田中 新吾

人に肩書きを決めてもらうのが楽しい。

タナカ シンゴ

ハグルマニという名で本格的に自営業を行うようになり1年以上が経過しました。

この間の活動を通じて自分の確固たる信念にまで昇華されたことがあります。

それが「肩書きは人に決めてもらう」というもの。

ここではこの信念について掘り下げてみたいと思いました。

私にとってのこの大きな変化には間違いなく影響を及ぼしたものがあります。

2024年7月に読んだスタジオジブリプロデューサーの石井朋彦さんの記事です。

鈴木敏夫氏が語った「世の中で一番強い肩書き」とは? スタジオジブリで学んだ『自分を捨てる仕事術』の大切さ

私が石井さんをリスペクトしている件については、過去記事でも確認いただけるのでもしよければご覧ください。

「今日はどれほど他人の真似をすることができたか?」を毎日のチェック項目にしているという話。

「人の作っているもの」に興味があり、「AIが作っているもの」にも興味があるという話。

昔のことで思い出したいことを鮮明に思い出すことは、一種の快楽という話。

私にはお会いしたこともない人を勝手に「メンター」としてしまう側面があるのですよね。

※お会いしたことがある人をメンターにすることももちろんあります…

メンターというのは実際に会ったことがある人だけに限る必要はないと思うからです。

自分が「この人をメンターにする」と決めて自ら取りにいけばいいだけだと。

記事の中で特に刺さったのは石井さんの以下の発言でした。

僕は今、自分の個人会社をやっているんですが、名刺には肩書きを入れていないんです。

広告の仕事も、映画の仕事も、本の仕事も、カメラの仕事も、いろいろやらせていただいていますが、基本は求められる仕事をやらせていただき、いただく肩書きをその仕事で名乗ることにしているんですね。

だからライカであれば、「写真家と名乗ってください」と言ってくださったので名乗っていますし、広告の仕事であれば「クリエイティブディレクターをやってください」と言われているのでクリエイティブディレクターを名乗っていますし、物を書く時には作家になるんですよね。

この部分がまさに我が意を得たりだったのです。

30代後半になった私が辿り着いた「ハグルマニ」という「生き方・働き方」は、石井さんほど様々な肩書きをいただいているわけではないのですが、考えてきたこと、今まさに考えていること、今後やっていきたいことは正直、同一線上にあるものだと思いました。

石井さんご本人からしてみればどうかは分かりませんが…

そんなハグルマニのミッションは「お客様が求める良き歯車になる」です。

ゆえに、

プランナーになって欲しいと求められればプランナーとしてプロジェクトに参画する。

経営をフォローアップして欲しいと求められれば経営の伴走者となる。

日々生まれる細々としたタスクの実行者になって欲しいと求められればタスクの実行者となる。

プロジェクトのマネジメントをして欲しいと求められればプロマネになる。

コンセプトを考えて欲しいと求められればコンセプトデザイナーになる。

名前を考えて欲しいと求められればお名前プロデューサーになる。

タスクシュート(タスク管理・時間管理メソッド)のことを教えて欲しいと求められれば、タスクシュートを教える先生になる。

私がハグルマニとして実践しているのはこういう生き方・働き方です。

つまり、石井さんのように「肩書きを人に決めてもらっている」と言っていいのかなと。

歯車が求められるその先で、必要とされる肩書きを誰かから与えてもらっている。

実は、ハグルマニとして動きはじめた際は「何か自分を示す肩書きはあった方がきっといい」という仮説のもと「プロジェクトデザイナー」と自分のことを称していました。

プロジェクトデザイナーに関する記事もそこそこ書きましたね。

今もなお名刺にはそのような記載はあります。

もっと振り返れば、新卒入社した総合マーケティング会社を辞め、社団法人を作った時にも自分のことを表す肩書きを自ら決めていました。

この時は「コミュニケーションディレクター」と称していました。

こうなったのは思えば「独立して動いていく場合には肩書きが無いと認識してもらえない」といった強い思い込みがおそらくあったのかなと思います。

何者でもない自分を何者かにしようとしていたと言いますか。

しかし、実際に動いてみた結果、「コミュニケーションディレクター」や「プロジェクトデザイナー」として仕事をする場合はたしかにありつつも、その通りの肩書きではない関わり方も多くありました。

ゆえに、「コミュニケーションディレクター」や「プロジェクトデザイナー」と自らを称することは真に自分の考え方を周囲に伝えることになっていないのではないかという気が長らくしていたのです。

こうした状況に包まれていた中で、偶然にも今年、石井さんの記事に巡り合い「肩書きは人に決めてもらう方がいい」という考え方を知り、これぞ我が意を得たりという感覚に至りました。

ここ数年曇っていた頭の中に急に光が差したと言いますか。

それからはハグルマニという活動名だけがあり、具体的な肩書きは決め込まない。

その時その時の必要や状況に応じて一番求められている肩書きを他人からいただく。

肩書きは他人につけていただく。

こういう生き方で良いし、こういう生き方でいこうと。

よくよく考えてみれば会社勤めの時は誰かから肩書きをいただいていたわけですが、自分で活動するようになってからこの感覚がどうも薄れていたのではないかと。

自分で肩書きを決めるという行為は、他者とひとつながりになっている自分をその縁起の中から強く切り出すようなイメージを今は持ちます。

これがきっと本質的ではない。

「他人に肩書きを決めてもらう」という考え方は、サッカーでいうところの「ポリバレント(=多価、多くの働きを持つ)」も意味合いとしては近しいのかもしれません。

SNSのプロフィールにも自ら決めた肩書きは今は存在していません。

あるのはハグルマニという屋号名のみです。

そして記載している肩書きはいずれも自分ではない誰かに与えてもらったものです。

お名前プロデューサーも、タスクシュート認定トレーナーも、栢の木まつり実行委員会事務局長も、有難いことに周囲から与えてもらいました。

ちなみに、肩書きを与えてくださるお相手が年上だろうと年下だろうと同年代だろうと、そこは私にとっては何の問題にもなりません。

重要なのは与えていただいた肩書きでその任務を真っ当すること。

石井さんは「人に肩書きを決めてもらうって、こんなに楽しいんだということを日々思う」とも述べていますが、この実感もずいぶん湧いてきています。

相手が求める形に自分を変化させ、歯車として噛み合わさっていく生き方が今の自分にとってはとても楽しい。

このマインドまで来るのに結構な時間はかかりましたが、きっと私にとっては必要な時間だったのだと思います。

ということで、この楽しいと思える感覚を、当面の間は追求していきたい。

今回の内容が少しでも何か役に立てば嬉しいです。

UnsplashAnnie Sprattが撮影した写真

【著者プロフィール】

著者:田中 新吾

ハグルマニ代表。お客様のビジネスやプロジェクトを推進する良き「歯車」になる。がミッション。お名前プロデューサー、タスクシュート認定トレーナー、#栢の木まつり 実行委員会事務局長としても活動をしています。

●X(旧Twitter)田中新吾

●note 田中新吾

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

記事URLをコピーしました