「複雑性国家」に立ち向かう ― 間違えても平気、ストレス除去戦略。
「e-Taxでは申告できません」
その一言で、今年のストレスが一気に開幕した。
確定申告シーズン。
私にとっては、毎年恒例のストレス劇場の季節でもある。
毎回書いている私のブログは、タイトルは違うけれど、いつも共通して「ストレスを減らす方法」というのがその裏テーマにあることが多い。
それをテーマにしている背景には、以下の3つの理由がある。
・「ストレス」は健康のために避けるべきものである。
・「ストレス」のネタは尽きず、むしろ増える社会である。
・「ストレス」は考え方次第で減らすことができる。
これらのことから、放っておくと日々溜まる埃を掃除するように、日々「ストレス」を除去すること、そして「ストレス」を生まないようにすること、これが現代社会には必須だと感じているのだ。
「ストレス」は除去し続けなければならないものである。
何なら、日々の部屋の掃除よりも、「ストレス」の除去の方が優先順位が高いのではないだろうか?
そこまで思ったりもする。
この手のお金のことは、以前仕事で経験があったものの、実は苦手だと後でわかった。
嫌に感じるから、苦手だと確定したのだ。
e-Taxで申告できない
私の確定申告は、大した分量があるわけではない。
それでも私にとって毎年ストレスなのは、想定外のことがギリギリに発覚することで、それが事前に見つけられない、ということだ。
なぜか毎年新しいことが起こる。
今年も締切間近、e-Taxの入力がほぼ終わりかけたとき、個人型確定拠出年金(愛称iDeCo、以下「個人年金」と表記)の入力欄で、システムエラーが発生した。
ご存じのように、確定申告への問い合わせに関しては、QAやチャットはほとんど使えない。
私の疑問はほとんど載ってないし、欲しい回答にたどり着いたことがない。
AIを使ってみるが、AIにはちょいちょい嘘をつかれる。
なので人の窓口へ問い合わせることになるのだが、電話は混んでいてなかなか出てくれない。
今回もやっと電話がつながったと思ったら、何度もたらい回しにされ、最後に告げられたのは、
「会社を退職した年と個人年金を受け取る年がずれる場合、e-Taxでは申告できません。」
の一言だった。
つまり、e-Taxは退職と受給が同じ年になることを前提に設計されており、それ以外のケースには対応していないのだ。
例えばこうだ:
会社退職年:2024年
個人年金受給開始年:2025年
このズレがあると、システムはエラーになり、紙での申告が必要になる。
実際は、個人年金を受給できるのは60歳を超えてからだ。
だからその前に会社を退職して受給まで期間が空く人は少なくはないだろう。
e-Taxのシステムがこの新しい制度個人年金に未だに対応できていない。
新しいと言っても個人年金が誕生から早24年が経過しているのだが。
対応が遅れて、結局紙に戻るとは。
締切迫る中、イライラが募る。
釈然としないまま、紙申告に必要な用紙の取り寄せに動かざるを得なくなった。
個人年金の受給なんて、この先二度とないことだから、この経験が来年活かせるわけでもない。
これに、さらにいらつく。
ストレスを減らそうと試みるも
このイライラを受けたままではいけない(笑)
そう思って向かったのは、数十年ぶりの文房具屋。
せっかく紙で書くことになったのだから、最新のシャーペンとボールペンを使おう、そう思ったのだ。
そこで、AIが確定申告用の下書きや本番書きにおすすめした最新のシャーペンとボールペンを購入。
これは、むしゃくしゃの腹いせの消費行動なのか、書くという別の行為自体に視点をずらしてはぐらかそうという回避行動なのか…。
ともかく、何とか自分をなだめながら下書きが完了。
その後、確定申告提出までのところをAIに聞いていた時、ふと思いついたことがあった。
「そもそも、この確定申告、必要ないのでは?」
問い合わせてみると、AIからは「申告不要の可能性が高い」との回答。
いろいろ確認してみると、私が受給する前に個人年金から源泉徴収されていることが発覚。
結果、個人年金以外の申告をe-Taxでするだけで十分だったのだ。
私の新品のシャーペン、新品のボールペンをどうしてくれる!?
「あんた紙での申告が必要だって言ったじゃないか?」
税務署の問い合わせ窓口と、AIに文句を言いたい。
窓口は、源泉徴収されていない場合もあるから、申告不要とは言わない。
AIはこちらの足元を見る。
申告不要かどうか疑える人の質問には正確に答えるが、そうでない人にはそれなりの対応しか返さない。
そこに人生で一回限りの個人年金に対する私の無知が被さる。
これが、私のストレス劇場ともいうべき、今回のお粗末なやりとりだった。
複雑性国家
なんで日本の確定申告はこんなにも複雑なんだろうか?
そう思って各国と比べてみると日本の確定申告の難易度は中の上と言ったところで、アメリカはもっと複雑らしい。
ちなみに、複雑になっている原因のひとつに、いろんな控除があることが挙げられる。
その控除は公平性のために追加されてきているのだ。
個人年金などの新しい制度が加わったり、新しい控除などが追加されていく。
これらによって税制はパッチワーク状態らしい。
そして、以前からあるものは既得権益があるからなくなることはない。
つまり、税制はこの先もどんどん複雑になるということなのだろう。
この先、どこまでこの複雑さに時間を奪われてしまうのだろうか?
こんなことに多くの人の時間が割かれるのならば、経済成長にも支障が出るはずだ。
私という者はまた、大げさに考え始める。
どうやらこのようなことは「複雑性国家」というテーマとして、政治学者や経済学者などで議論されているものらしい。
「複雑性国家」とは、時間が経つほど制度が複雑になる国のこと。
税制に限らず、年金、医療保険制度、介護保険、補助金などはすべて複雑になる方向に進んでいく。
もっとシンプルにしたらいい、と安易に言ってはみるが、シンプルにすると公平性が保てないことになるらしい。
これはこれで簡単には進まないのだ。
ストレスを減らす試みを続ける
さて、今回は私の拙い確定申告劇から「複雑性国家」までたどり着いたわけなのだが、これからさらに複雑になる社会でどう立ち振る舞うとストレスを減らせるのだろうか?
いくら老後が暇だからといって、残り少ない人生の時間と労力を複雑性を学ぶことばかりに使われてしまってよいのだろうか?
そんな嫌な物言いをしたくなる。
とにかくこの「複雑性国家」に立ち向かわなければならない。
立ち向かうために今言えることは、せいぜいこんなところだろうか。
まず始めに理解しないとならないのは、税務署の窓口にも税制にも国にも文句を言っても何も始まらないということ。
みんなが正義と思ってやっている。
複雑にパッチワークのように積み上がった制度は、もう誰にも動かせない。
その上でズボラな私はこうして抵っていきたい。
ルールはもちろん守る。
ただし、必要に迫られてからやる。
準備よく事前学習しない。
不十分で臨む。
覚えても変わっていくから、覚えることは役に立たない。
できるだけ忘れる。
一旦間違えたら指摘後に訂正する方針でいく。
最低限の訂正で済む方が、結果手間が少ない。
何なら、間違えたままでよい。
もし私が間違えて私が損をしたとしても、外からは誰も指摘してくれない。
逆に、制度や税務署側が損をする場合はきちんと指摘される。
だから、私が損をする間違いならば私の損に私は気づかない。
よって、結果的にストレスフリーになる。
…損をしたっていい、そう今は強がっておきたい(汗)
未来はこれからさらに複雑になる。
これは学者の方々によるとどうやら避けられないらしい。
なので、とにかく複雑性によるストレスの除去を覚悟する必要がある。
都度、都度、手を変え品を変え、ストレスを減らす試みを積み重ねることで立ち向かいたい。
脳トレだと思い込む、これは奥の手の除去方法だが、今はまだこれを使いたくない。
ちなみに数十年ぶりの最新シャーペンとボールペンの使い心地はどうだったかというと…
さすがに最新は滑らか。
シャーペンは芯折れすることもなく、ボールペンは乾きがよくて袖が触れても文字が滲むことはない。
でも進化したシャーペン、ボールペンは共に軽すぎて、書いている字が揺れる。
この程度では、とても確定申告のストレスの埋め合わせになりはしない。
そして来年以降の確定申告はe-Taxでやることになるだろうから、このシャーペンとボールペンを使うことはもうない(泣)
UnsplashのJolame Chirwaが撮影した写真
【著者プロフィール】
RYO SASAKI
このブログで怒って笑う、これもまたひとつのストレス除去方法ですね。
工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。
現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。

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