RYO SASAKI

私の癖克服劇から学ぶ、「ダメ人間の効用」。

タナカ シンゴ

ずーっとウジウジしてきた自分だが、そこからずいぶん変わってきた・・・はずだ。

わずかではあるがそこに自信を持っていた私だったが、ある瞬間にまた元に戻ったんだと感じることがあった。

好きなビールを何本か冷蔵庫に常備して日々を楽しんでいたこの夏のこと。

今日はどのビールをいただこうか?と冷蔵庫を開けた時、真っ先に最も好きなビールに手を伸ばさず、別のビールを選んだ。

無意識のこの一瞬!

この一瞬で私の感覚は子供の頃に飛ばされてしまう。

私は子供の頃、玉子焼きが大好物だった。

砂糖がタップリ入って甘いやや焦げ目のある玉子焼きだ。

母はそれをよくわかっていて、いつも弁当に入れてくれていた。

私は、その一番好きな玉子焼きを食べる楽しみをいつも最後にとっておいて、一番最後に味わったものだ。

子供の頃から、何事も好きなモノを先延ばしにするウジウジ傾向があった。

ずいぶん変わってきたつもりが、ビールも未だに一緒だった。

癖というものはやはりなかなか抜けないものなのだろう。

ところで、この私の癖は、どうやってできたものだろうか?

遺伝だろうか?環境だろうか?

ともかく、この癖が禍をもたらしているのではないか?そんなことを疑って、この癖を克服しようとし始めた頃からの「癖克服劇」なるものを遡って書いてみることにする。

残念ながら、今も完全に克服できていないようではあるのだが・・・。

癖の克服

元々、私はこの癖を持つ自分を悪いとは思わず、むしろ優秀だろう、くらいに思って自信を持って日々を過ごしていた。

この、何事にも慎重である、という特徴が、ここまで詐欺に引っ掛かることもなく(詐欺まがいのモノを掴んでしまって散財したことはあったが、これは自業自得というものだろう)、お金が底をつくこともなく、ここまで私を運んできてくれたんだと感謝もしている。

ところがもうずいぶんいい歳になった頃、何か足りないというか、何か苦しいというか、そんなことを体が感じ始めたことがキッカケと言えばキッカケだったのだろう。

そして、自分に自分のこれまでと真逆のひとり右脳キャンペーン(何事も直感で決める)を課したのがその最初だったと思う。

後先考えずに、その瞬間で「やりたい」、と思ったことをすぐ実行するようにした。

初めは、清水の舞台から飛び降りるくらいの(ずいぶん大げさですみません)不安な気持になったことを今でも覚えている。

そこには、自分の制御を失ってしまうような怖さが常につきまとった。

最初の頃の右脳キャンペーンでは、考えずにやれた!という達成感はあったがそれ以上のものを感じられず、だったように思う。

何がいいのだろうか?

不安が増えるばかりではないか!

そこからまた月日が流れて、右脳キャンペーンを思い出しては忘れてを繰り返して今に至るのだが、ここ最近の自分はどうなっているか?

振り返って見ると、こんなことになっていた。

・舞台がいいと言われれば、すぐに劇場に向かった。

 人生で初めて下北沢の小劇場に入り浸った。

・アルトラ(トレイルランシューズのメーカー)がいいと聞けば、すぐに購入した。

 焦って最初の一足はひとつサイズが小さかったのにその場で手に入れたくて我慢して買ってしまうのだった。

・初対面の人にピノ・パラディーノ(ベーシスト)が素晴らしい、と勧められて翌月にはコンサートの客席にいた。

 スタンディングオベーションがえげつなく、にわかのオッサンも十二分に愉しめた。

 それまでそんなオッサンベーシスト、全く知らなかった・・・。笑。

・土屋 賢二(哲学者、エッセイスト)を教えてもらうとすぐに取り寄せた。

 私にとっては今年一番の何とも痛快な本で、早くも部屋に山積みになっている。

・だし&栄養スープが体にいい、と聞けば、その場ですぐに定期購入ボタンをポチっとした。

 飲んだ翌日、朝5時に目を覚ましてしまった。凄。

・ワインバーでプライベートで来店したソムリエが「今日は1万円まで使える」と申し出てて、新ボトルを開けようとしていたので、「すぐさまシェアさせてくれ」と申し出た。

ソムリエの選ぶワインを飲んでみたい、と直感が働いた。

選んだのはスペインのワイン「メンダール」の白。

バカ旨かった。

散財した・・・。汗。笑。

・カラオケバーで初対面の人の歌に対して開始数秒で「引くほどうま~い!」と奇声を発し、横のおっさんから「何のためにその言葉を発してるんだ!?」と注意を受けた。汗。

他に、魚屋も、ハム屋も、映画も・・・あらら、止まらなくなってきた。

そんなにあるのか・・汗。

紹介いただいた人に、結果のフィードバックを欠かさないのだが、だいたいの人から言われる言葉が、「ハヤっ!」というものだ。

並べてみるとできる範囲の可愛らしいモノばかりで、何ともお恥ずかしいのだが、それでも私の癖が少しは克服できてきているのかも、と思えるようになっていた。

私の中の監視員

先の一覧のそれぞれが楽しかったことは間違いないが、その分、ただ散財が早まっただけではないか?と感じなくもない。

私は、この癖をホントに克服するべきだったんだろうか?

一つ一つを見るとそう評価できなくもないのだが、これだけ並べてみると何と幸せなことだろうか?と感じざるを得ない。

もし、以前のようにウジウジして先延ばしにしていたならば、これらすべてに出会うことはなかったのだ。

(あるいは、出会うタイミングがかなり遅くなってただろう。)

人から勧められることがなければ、出会うことがなかったモノばかりだ。

そしてモノばかりでなく、紹介してくれた人とのつながりもそこまでなかっただろう。

もしこれらがなかった人生を考えたら、何を感じて生きていたのだろうか?

未来を恐れて何もしない空虚のうちに、干からびてしまう人生だったのでないのか?汗。

さて、私の先延ばしにする癖は、どこから来ているのだろうか?

ひとつに私の自信から来ているのではないだろうか?

私は私の選択でもって私の人生を歩んできてうまくいっている、という自信だ。

それはさも素晴らしいように見える。

年をとって偉くもないのに偉さを演じなければならなくなると、周りに相談する意味も忘れてしまい、相談する機会もなく、惰性で自信が大きい自分のままで過ごすことになってしまう。

だから、人からのお勧めを社交辞令としてありがたくいただいておきながら、裏では一蹴することをしてきたんだ。

次に、童話「アリとキリギリス」の刷り込みによるものではないか?笑。

後のことを顧みず、日々の努力を怠ると大変なことになる。

努力を怠っては幸せになれない、と思い込んできた。

それに、運は同等説?なるものが加わる。

運がいいことが続くと悪いことが起こる、という思い、更にそこに「調子こいていると、足元を救われる。」が上乗せになった。

これは「油断大敵」のことを言っていて、これはこれで、ある意味真理をついていると思うのだが、そのことと運は同等説という似て非なるものを一体化して、強化してしまった。

運を使い果たしてはならない、人生は快楽を先延ばしにして慎重にいかないとならないのだと・・・。

最近目にしたこちらの本は、私がこれまでの癖の克服でやってきたことを見事にまとめてくれたような本だった。(←なぜか上目線?失。汗。)

この「キリギリスになってはいけないよ」「努力を怠ってはいけないよ」と自分の中でささやく者を自分の中の監視員だとして紹介してくれている。

「おい、俺の監視員はどんな奴だ!」

この監視員は自分の学んだ、あるいは、経験した範囲しか知らない。

そして、私の監視員の場合、世の中に努力少なく幸福を味わっている人がたくさんいることを知らない。

私の監視員は、小劇場も、ピノパラディーノも、メンダールも知らなかったのだ。

ここで、いい実験を見つけた。

監視員のいいなりになっているかどうかを見極めるテストだ。

あなたは、努力してないように見える人、あるいは苦労してなさそうで楽しそうな人を見た時に、なんと思うだろうか?

どこかズルい、怪しいと感じるだろうか?

ズルいと感じたあなたは、努力しないといけない、という監視員の言いなりになっていて、どこまで行っても努力するという苦労を引き寄せることだろう。

それが、苦労せずに幸福なんてありえないという監視員に心酔している証拠だからだ。

偉そうにいう私も、ズルいと思う気持ちで一杯になった。汗。笑。

確かに、努力しなくてもいい理由に、その人は私と違って裕福な家系だからで、それはズルい、ということがあるにはあるだろうが、そうでない人も世の中には確実に存在するのだ。

私はまだまだ、この癖の克服途上にいるようだ・・・。笑。

ダメ人間になる

自分の癖の裏には、やはり固定観念ーそれは幻想であるーというものがこびりついていた。

「自分の自信」であり、「アリとキリギリス」であり、「運同等説」。

その固定観念にしたがって監視する私の監視員からすると、先に挙げたような後先考えずに人に流されて直感だけで進む行為なんてものは、ダメ人間と蔑まれるのだろう。

「それは自分というものがないだろっ!ダメダメ。」「贅沢だよ、ダメダメ。」「しっぺ返しが来るぞ!ダメダメ。」と容赦ないダメ出しが飛んでくる。

ウーン、監視員の視界が狭くて無知であると知ってしまったからには、この監視員に対して、子供がグレるように抵抗しなければなるまい。

そう、抗ってダメ人間にならないといけない。

世の中でよく言われる自己肯定感というもの。

この自己肯定感を上げるには、2つの方法があると思う。

1つは、監視員の言いなりになること。

もう1つは、監視員に逆らってダメ人間になることだ。

監視員の言いなりを続けることと、ダメ人間になることのどちらかを取れ!というならば、私は間違いなくダメ人間になる方を選ぶ。

ダメ人間になればなるほど、自己肯定感は上がり幸福になる。

ダメ人間になって、自己否定する私の中の監視員を無視すればいいのだ。

そもそも、自己肯定感なんてものは上がる必要はなくて、自己否定をされない(=自己肯定感が低くならない)ようになればそれで十分だろう。

そう、幸せになるために、監視を避けて自己否定から逃れ、目の前のダメな行為を貪り尽くすのだ。

ホントに幸せな人は、こうしてるはずだ。

たぶん。

そして、ホントに幸せな人は、自分が世間でいうところのいわゆるダメ人間であることを知っている人で、それでもってそのダメ人間を直そうとはせずに放置して、他のやりたいことに意識が向いている人なのだ。

ホントの幸せをつかむにはダメ人間にならないといけない。

そして、ダメ人間になると固定観念から抜け出すことができるのだ。

自信の話に戻る。

自分の知る範囲なんて高々知れているものだ。

ならば、自信とは一体何なのだろうか?

ここでさもわかったように、無知の知を発動させてみる!自分なんてものを張ることなしに、周りに頼りきって流されるがいい!

たぶん自分を知る人ならば、自分に良かれと思うものを紹介してくれるはずだ。

自分より周りの方が自分を知ってるんではないか?そうだ、自分の監視員よりよっぽど信頼できるだろう。笑。

流されながら、したいことの先取りをどんどんしていく。

そういうことでいいんだろう。

ちなみに、既におわかりのように、ダメ人間になろう、と言っておいて、実はダメ人間とはダメ人間じゃないんだな。

ダメは監視員の評価基準によって創られるもので、ダメだと言われたら、その評価基準を真っ先に疑わなければならない。

少なくとも私の中の審査員の質は経験値が少ないから特に良くない。汗。笑。

そして、そもそもその評価基準は、社会のルール、常識、観念、から掴まされた幻想である。

世間のいうことを次々とアップデートする監視員を鵜呑みにしてはいけない。

その評価基準値は、日本人が好成績をあげたことによって、変えられたスポーツ競技の新ルールのようないい加減なものなのだ。

世間のいうことに魂を売らないぞ!汗。笑。

更にその質の悪い監視員が、高度になることを想像してみよう。

一日のノルマはこれだけ必要・・・。

分刻みのスケジュールでこなすべき・・・。

あれをしてはいけない、これをしてはいけない・・・

うるさ~~い!黙れ!

厳しい基準を課されることになり、ダメ人間として苦しむことから逃れられなくなるのだ。

私はそうはならないぞ!

「アリとキリギリス」に人生台無しにされてたまるかーっ!

・・・・言いたいことは言えた。

おっと、こんな私の質の悪い監視員の話、そんな情けない話で終わるのは誠に申し訳ない。

せめても私のこのつたない経験から、伝えたいことを最後に言って終わりにしたい。笑。汗。

人は、ダメ人間か、ダメ人間を隠している人間(理性で制御できていると本人は思っている人間)の二択である。

あなたは、あなたの監視員をうまくくぐり抜けて、チャンとダメ人間になれているだろうか?

人はダメ人間になれた時、幸福が訪れる。

ダメ人間にならないと絶対にホントの意味での幸福にはならない。

早くダメ人間になってしまいましょうよ!汗。笑。

こんな失礼な物言い、私はただ自分の仲間が欲しいだけかもしれない。

私は、ダメ人間を隠している人間から、ダメ人間に只今絶賛移行中。笑。

癖の克服からここまでのことを学んだ私の、癖克服劇はこれからもまだまだ続く。

UnsplashGift Habeshawが撮影した写真

【著者プロフィール】

RYO SASAKI

子供の頃の脳は、Θ波優位になることで、何でも吸収して真似るという風にできていると聞きました。

とすると、それをどこかでリセットする授業を義務教育の中にセットするのが良さそうに感じました。

今回もずいぶんと遅れてきた私の反抗期にお付き合いいただいてありがとうございました。

工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。

現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。

ブログ「日々是湧日」

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