計測と記録の習慣で「鏡」を様々に作り、そこに映る自分を見つめて観察する。
最近、1年半ぶりくらいに以下の本をパラパラと読んでいました。
「科学の力で元気になる38のコツ」
著者である堀田秀吾氏の本は「考えすぎない人の考え方」という本の方が売れているので、そちらで知っている人は多いかもしれません。
堀田氏の本は、科学的な見地に立った「へーそうなんだ」と思うような話の展開が特徴です。
「科学の力で元気になる38のコツ」には例えば、以下のような話が掲載されています。
・身体が先で、そのあとに脳は考える
・手足の動きは表情よりもさらに優位に感情を動かす
・20分〜30分のマイクロスリープで能力が睡眠前よりも34%向上する
などなど。
いずれも非常に興味深く、実際に私も試しているものは複数あります。
ただ、今回の記事で書きたいのは上記のような科学的な見地の紹介ではありません。
それよりも書きたいことは、私があれこれと考えていた事柄を一つに繋げてくれた言葉との出会いについてです。
その言葉は以前目を通した時には、読み飛ばしたコラムの中にありました。
計測、記録、観察という複数のキーワードが「鏡」という言葉で繋がった
以下で、本書より該当のコラムを引用してみます。
鏡を見ることは大切
社会人の「鑑」などというように、立派な行動をしている人を「鑑」と言いますが、自分の行動を社会的に望ましいものにする方法、それは実際に(漢字は異なりますが)鏡を意識して生活することです。
街を歩いているときにふと自分の姿が鏡やショーウィンドウに映ると、自分の姿をチェックすると思います。
そのときの意識を「自己意識」というのですが、自己意識とは、要は自分に向けている注意のことです。
この自己意識が高まると、人はふるまいを洗練させていくことができます。
さて、いかがでしょうか?
自己意識?なんだよく聞く話じゃないか!と思った人もいるかもしれませんが、パラパラと本を読んでいた私は、この部分を読んだときに大変にハッとさせられたのです。
というのは思うに、ここ最近「観察(モニタリング)」について考える機会が多かったからかと。
観察(モニタリング)について、考える時間が増えたキッカケは、2024年7月28日に行われたタスクシュートジャーニー6thというオンラインイベントです。
「書く瞑想」の著者で、ゲストスピーカーだった古川武史さんのお話が私には非常に刺さりました。
このイベントへの参加をきっかけにして、古川さんが提唱されるメソッドの一つ「放電充電ログ」を毎日取るようになったことは、個人的な最近のハイライトと言えるでしょう。
そして、古川さんのお話を聞いた後、私の頭の中には以下のような考え方や話が、芋蔓式に湧いて出てきていました。
*
・経験的に「セルフコントロール」をしようとすると上手くいかないけど「セルフモニタリング」をしようとすると上手くいきやすい。
・自分が今どこにいるのかが分からないと、どこに向かって進んだらいいのかが分からないのと同じように、今の自分の状況が分からないと、次の一歩はどうしたって踏み出しづらい。
・FACTFULNESSの著者ハンス・ロスリングの本の中での主張『現状をきちんと把握することで生産的で役に立つ世界の見方をすることができる』と述べているが、これも観察・モニタリングの話。
・マネジメントの大家ピーター・ドラッカーは「管理の本質は計測にある」と述べている。
・以前、褒めたり叱ったりしなくても「今の自分の状況」についての正確な情報が与えられれば、ほとんどの労働者は勝手に自らの行動を修正する。「褒めて育てる」も「叱って育てる」も間違い。「自分が何をやっているのかわからせる」のが、成果の向上に一番効果的。という話を聞いたことがあった。
・何かをマネジメントする、何かをコントロールしようとする必要はなく、計測して、ログにして、それをモニタリングする。それを続けていると勝手に修正がかかっていく。
・実際、先送りの数を毎日数えている人は先送りがなくなっていくし、歩数を数えている人は臨む歩数に近づいていくし、体重を計測している人は臨む体重になっていく。
*
このような情報が頭の中を占めている状況の中、偶然にも前述のコラムに出会しました。
その結果、計測、記録、観察という複数のキーワードが「鏡」を言葉で挟むことで繋がり、とてもしっくりきたのです。
計測して、記録に残し、観察する習慣を付ければ自然とふるまいは修正されていく。
なぜなら、記録は自分にとっての「鏡」と同じようなものだから。
マネジメントしよう、コントロールしよう、という意識は持たなくてもきっといい。
このように整理すると非常に納得がいきました。
あらゆる記録が「鏡」になる
思うに、計測、記録、観察は、私たちが自己改善を進める上で非常に重要です。
これらを意識して取り組むことで、自分の行動や状況を客観的に把握し、自然と望ましい方向に修正することができるわけですから。
例えば、ダイエットをしている人が毎日体重を計測し、それを記録することで、自分の進捗を視覚的に確認できます。
体重の変動を見れば、食生活や運動習慣がどう影響しているのかが一目瞭然。
この記録が「鏡」となり、自分の行動を見つめ直すきっかけになるでしょう。
また、仕事においても同様です。
プロジェクトの進捗状況やタスクの達成度を定期的に計測、記録し、それを振り返ることで、効率的な働き方や改善点を見つけることが可能です。
記録があることで、成功の要因や失敗の原因を捉えることができ、次に繋げることができるでしょう。
ここでも記録は鏡の役割を担います。
さらに、日常生活における小さな習慣にも効果的です。
毎日の睡眠時間や運動量を記録することで、自分の健康状態を把握しやすくなりますよね。
記録することで、どの日にどれだけの運動をしたのか、どのくらいの睡眠を取ったのかが明確になるため、健康的な生活習慣を続けるためのモチベーションが生まれます。
このブログメディアにおいては何度もお伝えしていることですが、私は行動の記録をタスクシュートというアプリケーションを使ってつけています。
タスクシュートも間違いなく強力な「鏡」です。
このように見ていくと、あらゆる記録(ログ)が私たちの生活において「鏡」として機能してくれることが分かると思います。
計測、記録、観察の効果はこれまでもなんとなく感じてきたことですが、前述のコラムに触れ、「鏡」という考え方を偶然にも得ることで、それぞれが繋がり、その関係性が非常にしっくりきました。
この納得感、この確信感を持ちつつ、引き続き、計測と記録の習慣で、自分自身の「鏡」を様々に作り、そこに映る自分を見つめることで、新たな発見と成長の機会を見出して行きたい思いです。
当然、前回書いた、オルソソムニアにはならないようになのですが・・・
最後に、上司、部下、あるいは親と子などの関係性においても、この辺は意識するとだいぶ上手くいくんじゃないかと思ってます。
要は、計測、記録、観察を部下に習慣化させて、上司もまた計測、記録、観察を行えばいいのではということです。
「あれやれ」「これやれ」という強制力で変にコントロールしようとするよりも関係構築や仕事の成果において、効果が上がるのではないでしょうか。
今回書きたかったことは以上です。
UnsplashのFrank Hollemanが撮影した写真
【著者プロフィールと一言】
著者:田中 新吾
プロジェクト推進支援のハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)|プロジェクトデザイナー|タスクシュート認定トレーナー|WebメディアRANGER(https://ranger.blog)管理人|ネーミングの仕事も大好物|白湯の魅力や面白さをお伝えする活動もしています(@projectsau)
●X(旧Twitter)田中新吾
●note 田中新吾
計測も、記録も、観察も、結構長い間触れてきているわけですが、記録をしているとなぜ自然と修正がかかっていくのか、これまではしっくりくる説明ができませんでした。鏡という言葉を挟むことで、個人的には新たな地平が広がった感覚です。
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