっかけ、能力の3つ)が揃った時に発生する、という確信を今あらためて強めているところです。

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B=MAP

これは行動心理学のフレームワークで「フォッグ式消費者行動モデル(Fogg Behavior Model)」と言われるものです。

スタンフォード大学のBJ・フォッグ博士が提唱したからフォッグ式と呼ばれています。

私がこの存在を知ったのは2017年まで遡ります。

こばかなスケッチで知りました。

このフレームワークが私に教えてくれたのは、人が行動(Behavior)を起こすとき、それは「なんとなく」や「偶然」で生まれているわけではないということです。

そこには明確に3つの条件が存在する。

これが揃わない限り、どれだけ頑張っても人は動いてくれないのです。

具体的には、

・動機(Motivation):「やりたい」「そうなりたい」と人が思う気持ち

・能力(Ability): 行動のしやすさ・実行可能性。手間・お金・時間・難易度のハードル

・きっかけ(Prompt): 行動を促す合図やタイミング

だから、B=MAPです。

例えば「ジムに入会する」という行動をする人は、

・動機:「健康になりたい」「痩せたい」

・能力:家の近所に通いやすいジムがある、月会費が払える

・きっかけ:「今だけ入会金が無料」という広告を見た

といった具体です。

そして、この度のレプロナイザーを購入するという行動においてもまさにB=MAPに当てはまっている、と思いました。

・動機
「髪を大事にしたい」「髪を美しくしたい」「日々のヘアケアを楽にしたい」という望みがありました(この望みの背景にはあるのは恐らくボディマネジメントに取り組んでいるから)。
義母のレプロナイザーを使わせてもらった際の「髪質の変化」という明確な体験がこの動機を強く具体化しました。

・能力
効果なドライヤーを購入できる経済的な余裕がありました(ポイントも結構溜まっていた)。
また、オンラインストアでの購入方法や製品情報へのアクセスも容易でした。

・きっかけ
義母のレプロナイザーを何気なく使わせてもらった実体験が、まさに決定的な「きっかけ」です。
今回購入するまでに他人の評価やSNSの情報は一切触れていません。
自分自身の五感で感じた効果が何よりも強力なトリガーになった感じです。

これら三つの条件が揃ったからこそ、私の「購入する」という行動は実現したのだと思っています。

どれか一つでも欠けていたら、おそらく購入には至らなかったでしょう。

例えば、いくら欲しくても(動機があっても)購入するお金がなければ(能力がなければ)買えません。

お金があっても(能力があっても)レプロナイザーを知らなければ(きっかけがなければ)検討すらしないはず。

また、きっかけに恵まれ、能力もあるけれど、そもそも「髪を大事にしたい」「髪を美しくしたい」「日々のヘアケアを楽にしたい」などの動機が微塵もない、引き上がっていなければ「購入する」という行動には至っていなかったと思います。

2025年の今になってあらためてB=MAPのフレームワークの重要性を認識した次第です。

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さらに、誰かに行動(購入、申込み)をしてもらいたいけれど、なかなか行動に移してもらえないという状況があった場合に考えていくべきことも、明確に整理された感じがします。

つまりは、「なぜ動いてくれないのか?」の答えは、この3つのどこが欠けているかを見直せば見えてくるということ。

例えば、私がレプロナイザーのマーケティング担当で、見込みのお客様に高級ドライヤーを買ってもらたいと思っている。

けれどもなかなか買ってもらえないという状況があったとします。

この場合、

・「動機」が弱いと思うなら → レプロナイザーの魅力・レプロナイザーよって得られる未来、便益や独自性をより伝える

・「能力」が不足していると思うなら → リスクの低さ・毎日使うものだから日で割れば大した額ではないなどを訴求する

・「きっかけ」が足りないと思うなら → 期間限定・季節性・SNSでの口コミ・キャンペーンなどのフックをつくる

といった切り口で考えを深めていくと行動モデルの欠けている部分が埋まり、行動を起こしてもらえる可能性が高まっていくわけです。

そして、このフォッグ式消費者行動モデルはB2C商材に限らず、B2B商材にも同じく当てはまる。

自分の行動を分析する際、また誰かの行動を促したい際にかなり役立つフレームワークなので自分の中の引き出しからすぐに取り出しておけるようにしておきたいと思います。

UnsplashGiorgio Trovatoが撮影した写真

【著者プロフィール】

著者:田中 新吾

B=MAP、本当によくできたフレームワークだと思います。

◼︎ハグルマニ(プロジェクト支援事業)
大企業様、中小企業様、ベンチャー企業様、NPO法人様のプロジェクトを動かす「歯車」となっています。
◼︎栢の木まつり実行委員会(地域づくり事業)
◼︎タスクシュート認定トレーナー(タスクシューターを支援する事業)
◼︎命名創研(名前座考によるブランディング事業)

●lit.link 田中新吾

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