RYO SASAKI

臆せずに自分が何者かを名乗ることで社会が豊かになっていく・・・はず。

タナカ シンゴ

コロナ禍でお取り寄せが増えたことも手伝って、私はここ数年でネット通販を多用するようになってきた。

同時にネットのレビューを活用することも普通のことになった。

主に利用するものは、日用品、飲食店、映画、書籍。

レビューはヤラセや掲載のONOFFコントロールなどの問題もあると聞くものの、総じて非常に便利なもので、生活は効率的になって恩恵をいただいている。

そんな便利なレビューなのだが、便利になればもっとこうなればという欲が出てきてしまう。

今回はレビューを活用して出てきた欲のことを綴ってみたいと思う。

その先にどういうわけか、タイトルの「自分が何者かを名乗ること」に行きついてしまった。

みんなだいたい同じ!?

昔、映画にハマった時期は年間100本以上を見た年もあった。

世の中を知るためにというような怪しい名目で必見リストをつくって、ノルマをこなすように視聴したら取り消し線を入れるなどしていた。

その時に選択した映画は映画レビューの評点が4.0点以上のものだった。

※レビュー数が100未満は除外

映画の中身を読まずに評点だけで選択した。

こうした理由は、中身を見て好き嫌いで選んでは偏ると思ったからでもあるが、見ていくうちに評点の高いものは、やはり面白いことがわかったからだ。

例えば4.4点(ほぼ最高点)などがついている作品などはその点数どおりに更に面白い。

私にとって良かったと観て思えるラインは4.0点以上のあたりになった。

この有難いレビュー評点に思うのは、様々な価値観を持つ人が投稿しているレビューなのにもかかわらず、平均すると自分の感覚と同じところに着地しているということ。

様々な価値観を持っている人でも「面白さ」というものは共通するということなのだろうか。

「面白い」もそれぞれ違うはずなのだが・・・。

そう言えば、お笑いのショーレースをいくつか見ているが、審査員の評価、優勝者と自分のそれがほとんど変わらなかったりもする。

そこで更に思う。

私は、平均的な人間であり、常識的な人間なのだ。

これらは今や誉め言葉には聞こえない。

だから少し自分に盛って表現してみると、私は世間のことをわかっている人間であり、プロの評価に近い感覚を持っている人間なのだ。笑。

レビューコメント

飲食店について。

そもそも、飲食店は行きつけになったらずっと通う方なので、レビューを活用する機会は限られるのだが、その場合を一回考えてみよう。

飲食店の評点も概ね参考になり、高い得点のお店ほど美味しいと思うのだが、映画と違ってその時に食べたいもの、値段など求められるものがまちまちだから、より複雑になる。

更に、評価ポイントの、味、値段、雰囲気、接客などが混在した評点となるので余計わからない。

だからなのか、映画の評点と違って少しいい加減に見ている自分がいる。

むしろこちらは、評点よりも店のこだわりを見るようになっている。

メニューは定番で勝負なのか?オリジナルで勝負なのか?食材へのこだわりは?食事中心なのかお酒中心なのか?などなど・・・・。

居酒屋であれば「定番で勝負」「お酒中心」などという広告文句はなかなかないから、自然にメニューから察するようになっている。

レビューコメントはあまり読まないようになった。

その理由は日記のようなレビューが多くて、自分の欲しい情報になかなか当たらないからだ。

「友人に誘われて来店。」(友人が一番のお勧めの店、であればまた違うが)

「〇〇ビルの4Fにある。」(住所をみればわかる)

などの情報は全く不要である。

このような文が含まれる長いレビューから自分の必要な情報を探り当てるのは根気がいることがわかって、この根気を使うのはもったいないと思った。

次に、あなたの美味いは私の美味いなのか?

「美味しい」と言われてもどこかの何かと比較を書いてもらえば想像しやすくなるのだが・・・。

私がコメントを書く場合は、

「この界隈で数件の蕎麦屋を訪問したが、天ぷらの大きさと味はここが一番だと感じた。」

などと少しでも何かの手がかりとしてひっかかるように書くようになった。

好意で投稿するレビューだから文句は言えないが、選択の手がかりが増える方向にレビューの質が上がっていけば、もっとレビューが活用されて、社会が豊かになるのに・・・と思ったことがある。

どうも重箱の隅をつつくような話で、それをまた大げさな話にしてしまったようだ。

さて、私の舌は平均的なのだろうか?

年を重ねるとともに食関連へのこだわりが結構出てきてしまって、平均値から外れてしまったように感じている。

私のこだわりを上げてみると、

・ビールの銘柄

・座席の広さ

・店主と話せる

勢いよく上げてみると、もはや味の話ではなくなってしまっていた。汗。

一般的な評価ポイントからも外れてしまっている。

こんなことを書いていると、もはや外食に味を求めるよりも、誰といるか?がポイントになっているようだ。

しかも、上記こだわりすらどうでもいい時もある。

そうしていくと、もはやこだわりなどなくて飲食店であれば他はどうでもいいことになってしまっているのかもしれない。汗。

私は映画のレビューにおいては平均的な人間ではあったが、ここではかなり癖がある人間なのかもしれない。

キッチンタイマーの奮闘

日用品について。

以前、ロードバイクの外付けライトのネット購入で何回も失敗した話を書いたのだが、それと同様なところに陥りそうだったことがあった。

それはキッチンタイマーの購入について。

キッチンタイマーはシンプルで安価な商品なのだから、購入に手間をかけるわけにはいかない。

適当に選んでしまいがちだから、かえって厄介なのだろうと思う。

最初は、ネットのおすすめ、売れ筋を即決で購入した。

500円くらいで見やすい有名なメーカーのデジタルタイマーだ。

ところが、とにかく使いにくい。

半年くらいで壊れてしまった。

こんなシンプルなものが使いにくいとは・・・。

マグネットが弱くてボタンを押すと床に落ちるようになってしまい、そのうちに液晶が壊れて表示が徐々に”8888”に近くなってしまってついに見えなくなって使えなくなった。

私はレンジフードにキッチンタイマーをくっつけていて、料理中は片手でのボタン操作が必須なのだが、片手でボタンを推すとタイマーは動いてしまってはがれ落ちてしまう。

評点もよくて売れ筋のキッチンタイマーがこんなパフォーマンスになるとは想像もしていなかった。

キッチンタイマーでは、見やすさ、操作しやすさも大切だが、それに匹敵するほどマグネットの強さが重要ポイントなのではないのだろうか?

私のレンジフードの方が特別でくっつきにくい素材だったのだろうか?

2回目の購入では、その点を注視して探してみたのだが・・・。

この私がもっとも重要だと思うマグネットの強さに関する表記はなかなか見つからない。

どうやら世の中ではマグネットは問題になっていないようなのだ。笑。

様々なキッチンタイマーを検索してやっと「マグネットが強力」と書いてある商品をひとつだけみつけた。

気が付けばキッチンタイマーの商品情報と30分以上格闘していた。

これでも店舗をまわって探すよりは十分効率的になったのだろうけど。

変な疲れが出た。

タイマーキッチンごときに・・・という根底の思いが疲れさせたのかもしれない。

結局、マグネットが強力という記載のあった、こちらを購入することにした。

無印良品 ダイヤル式キッチンタイマー TD‐393 82248296

今やキッチンタイマーはレンジフードから微動だにせず、日々快適である。

「売れ筋を買ったがマグネットが弱くて片手でボタンを推すと床に落ちて壊れてしまった。

そこで探したのがこちら。レンジフードにくっついて微動だにしない。快適だ。」

と私が欲しかったレビューを書いた。

レビューでの失敗談は非常に有効だと思う。

この格闘があったせいか、このキッチンタイマーに感じる愛着はどうやら格別だ。

どうやら、このようにキッチンタイマーと奮闘する私も平均的な人ではないらしい。

納得いかないのだが。笑。

自分が何者かを名乗る時代へ

何ともささやかな買い物の話になってしまった。

いろいろなレビューを活用して思うことは、人の平均値と同じ感覚がないとレビューが使えない、ということだ。

そう思うと世間と同じ感覚でありたいと思う。

世間と同じであることで安心するところがある。

一方で、世間と同じだと個性がないんだなあ、などとガッカリもする。

人と違っている個性が欲しい。

同じ情報で洗脳された可能性があるのでは?などと疑ったりもする。

みんなと一緒でありたいのかありたくないのか、どっちなんだよ?

両取りしたい都合の良さがそこにある。

なぜ世の中の人はマグネットを気にしないんだろうか?

このように周りが自分と同じではないことに納得がいかなかったりもする。

人と違っていたいのに、人が自分の価値観と同じだと思ってしまっていたり、更には自分の価値観を人に強要してしまったりもする。

なんとも厄介な感覚を持ち合わせているものだ。

これからの社会は、同じであることと違いがあることをどう折り合っていくかがポイントなのだろうと思うのだが、情報が多く行き渡る社会はより多様な価値観が広がる社会であるはずだと思う。

そのような社会では一律のレビューは使い物にならなくなるのではないだろうか?

私はいらない心配をしだしてしまった。

心配しだした、と言ったら何とももっともらしいが・・・ただレビューに対して文句をつけたくなった、というだけのこと。

そう、一律の価値観でないのだから、レビューをタイプ別に分けて欲しい。

販売側が商品の重視ポイントワードを商品に貼り付ける。

そのワードに沿って自然にレビューが入ってくるというのはどうだろうか?

キッチンタイマーで言えば重要ポイントワードは、

例えば、値段、見やすさ、操作、マグネット

それぞれのワードについて感想を書いてもらうというものだ。

こうしたレビューを観たら私のキッチンタイマーのマグネットの失敗はなかったかもしれない。

そして、「値段重視の者です」「マグネット重視の者です」とタイプを名乗ってもらうとより説得力が出てくる。

映画で言えば、

「池井戸作品は全部見てきている者です」

「どんでん返し映画が好きでたくさん見てきている者です」

飲食店で言えば、

「ピザをこよなく愛する者です」

「〇〇町の居酒屋はたくさんまわってる者です」

この自己紹介があるコメントが増えることで、コメントのエッジが効いてマッチングが効率的かつ深いものになるのではないだろうか?

これは、経験していないと書けないのではなくて、経験していないならば、初めてだと名乗ってその新鮮さを感じられればそれはそれでいい。

侍が最初に「拙者~でござる」と名乗るようなものだ。

ネット上のレビューで出会う人はほとんど初対面。

ならば何者かもわからないままでは、不審に思うのはネット上でも同様なはず。

自己紹介は当然のマナーになるべきではないだろうか?

なーんてもっともらしいことを書いてみる。

どうやら私のキッチンタイマーへの恨みが相当根強いらしい。汗。

最後にここから更に脱線して思うことを。

レビューに限らず、会った時に早い段階で自分がどんなタイプであるかを伝えることがより有意義なコミュニケーションをする秘訣ではないだろうか?

ある面ではゴリゴリの平均値にいる?私は、個性的である自分をあるいは非常識である自分をさらけ出すことを避けるようにしてきたようなのだが、平均なるものへのこだわりを捨てて、また、非常識への警戒を少し緩めて、客観視した自分の癖を赤裸々にできた時に、それは逆に他人の個性をも認められるようになった時であって、それによってみんなの個性が表現できるより豊かな社会につながるのではないだろうか?

ささやかな買い物の話から、よくここまでずうずうしく広げられたものだ。汗。

それでも、私は恥ずかし気もなくそう思っている者です、と赤裸々に自己紹介して終わることにしよう。

UnsplashJonas Leupeが撮影した写真

【著者プロフィール】

RYO SASAKI

どんどん多様化する社会は豊かです。

でも普遍的な共通点は残るんだろうとも思います。

そのいい塩梅をずーっと求めていくんでしようねえ。

工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。

現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。

ブログ「日々是湧日」

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