田中 新吾

時間の質を変える2つの視点(カイロス時間とクロノス時間)についての話。

タナカ シンゴ

同じ1時間でも、人によって感じ方が全く違う。

30分の会議が「あっという間」に感じる人もいれば、「永遠に感じる」人もいる。

この違いは一体何なのか?

違いを考察していく上で重要なのが、「カイロス時間」と「クロノス時間」という時間には2つの側面があるいう話です。

本記事が、時間の質を変えたいと感じている人にとって、少しでも参考になれば幸いです。

クロノス時間とは何か?

まず、クロノス時間について説明します。

クロノス時間とは、客観的で計測できる時間のことです。

時計の針が示す時間、つまり1時間は60分、1日は24時間という絶対的な時間を指します。

これは誰にでも平等に与えられる時間で、定量的で連続しています。

例えば、朝9時から10時までの1時間は、誰にとっても同じ60分間です。

時間記録を取る際に記録するのも、このクロノス時間です。

私が愛用しているタスクシュートでも、開始時間と終了時間を記録することで、このクロノス時間を可視化しています。

しかし、クロノス時間の長さだけでは、人生の質は測れません。

同じ1時間でも、人によって感じ方が全く違うからです。

カイロス時間とは何か?

一方、カイロス時間とは、主観的で質的な時間のことです。

意味や感情に満ちた時間、つまり「人に訪れる時間」を指します。

カイロスはギリシャ神話に登場する「機会の神」です。

特徴的なのは、前髪しかなく後ろ髪がないとされている点です。

これは、「チャンス(機会)は目の前に来たときにしかつかめず、通り過ぎてしまうともうつかめない」という意味を象徴しています。

カイロス時間の特徴は、人によって感じ方が異なることです。

同じ1時間でも、その中で何を感じ、何に没頭したかによって、カイロス時間は全く異なります。

例えば、15分の会議でも「得るものが多く、アクションも明確になり非常に有意義な時間だった」と感じることもあれば、昔の良い思い出を沢山思い出すことができ「豊かな時間だった」と感じることもあります。

自分の話を少しすると、最近学生時代の友人とご飯に行き、お腹が痛くなるほど笑ったのですが、この時間が非常に良質でした。

同じ時間でも、笑う回数や笑いの質によって時間の感じ方が異なるというのは最近の大きな発見です。

2つの時間の関係性

クロノス時間とカイロス時間は、対立するものではありません。

むしろ、相互に影響し合う関係にあります。

クロノス時間は「人に与えられる時間」、カイロス時間は「人に訪れる時間」です。

1時間というクロノス時間は等しくても、その1時間の中で何を感じ、何に没頭したかというカイロス時間は人によって全く異なります。

同じ1時間の読書でも、集中度や内容によってカイロス時間は変わります。

没頭している時は時間が長く感じられ、退屈している時は短く感じられる。

これがカイロス時間の特徴です。

時間の質(クロノス時間×カイロス時間)を変える実践方法

では、どのようにして時間の質を変えればよいのでしょうか?

1. 時間記録を取る

まず、時間記録を取ることで、使途不明時間をゼロにすることが重要です。

時間記録を取ることで、今、自分はこの時間を何に使っているのかを意識することができます。

これにより、時間が盗まれる感覚をなくすことができます。

私が利用しているタスクシュートでは、開始時間と終了時間を記録することで、この意識化を簡単に行うことができます。

2. 現在やっていることを意識する

現在やっていることを意識することが非常に重要です。

過去のことや未来のことばかり考えていると、現在感じることができるはずの時間はどんどん圧縮され、時間を短く感じてしまいます。

また、シングルタスクで集中することも大切です。

マルチタスクは収穫を焦ることにつながり、時間を短く感じさせてしまいます。

目の前のタスクの実行にフォーカスし、結果を手放してプロセスに集中する。

これが、カイロス時間を豊かにする秘訣です。

3. 「時間」の過ごし方ではなく「時間」との過ごし方を意識する

時間と踊る。

最近、私の認知をこういう風に書き換えようとしています。

参照:「時間と踊る」を意識して過ごしてみた話

バレリーナが一人で踊っているのではなく、地球と二人で踊っているように、自分は時間と二人で過ごしているというイメージです。

「時間」の過ごし方ではなく、「時間」との過ごし方。

この認知の違いが、時間の質を大きく変えるのではないかと考えています。

時間に追われる人から、時間と踊る人へ。

この意識の転換が、人生の質を向上させる鍵になると思います。

4. その時間で感じたことや気づきを、できるだけ具体的に記録する

時間の質を高めるためには、単に「何をしたか」だけでなく、「その時に何を感じたか」「どんな気づきがあったか」といった定性的な情報も記録しておくことが大切です。

たとえば、「集中できた」「楽しかった」「退屈だった」「新しい発見があった」など、主観的な感覚や印象を書き留めておくことで、自分にとって価値のある時間や、逆に消耗してしまう時間が見えてきます。

このような記録を続けることで、どんな活動が自分のカイロス時間を豊かにしてくれるのか、逆にどんな時に時間が短く感じられてしまうのかを客観的に振り返ることができます。

思うに、この結果として、より充実した時間の使い方を選択できるようになり、人生全体の質の向上にもつながります。

まとめ

時間には「クロノス時間」(客観的・計測可能な時間)と「カイロス時間」(主観的・質的な時間)の2つの側面があります。

同じ1時間でも、その質や感じ方は人や状況によって大きく異なります。これは、カイロス時間の捉え方が影響しているためです。

クロノス時間を記録して可視化することで、時間の使い方を客観的に把握できます。

また、今やっていることに意識を向けたり、感じたことや気づきを具体的に記録することで、カイロス時間を豊かにすることができます。

さらに、時間と「どう過ごすか」という視点を持つことで、時間の質(クロノス時間×カイロス時間をより高められるかもしれません(私自身は、最近は「時間と踊る」というイメージを意識しています)。

こうした工夫を積み重ねることで、時間の質が向上し、結果として人生全体の充実感にもつながるのではないかと感じています。

今回の内容が、みなさんの時間の使い方を見直すきっかけになれば幸いです。

以下のXも参考としてご覧ください。

UnsplashIcons8 Teamが撮影した写真

【著者プロフィール】

著者:田中 新吾
◼︎ハグルマニ / 命名創研 代表 大企業様
中小企業様、ベンチャー企業様、NPO法人様のプロジェクト推進に必要とされる「歯車に」なったり、「#名前座」の構築によるブランディング支援をしたりしています。
◼︎#栢の木まつり 実行委員会 委員長(地域づくり事業@入間市宮寺)
◼︎タスクシュート認定トレーナー

一瞬の神、ってめっちゃかっこよくないですか?カイロス。

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