すべての時間に名前をつけるから、時間の使い方が上達していく。
唐突ですが、私は他者を勝手にメンターにするところがあります。
「みうらじゅんさん」はそのうちの一人。
改めて説明するまでもないと思いますが「ゆるキャラ」「マイブーム」などの生みの親として知られるネーミングの大家です。
お名前プロデューサーとして、ネーミングの仕事を依頼されることがある私としては、この方の存在は避けては通れない。
横道に逸れる話ですが、妻の趣味で家にいるハムスターも、無数にあるぬいぐるみも、すべて私が名付けを担当しています(笑)
さて、そんなみうらさんがしたネーミングの中で、私が最も好きなエピソードが「おならプープー剤」という名前。
もう随分前のワイドショーでの出来事ですが、彼が「覚せい剤」の呼び名について持論を展開する場面がありました。
みうらさんはそこで「覚せい」という言葉がかっこ良すぎるのがよくない。
もっとネーミングをダサくすればみんな使わなくなると言及したのです。
そして、みうらさんから生み出された名前が「おならプープー剤」。
「え?」と思った方もいるかもしれませんが、真面目にそう言っていたのを今でも覚えています。
覚せい剤を、今日から「おならプープー剤」という呼び名にして、あらゆるメディアが色々なところで言ったら、バカらしくて覚せい剤やらなくなりますよ。
ちなみに「暴走族」もかっこ良すぎるから「おならプープー族」にしてしまえばいい。
みうらさんは、本気でこう言っていました。
そして、私はこれを受けて「確かに!」と大きく膝を打ち、名付けの重要性をあらためて認識したのでした。
そんなみうらさんは著書の中でこんなことを述べています。
ここ数年ブームが続いている「ゆるキャラ」も、私が名づけてカテゴリー分けをするまでは、そもそも「ない」ものでした。
元々は、各地方自治体や団体が独自に作っていた単なる「着ぐるみ」だったものが「ゆるキャラ」となった今、もう私の手など及ばないほどの一大産業となりました。
(中略)
「ゆるキャラ」と名づけてみると、さもそんな世界があるように見えてきました。
統一性のない各地のマスコットが、その名のもとにひとつのジャンルとなり、先に述べた哀愁、所在なさ、トゥーマッチ感、郷土愛も併せて表現することができたのです。
すなわち、今はまだ存在しない新たな概念であったとしても、名付けることで人は深く思考や感情を及ばすことができるようになるということ。
これが名付けの持っている大きな力だと私は思います。
そして、これだけ大きな力を持つ名付けですから「名は体を表す」という古くからの言葉があるように、名前が中身を強く引っ張るのかなと。
これまでにも色々な方にお伝えしてきたことですが、名前は自分が思っている以上にめちゃくちゃ大事だと思っています。
*
で、最近こんな投稿をXにしました。
名前が内容を決め、内容は名前に引っ張られる。
— 田中新吾|ハグルマニ (@tanashin115) November 17, 2024
だから名前は重要。
これはブランドや商品や活動だけでなく、お金や時間においても言えること。
「お年玉」という名前がついたお金。
「お小遣い」という名前がついたお金。
「モーニングルーティン」という名前がついた時間。…
名前が重要というと、会社名、商品名、ブランド名あたりを思いつく人が多いと思うのですが、これらに限らずあらゆる概念に対して重要だと言いたいわけです。
例えば「素手でトイレ掃除」で知られる、カー用品店イエローハットの創業者 鍵山秀三郎さんは「命が吹き込まれた道具には血が通う」ということで、箒や塵取りなどあらゆる道具に名前をつけています。
命を吹き込むように名前をつければ、どんなチープな箒でさえ、名付ける前は思いもしない思考や感情が及んでいく。
そして、もうお気づきかと思いますが「お金」や「時間」も同一です。
1,000円ぽっちのお金が「お年玉」という名前がついた瞬間に、子供たちにとっては急激に価値のあるものとなり、それを大事に使おうという思考に切り替わる。
この経験は多くの人に通じることなのではないでしょうか。
そして「時間」も全く同じなんです。
時間にも名前をつければ、そこに思考や感情はしっかりと及ぶようになる。
意識しないとピンと来ないことだとは思うのですが「平日」と「休日」という時間の分け方も時間に名前をつけている例だと言えます。
この日は平日、この日は休日というように名前があることでモードが切り替わる。
文筆家の松浦弥太郎さんは著書の中で以下のことを述べていました。
時間の使い方において大切なのは、今、自分はこの時間を何に使っているのかを意識することです。
時間の無駄使いは、驚くほど簡単にできてしまいます。
だからこそ、どれだけ意識できるかで人生は大きく変わってくるのです。
今現在の私はこの言及に心から同意することができます。
そして、1日のすべてに、数秒・数分単位で時間に名前が付けられ、その時間について思考や感情を及ばせることができるツールこそが、私が愛用している「TaskChute Cloud 2」なのです。
ちなみに、今この記事を書いている時間には「RANGERの執筆を進める」という名前が付いています。
こんな具合に、1日のすべての時間に名前をつけることができるわけです。
今の私の場合、1日を22時からと定義づけているので、そこから次の22時までの間、すべての時間に名前が付いています。
参照:最近になって、頭の中の奥底から「良い一日は夜からはじまる」が引っ張り出された件について。
ですから、どんなに短い時間であっても意識的になることができ、思考や感情が深く及んでいくわけです。
だからこそ、時間の使い方が上手くなっていくのではないかなと。
ちなみに「todoリスト」はタスク名が連なるリストにはなっていますが、時間とセットにはなっていないため、時間に名前をつけているとは言えません。
ゆえに、todoリストによるタスク管理を行い続けても時間の使い方は上手くはなりにくいのかなと個人的には思います。
思うに「時間を意識する」のは自分一人の力では相当難しいこと。
少なくとも私に関してははっきり無理だと自信をもって言えます。
私はそんなにできた人間じゃない。
でも、意識的なれるツールが目の前にあればそれはまた別の話だと思います。
UnsplashのLaureen Missaireが撮影した写真
【著者プロフィール】
著者:田中 新吾
ハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)。プロジェクトデザイナー、お名前プロデューサー、タスクシュート認定トレーナーの3つの専門分野を活かして、皆さまのビジネスやプロジェクトのお手伝いをしています。ポッドキャスト番組 #internaming パーソナリティ。地元の地域活性化にも挑戦中。
●X(旧Twitter)田中新吾
●note 田中新吾
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