RYO SASAKI

インプロバイザー(即興)とアーティストに学ぶ、創造性を発揮する方法。

タナカ シンゴ

前々回の記事

修験道から学ぶDon’t think! Feel.~自分を輝かせる方法~

のあたりから、感じる重視と思考抑制によって一段と楽になってきた。

だから、この「感じる」をもう少し掘ってみたくなっていたところだったのだ。

そうしていると都合よく、ちょうど面白そうな本が現れるものだ。

『スタンフォード・インプロバイザー ─ 一歩を踏み出すための実践スキル』

「インプロバイザー」というワードは「即興」の意味であることを初めて知った。

私は、これまでアメリカ発のノウハウ本をいろいろと読んできたのだが、いつからかお腹いっぱいになって受け付けなくなってしまっていた。

その理由は、ノウハウにはなるほどというものが多いのだが、それがどんな状況にもカパカパと当てはまってしまうような万能なものではないと感じてきたからだ。

状況が異なればノウハウも変わってくるし、逆も真なりということもある。

それぞれのノウハウにプラスマイナスのどっちもがある。

若い時分の私は、ミーハーゆえにアメリカや有名な大学といったネームバリューを崇め、また、自分の真面目さと拙速さゆえにそこからのノウハウに勝手にがんじがらめになって動きが鈍いような人間だったと思う。

今の私の直感は、ワード「インプロバイザー=即興」は面白い、と主張していて、これまでの満腹感を軽く上回ってくるだろうと感じている。

そしてまた、アメリカと有名な大学にひざまずかずに(笑)、自分の感覚を一番に据えて読み進めることができるとも感じるのだ。

今回は、このインプロバイザーノウハウをキッカケとして、大切にし始めた自分の感じる、をしっかりとたどって、何らかの気づきに行き着きたいと思う。

インプロバイザーノウハウ

本書では、インプロバイザーのノウハウ(以下インプロノウハウ)をいくつも紹介していくような構成だ。

インプロノウハウには「準備しない」「すぐに行動する」「完璧であることをやめる」「どんどん失敗する」などがあって、まさに「即興」という意味どおり。

この結果だけを見ると特に新鮮さは感じない人が多いだろうと思う。

私はこの行動の背景の説明の方に心が踊った。

それは、前出の山伏の教えと見事に共通している。

準備をしないというルールは、じつはエゴやプロセスにかかわるのを断つことを意味します。

準備する代わりに意識を集中させてください。

現在に意識を集中させると自然な英知のようなものとつながります。

意識を高めてこの瞬間に入ろうとする必要があることが明らかになります。

自分が既に答えを持っていることもわかります。

プロセス管理の仕事を長い間やってきた私だからか、「準備をする」=「エゴ」であるという言葉は、自分の過去を否定されているようだとまずは感じたわけだが・・・。

失敗しないように外見をよくしないと仕事では無能とされるのだから、エゴの面は確かにある。

この自分の否定を小気味よく感じるのはどうしてだろうか?

私は、過去の誇りよりも今のこの感じを大切にしたいと思うように変化したようだ。

また、人が日々考えていることには「過去のこと」「未来のこと」「今のこと」の3種類があって、「過去のこと」と「未来のこと」の割合が増えると幸せにはならない、と言われてもいる。

これとインプロバイザーの「今に集中する」はまたまたリンクして納得する。

準備することは、今の時間を未来に奪われることだ。

思い浮かぶものを何でも受け入れるようにするとアイディアを成長させ、イマジネーションを育てることになります。

もし心の中に判断や批判をする人が現れてアドバイスしようとしたら、感謝しつつ、お引き取り願いましょう。

彼らは良かれと思って登場しますが、この創造的プロセスの最初の段階には迷惑な客なのです。

これは、思考の弊害の非常にわかりやすい説明だ。

創造的であるためにまずしなければならないことは、思い浮かぶものを抑制しないということだ。

判断や批判が現れてしまうと、自分の創造性は萎縮してしまうし、創造する時間も奪われてしまう。

なーんだ!わかってしまうと何とも単純だ。

必死になって独創的なアイディアを考えつこうとすると、創造的なプロセスに近づくのを邪魔されかねない。

既成の枠組みにとらわれずにとらわれずに考えるというのは、斬新で独特なアイディアを追い求めることだと広く信じられています。

しかし、その真の意味は、本当は明らかなのにこれまでずっと見えなくなってしまっていたものに気づくということなのです。

普通にしていて感じること見えることに他の人には見えないものがある。

それがあなたの独創性である。

求めれば歪んでしまって得られない。

人はこのワナにいとも簡単に引っ掛かってしまうものだ。

逆の「求めないと得られない」だけが真ではないから何とも面白い。

独創的なアイディアは新しく作り出すのでなく、既にそこにここにあってピュアであると自然に感じられるものなのだということだ。

それはありのままに感じて気づくことで見つかる。

もともと人それぞれは独創的にできている。

例えばジョブズのiPhoneの独創性は私にはないが、私だけが気づく何かは持っているはずだ。

だから、iPhoneを求めるのはこれまたナンセンスだと言っておかないとならないんだが。笑。

アーティストの頭の中

では、創造性の塊とも言えるアーティストの頭の中はどうなっているのだろうか?

こちらの異色のふたりの対談動画に私はヒントを見出した。

小松美羽さんは新進気鋭の造形作家、成田悠輔さんは最近露出が多い経済学者でイェール大学助教授でもある。

小松さんは創作する時に、絵のデザインがVRゴーグルを装着したように眼前(頭の中)に現れて指示をしてくるらしい。

この状態になるには一点に集中することが必要なのだという。

これはモーツァルトなど多くの音楽家から聞く「曲が降りてくる」と同類のことで、前章の「現在に意識を集中させると自然な英知のようなものとつながります。」の究極の形なのだろうと思う。

更に小松さんは、無邪気でいることが大切だともいう。

無邪気には子供のわがままなイメージがあるが、そうではなくて「邪気が無い」という意味合いとのこと。

「邪気がある」とは、周りを観察して何かを判断して悪いことを想像したり、更には悲しんだりすることである。

例えば、歩いている時などに周りの人の情報が目に入ってその人に自分が何らかの判断(疲れてそう、怖いから避けるなどなど)をしてしまっているというようなこと。

このような思考と感情が邪気なのである。

小松さんは、そのような邪気が入らないように、右左右左(歩く時の手あるいは足の動きに合わせて)と唱えるようにしているのだという。

右左にだけ集中すると他の思考が起こらない、これはいわゆる瞑想のようなものだ。

心を一定にしてありのままでいることがアートに必要だというわけだ。

「思考停止」「頭を空っぽに」「無邪気に」が創造性には必要である、という言葉は、アーティストが言うと説得力が増して、この本を裏付けているように感じた。

無邪気な同級生

無邪気と聞いて思い出した男がいる。

学生時代に私が引っ越し先に選んだアパートに、先に棲んでいた同級生だ。

東京出身の彼は、田舎者の私には自己主張がハッキリしていて、とにかくわがままに映った。

我慢というものが嫌いでこうしたいああしたいがハッキリしていて、どんなに周りと異なる、時には非常識な意見だと思われるものであっても「なんでダメなの?どうして?」となかなか譲らなかった。

そんなんだから、周りと対立するし、失敗もする。

楽しいことが好きで突飛な発想をするところもあったのだが、羽目を外すし、実行不可能なことばかり、私にとっては厄介な男だった。

当時は周りも私も「どこか足りない人」としてバカにしていたところがあった。

笑わせてくれるネタを提供してくれるから、愛されてもいたのだが・・・。

卒業後、縁があってか私は彼と同じ会社に就職したのだが、数年で早々に退職した。

今は独立して成功している。

後日談として当時の彼の上司から、

「遅刻もひどいからいろいろ(マネジメントが)大変だったよ。

サラリーマンは難しいだろうと思ったから引き止めなかったよ。」

と聞いたことがあった。

彼こそ無邪気な男ではないだろうか?

人から意見や行動を揶揄されても少数意見であっても動じず、引け目を感じずに常に明るかった。

妥協することもあったが、それは自分の意見がベストだと思い続けながらの妥協だった。

彼は強かった。

今、当時の彼から感じるものがある。

人は限りのある時間を思考、あるいは、いい悪いの分析や判断に当てることもできるし、別の何かに集中することもできる。

その時間配分によっていろいろなタイプに分かれる。

彼は今に集中することに時間を割いた創造側の人だったのだ。

創造側の人は、逆に過去の反省と未来の準備の時間が不足するから、しばしば社会との軋轢に巻き込まれる。

私なんかは、逆に過去と未来、プロセスに時間を割く人間であって、今の自分の感じるところを削るかわりに、周りに対しても常識的に無難に生きてきたということだ。

(職種にはよるが)サラリーマンというものは、自分の好きなことへの集中よりも反省と準備が必要な職種のようで私にフィットしたように見えただけだった。

これはどちらが良い、悪いというのではない。

常識や社会のルールに合わせること(周りとの協調)と、創造性のどちらにどれだけの時間を注ぐか?による。

行きついたのは、協調と創造はトレードオフの関係にある、という気づきだった。

常に準備万端で生きてきた私は、対極にいる彼に出会わせてくれた意味を今になって理解するのだった。

ここまでに30年以上。

随分かかってしまったものだ。汗。笑。

一度は何かを降ろしたい

子供の頃から、アーティストというものは、私とは別人種だと思って生きてきた。

アーティストなんてものは稼ぎが不安定だから、回避してきた面もないとは言えない。

だからなのか、私は過去と未来に特化した思考側の人間として生きてきたのかもしれない。

そんな私はやっと今を感じることに意識を向けるようになってきた。

それでわかったことは、思考を止めて今を感じることは、何よりも楽で気持がいい、ということだ。

人間は本来はこうあるものだったのだろう。

更に今回のインプロバイザーとアーティストに後押しされて、今を感じる時間を増やせばそれだけ創造的になるんだ、と確信する。

私にとって別の窓が開かれて新しい景色が見えて来たんだから、味わわない手はないだろう。

自分も小松さんやモーツァルトのように一度は何かを降ろしてみたくなった。笑。

それは例えば北欧に旅行してオーロラを観るなんてことよりもやってみたい内なるジャーニーだ。

何もアーティストになろうとしているわけではない。

いや、誰しもがアーティストであるらしく、その意味は自分だけのものに気づけばそれだけでアーティストと言ってもいい、ということらしい。

ならば、自分の気づきを降ろしたいものだ!

さて最後に、降ろすために重要だと感じたことを書きとめておきたい。

小松さんの言う無邪気である(=感情を平坦にする)ためのことだ。

まずは、目の前に見えるどんな幸福もどんな不幸もあって当然であると思えることだ。

不平等に見えるこの生を受け入れること、他の人に生まれ変わったとしてもその境遇を納得して受け入れられる度量だ。

これによって喜びも悲しみも平坦になる。

次に、未来の恐怖をなくすことだ。

小松さんは8000年かかって人類は進化すると言っている。

そこまでに必ず起こるであろう自分の身体?の死などには全く関心がないように見える。

別の次元で俯瞰する位置に眼がついている。

魂の永遠が当たり前のごとく、淡々と話しをつなげている。

確かに、不要な感情に揺さぶられずにそして未来の恐怖がなければ、もはや今への集中を妨害するものは何もなくなるのだろう。

自分がこの域まで行けるのかわからないが、このことは理解せざるを得ない。

人は何を考えている(思考している)かで人生が変わるものだというが、何を考えないかでも人生が変わる、考えないことで感じることができるから。

無邪気であるために、感じる、に集中する。

それは思考をコントロールするということでもある。

何も難しいことではない。

物理的な話で訓練で可能なはずだ。

考えることがメリットだと学んできた私は、今感じるの方の新たな旅に出た。

その旅によって、格好よく言えば変態(メタモルフォーゼ)しようとしている。

ンっ?変態とは格好いいものなのか?笑。

予兆は感じている。

自分が意図してないのに、なぜか口走ってしまっている言葉がある。

後からあれはどこからきたんだろう?と不思議に思う。

今回はここまでにとどめて、強がって終えることにしよう。

いや、強がっているのではない。

確かに感じている。

私は私の感覚に自信がある・・・のだ!笑

つたない気づきかもしれないが、何かが降りてきたらまたご報告申し上げたい。

UnsplashJr Korpaが撮影した写真

【著者プロフィール】

RYO SASAKI

私にとって、多くの人の前で話すことは緊張して苦手でした。

これも上手く話せているか?上手く話せないのではないか?というところに思考が留まっていることが原因で、話したいことに集中する、あるいは聞いてくれている人を感じる、など別のところに集中することで解消する、ということも書いてありました。

これも思考のコントロールですね。

納得です。

工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。

現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。

ブログ「日々是湧日」

会員登録していただいた方に、毎週金曜日にメールマガジン(無料)をお届けしております。

ちょっとした気づきや最近の出来事など、メールマガジン限定のコンテンツもありますのでぜひご登録ください。

登録はコチラから。

幅を愉しむwebメディア「RANGER」に対するご意見やご感想、お仕事のご相談など、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

これからもRANGERをどうぞご贔屓に。

記事URLをコピーしました