田中 新吾

相手の「ニード」を「ニーズ」に変える、という考え方に鮮烈な印象を覚えた話。

タナカ シンゴ

少し前に読み終えた「Todoリストは捨てていい」という本が、私に様々な良いインスピレーションを与えてくれています。

仕事をすることに色々なストレスを感じ、それに悩んでいるという方には是非手にとってみて欲しい一冊です。

あまりに素晴らしい本なのでお伝えしたいことは山ほどあるのですが、ここでは特に個人的に大きな発見となった「相手のニードとニーズを変える」という話について触れてみたいと思います。

皆さんは「ニードとニーズの違いを教えてください。」と聞かれたらなんと答えるでしょうか?

「ニーズはニードの複数形。」

ChatGPTやパープレ君に頼らないという条件下では、この程度の回答しかできない人も多いのではないでしょうか?

恥ずかしながら私はそうでした。

そして「その意味」にしても「複数形」という違いがあるだけでどちらも変わらないものと捉えていたのです。

相手の「必要」に応えるのはウルトラ大事である、とは社会人になり長らく重視はしてきたのですが、それを「ニーズ」という言葉一辺倒で捉えてきた私に、本書は大きな気づきをもたらしてくれました。

以下で少し本書から引用をしてみたいと思います。

人になにかをしてもらう、必要のメッセージを「ニード」と言います。

(中略)

必要のメッセージに対して、なにが必要かを考え、役立つ提供物を差し出すのが「ニーズ」です。

さて、いかがでしょうか?

ニードとは、人になにかをしてもらう必要のメッセージ。

ニーズとは、その必要のメッセージに対して、なにが必要かを考え、役立つ提供物を差し出すこと。

繰り返しにはなりますが、ニードとは必要のメッセージで、ニーズとはニードに向けた提供物ということです。

具体例も示していただいているのでもう少し引用を続けます。

都心の巨大なスクリーンに時々、エラーメッセージが点滅していることがあります。

本来は、スーパースターがキャッチボールでもしている様子が映し出されているべきなのでしょう。

これは「ニード(必要)」です。誰かがなんとかしてあげる必要があります。

もちろんスクリーン自身は、なにをどうして欲しいかを知らないでしょう。

エラーメッセージを表示していてもです。

それを読み、なにが起きているのかを解釈し、「適当なニーズ」を提供するのは担当のシステムエンジニアです。

ここまで読むと、しっくりくる方も増えるのではないでしょうか。

本の筆者でビジネス書作家の佐々木さんは、ニード(必要のメッセージ)とニーズ(ニードに対する提供物)の考え方を「精神分析の本」の中で知ったそうですが、佐々木さんご本人も初めて読んだ時は、この考え方に鮮烈な印象を覚えたそうです。

たしかに世の中にはこうしたやりとりが至る所にあるよな、という具合に。

そして、この度は私が本書を読み鮮烈な印象を覚えました。

極端に思うかもしれませんが、人生においてはこの考え方を中心に据えて活動していれば、大抵のことは上手くいくのではないかと思ったほどです。

同時に、私が大事にしているある考え方にもリンクしました。

ある考え方とは、仕事でプロジェクトを進める際に「関係者の不安をいかに解きほぐすか」をめちゃくちゃ大事にしているというものです。

以下でもう少し掘り下げた説明をしてみます。

思うに、仕事を任せた側には「不安」がつねに付き纏います。  

「時間はどのくらいかかるのか?」

「本当に終わるのか?」

「適切なクオリティのものになるのか?」

といった具合にです。

ですから、このような不安を取り除く行動を丁寧にとることができれば、相手に安心を与えることとなり、相手からの信用が積み重なるわけです。  

例えば、綿密に進捗を分かりやすく報告してあげたり、スケジュールを提示してあげたり、プロトタイプを素早く作って示したりするなど、不安を解き解く手段は色々と考えられます。

一方で、前述のような不安の解消に対して雑な対応する、不安の解消を放置してしまうと、相手は不安をさらに募らせ、こちらに不信感を抱くようになっていきます。

そうなってしまうと、仕事を任せた側はその不安をより解消しようとこちらに強く細かくあたるようにもなるでしょう。

不信感が高まるのだから、次の仕事が回ってくるようなことも考えられません。

私にはこのような経験に基づく考えがあるがゆえに、仕事を任せてくれた相手の不安を丁寧に解きほぐすことをプロジェクトにおいてかなり重要視しているのです。

そして、それをするためには、自分の不安や一緒に取り組むプロジェクトメンバーの不安の解消も欠かせません。

少し前にXに以下のようなポストをしたのですが、私がプロジェクトを進める際に根底においている考え方、実行する際に意識している考え方は結構な数があります。

結構な数がある中でも、「関係者の不安をいかに解きほぐすか」は、とりわけ重視しているものだと言っても過言ではありません。

仕事の勘所は、突き詰めると「人間関係」にあると考えているからです。

特にプロジェクトの立ち上がり時期は「関係者の不安をいかに解きほぐすか」の重要性が著しく高まると思っています。

そして、この私が重視してきた考え方もまさしく「ニード」と「ニーズ」の関係性にあるとリンクしたのです。

関係者の不安=ニード(必要のメッセージ)

関係者の不安を解きほぐす=ニーズ(ニードに対する提供物)

今までのプロジェクトにおいて、いい成果を出せたケースを考えると、この「相手の不安」という「ニード」を、「不安を解きほぐす」という「ニーズ」に変えることがよくできていた時だった、という確信感を得るに至りました。

偶然にも、この記事を書いている時に以下のようなポストが私のXのタイムラインに流れてきました。

これもまさにニードとニーズの話で、それが一番効率がいいよねという話だと思います。

タイムリーだったというのもあって、私は大変強く膝を打ちました。

著者の佐々木さんは以下のようにも述べています。

「ニードとニーズ」という発想は学校では教えてくれません。

義務教育とはいわないまでも、ぜひ大学の教養課程では教えて欲しいくらいに役に立ちます。

本書を読んだ上で、まったくその通りだなと思いました。

もっと早くにしれたらよかったです。

相手の「ニード」を「ニーズ」に変えるは、多くの方に知っていただきたい考え方だと思ったので、これからお会いする方や後世の方々には出来るかぎりお伝えしていこうと思います。

今回書いておきたかったことは以上です。

UnsplashNathan Andersonが撮影した写真

【著者プロフィール】

著者:田中 新吾

ニードとニーズの考え方を知ると「相手のニーズに応える」が如何におかしなことかが分かります。

お客様(企業や自治体やNPO)が求めるプロジェクトの歯車になるのが仕事。プロジェクト推進支援専門のハグルマニ(https://hagurumani.jp)代表。PJメンバー共通の景色となるネーミングやコンセプトの構築もします。タスクシュート認定トレーナーとして自分らしい時間的豊かさを追求する方々の支援にも注力中。

●X(旧Twitter)田中新吾

●note 田中新吾

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最後まで読んでくださりありがとうございます。

これからもRANGERをどうぞご贔屓に。

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