NPOと株式会社の距離。
この別のブログ、あるいはnoteで書いたこと過去記事も転載していこうと思います。
見返すと意外に「自分にとっては重要だったな」と思う記事があるなと。
ということで、今回は2016年に書いた記事をリライトしてご紹介したいと思います。
今でも気づきの多い内容だと思うのでよければ読んでいただければと思います。
VC(ベンチャーキャピタリスト)の佐俣アンリさんと認定NPO法人フローレンス代表・駒崎弘樹さんが「NPO」と「株式会社の距離」をテーマに対談をした内容をけんすうさんがnoteで公開していました。
イノベーションの輪の中で「NPO」「株式会社」の距離はなくなっていく―佐俣アンリ×駒崎弘樹【対談】
流石、認定NPO法人の代表ともあって、駒崎さんのお考えはとても参考になりました。
NPOのイメージを塗り替えた第一人者
佐俣アンリ(以下、佐俣):
今回「インターネット業界以外で“僕が話したいと思う人”として、駒崎さんを指名しました。インターネットな人たちと話すのはとても楽しい。でも、どこかでモヤモヤしたものが残ってしまうんです。何というか、思い出話に花を咲かせる同窓会になってしまうというか。
僕の中では、NPOもベンチャーも関係なく、世の中にある何かしらの仕組みを通じて課題解決していくのが面白いと思っています。
中でも、駒崎さんが一番ファンキーだなぁと(笑)。
でも、日本のNPOには「手弁当で儲けるのはよくない」みたいな雰囲気があったりしますよね。僕、あの雰囲気があまり得意ではなくて・・・。
駒崎弘樹(以下、駒崎):
アンリさん(=佐俣さん)のおっしゃるように、日本のNPOはすごくいいことをしているし、頑張っています。けれど、まだまだ世の中に十分にはインパクトを出せていないし、事業として続けるのが難しいという状況があるのも事実です。
僕は大学時代からITベンチャーを起業・経営していました。そこから今のフローレンスを立ち上げるのですが、そのとき参考にしたのがアメリカの事例だったんです。
当時の日本のNPOは「とにかく人のためになることをしよう、お金稼ぎは二の次」といった雰囲気でした。でも、アメリカではソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)が出てきて、ビジネスとソーシャルの業界を越境していました。
ビジネスの技術を使いながら、寄付マーケティングをしていたんです。それを見て「いいじゃん、アメリカのやり方!」となり、さっそく活用して現在に至ります。
なので、僕にとってベンチャーカルチャーも、社会起業カルチャーも、わりと近いと思っているんですよね。
これはもう周知されてきたとことと思いますが、手弁当でNPOを回そうとするのはムリゲーです。
必要以上に儲けるのはどうかと思うけど、事業拡大や事業継続をしてゆくために資金は絶対執拗です。
それにもかかわらず実際、寄付や年会費をきちんと集められているNPO法人は全体の半分程度ときいたことがあります。
こうしたNPO法人の持つ課題に対して、駒崎さんはアメリカの事例に学び「ビジネスの技術」を取り入れ、寄付マーケティングを実行しています。
ひと昔前のNPOのイメージ(=ボランティア)を新たなものに塗り替えた第一人者と言っても過言ではないですね。ダブルも取り入れたりしてますよね。
余談ですが、この秘書の方は私の知り合いの奥様です。
NPOの利点、株式会社の利点
駒崎:大事なのは「何を達成したいのか」に立ち返ることです。
もちろん、量やタイミング、あるいは上場といった手法が有効なときもあります。しかし、ものによっては不要かもしれない。それに、最近ではNPOに融資してくれるメガバンクも増えていますしね。
佐俣:とはいえ、NPOにも株の仕組みがあってもいいように思います。
保育園に人材がほしいなら、株式会社としての価値を上げて、その問題を限りなくゼロにすればいい。もちろん、本質的なものを大事にしなくちゃいけないことは大前提ですが。
駒崎:そうですね。四半期とかではなく、「賢い株主たちが中長期的に見続けてくれれば」何の問題もないと思います。
ただ、フローレンスの「病児保育」では、ある種のアッパーミドルだけを対象にすれば事業として成長を見込める一方、一番困っている低所得のひとり親家庭に、寄付を原資に安価にサービス提供しているんですね。
で、株式会社形態だと、こういうことはできなくなっちゃうんですよね。 まあ、それぞれの法人格で一長一短あるね、と。
佐俣:フローレンスは今、プロジェクトとして4〜5つくらい動いていますよね。こういったプロジェクトなら株式会社でやってもいいよね、みたいな考えが生まれ る可能性はあるんですか? 駒崎:それはありますね。
フローレンスでは障害児保育のほか、病児保育、小規模保育など、各事業部制になっているんです。たとえば、設備投資が必要で、融資では限界があって、エクイティ(=資本)が必要になってくる事業もあります。そういう事業部だけを株式会社化して、そのほかは非営利であるNPOのグループ下に置いていく、というやり方もできると思います。
佐俣:NPOも株式会社も、どんどん距離が縮まっている感覚があります。なんていうか、世の中の課題がバサバサと並んでいて、それを解決したい若者が集って「これをやるなら株式会社がいい」「この方法なら、NPOが向いている」と振り分けられる世界になったほうがいいんじゃないかと思っているんです。
何を達成したいか(=ビジョン)を前提として、 佐俣さんが最後に言っているように「適切な手法を選び振り分ける世界」 に僕も大賛成ですし、社会はきっとその方向になっていくと思う。
現在、NPO法人の数は全国にあるコンビニの数ほどまで増えているそうです。(2016年時のデータ)。
・コンビニ 54,715
・NPO法人 51,110
このように行政や企業をつなぐセクターとして注目と脚光を浴びているNPO法人ですが、 多様な課題に対して、適切な手法が取れる人材が求められているのも事実です。
そして、このような素養を育てる「学び」や「機会」がまだまだ足りていないように思います。そう考えると、この領域に需要(=事業)の余地もあるということなんですが。
さいごに
この対談の中には、海外で事例が増えている「社会的インパクト投資」のようなNPOの活動を支援する新たなプログラムや、 アメリカのVCが本来の枠組み(民間のみの支援)を超えて寄付という形で公共セクターを支援する動きを取っていたり、 持ち分が認められている出資型NPOの構想など、当時、初耳なことがかなり多かった。
だから大切にとっておいて、今でも時々読み返すんですよこれ。
今後、距離があったあらゆるセクターの距離は更に縮まり、早晩枠組みが取り払われていくと思います。なぜならそうでないと解決できない社会課題がありすぎるからです。
それでは今日はこの辺で。