RYO SASAKI

「無意識」を知ることで、物事を学ぶにあたってのスタンスが見えてくる。

タナカ シンゴ

人間には意識と無意識があって、95%~97%が無意識によって動いていると聞く。

参照:意識と無意識とは

呼吸をはじめ、各臓器が勝手に動いて人間を生かしてくれていることが無意識によるもの。

そして、直感的な危険回避行動も無意識によるものだ。

少し前に、この広大な無意識を脳がコントロールして抑え込んでしまう、という弊害のことを知った。

感情は抑える。

わがままを抑える。

今必要なものにだけフォーカスする。

このような合理的な判断によって、本来感じているものが感じられない偏った状態になったり、ストレスを溜めてしまったりしている現代人が多い。

私の以前のことを言われているようだった。

こちらは、無意識はそのままではよろしくないということのようだ。

一方で、最近の本に「無意識を書き換える」という言葉がよく出てきている。

こちらは、無意識はそのままでもよろしくないということのようだ。

これらを知ると無意識というものはかなりややこしいものに感じてくる。

そんなややこしいものが、人間の100%近くもを占めてしまっているというではないか。

これはおおごとである。笑。

今回は、そんな不安から「無意識」について知りたいと思った。

そこから行き着いた、物事をうまく学んでいくためのスタンスのようなものを紹介したいと思う。

無意識を意識化する

「無意識を書き換える」とは「トラウマ」を解消する方法として紹介されていることが多い。

親から言われた何気ない言葉が刷り込まれて「トラウマ」になる。

例えば、子供の頃に「不器用だ」と言われたとする。

それによって、新しいことに積極的でない性格になったりする。

自分は不器用であるとずーっと思い込んで、消極的になり自己肯定感の低いままに生きてしまう、というようなことだ。

無意識の中にネガティブな言葉が刷り込まれることで生まれる「トラウマ」。

これは誰にでも多かれ少なかれあるから、比較的簡単に生まれてしまうもののようだ。

そもそも無意識の動きは、人間が生きるために精巧に構築されてきた機能のはずなのだが。

その機能があったから人間がここまで繁栄したのであって、無意識がすることは概ね正しいはずである。

と考えると、言われたことに従順に素直に従うという無意識からの動きは、大人から力を借りなければ生きていけない子供に必要な機能として備わったであろうと思えてくる。

しかしその優れているはずの機能が、ネガティブな言葉によって「トラウマ」という弊害に変わってしまうのだ。

何にしても万能なものはない。

人生の目的が「ただ生きる」から「苦しみなく生きる」という風に進化して「トラウマ」という苦しみが表出してきたと言えるかもしれない。

さて、トラウマの解消のはじめの一歩は、無意識に刷り込まれたものに気づくことであるという。

それは無意識で既に自動運転になっていたものを意識化する、ということだ。

不器用だと思っていることを口に出して、自己肯定感が低い自分を客観視する。

そしてその原因が何によるものかを知り、それに納得するというステップだ。

こうして、無意識の書き換えに向かっていけるのだ。

ここで、このトラウマと同様のものがあることに気づいた。

記事に書いてきた「自分の常識を疑うシリーズ」。

「~であらねばならない」という常識ーそれはまた最初は意識して始まるのだがーそのうち無意識にすっぽりと入って自動運転になってしまう。

私が疑った私の常識には以下のようなものがあった。

・真面目

・努力

・現実主義

・完璧主義

「不器用な人間だ」という言葉が意識に刷り込まれるのと同様に、「真面目であるべき」と言ったような常識もまた意識に刷り込まれる。

そして、常識も無意識下で自動運転になるのだ。

これが子供に限ったことではないことは経験済み。

ここで問題が起こる。

強く刷り込まれて自動運転になると、真面目一辺倒、完璧一辺倒等が発動する。

常識が固着してあるべきに縛られる。

その視界が強烈に狭くなった人生は窮屈そのものだ。

真面目しかないと自分の不真面目さを許せず、努力しかないと自分の怠惰を許せなくなる。

寿命も延びるし、変化が激しい現代では、窮屈な時間が長くなってダメージもまた大きくなってしまう。

無意識にある常識に対してもその書き換えが必要になってくるというわけだ。

そしてはじめの一歩が、無意識の意識化=自分の常識を疑うこと、だった。

※客観視、メタ認知といった意味合いか・・・

どうやら自分は、トラウマの解消のようなことをしていたようだ。

こうして自動化してしまった無意識を意識化することは、人生を豊かにするために必要であると確信するのだった。

人生後半に何を学ぶのか?

寿命が長くなる現代。

長い人生の後半に何を学ぶべきか?

抽象的になるのだが、幅広く知ること、また、ひとつの物事をいろいろな角度から見ること、これによって人生は豊かになる。

それに際して、注意しないとならないことを感じた。

人間は、ものを知ると無意識に刷り込まれてそれに簡単に固着するようにできている。

それは、学ぶそばから固定観念が発生しているということでもある。

それに加えて、正解をわかって早く問題を解決してしまいたいという、単純化して効率化したい思いが人間にはある。

これが固着を更に助長する。

だから、学びによって刷り込まれることなく、知識に一定の距離をとっておくことが必要になってくる。

特定のものに固着しないように。

私の場合、新しい知識が入ると高揚してしまってその知識を本命に据えてしまう(神格化とでも言ううか)ようなところがある。

こんなお調子者は特に注意だ。汗。笑。

それだけが正しい、という本命なんてものは存在しない。

知識は何かに到着するためにあるのではなくて、変化するためにある。

そして、問題解決はいろんなものの組み合わせにある。

だから、学んだいろいろをいい加減に漂わせておく、というような感覚が大切だ。

今回の無意識を考えたことで、無意識を意識化をしてみることで固定観念をなくすことにつながった。

それに加えて意外にも、この先にどう学んでいくか?そのスタンスを得られたように思う。

学んだ幅広い知識や様々な視点をいい加減に漂わせておくこと。

いつでも捨てられるように、そして、いつでも組み合わせられるように・・・。

無意識の意識化と漂わせることの両方でもって、人はやっと自由に流れていけるようにも思えてくるのだった。

大人とは?

2022年4月に成年が20歳→18歳に引き上げられた。

これは法律的なことだけなのだろうけど、最後に「大人」というものを例にして複数の視点を漂わせること、その逆の刷り込まれるということを見てみたい。

ネットを検索してみて、

大人:

一般常識を学び、周囲の人を困らせたり不快にしたりしないように行動をする人。

ただ、一般常識にも間違った価値観が含まれていることも少なくないので、 正式という言葉に逃げずに、何が正しいのかきちんと考えることも、正しい大人の行動である。

自分の言動に責任を持ち、自分で自分の始末をつけられる人。

という説明がある。

これを読むと一瞬にしていくつもの違和感が生まれる。

・常識的であることだけが、大人なのか?

・そもそも常識的とはなにか?

・周りに迷惑をかけない、調和することだけしか言っていないように感じるのだが、ホントにそうなのか?

・なんでも責任を持つことができるのか?責任につぶされる大人がいるではないか。

・自分で始末をつける、とは一体どういうことなのか?

・正しいとは一体なんなのか?

この説明に文句をつけようというのではない。

この説明には、「一般常識に間違った価値観が含まれていることも少なくない」とあるだけ、考慮されていてむしろ素晴らしいと思う。

ただ、それだけ「大人」というものひとつをとっても理解するにも、表現するにも難しいものだということだ。

どれかひとつの説明で足りるものはなく、多面的で複雑なもの。

上記疑問のままどまっていたとしても、疑問が出た時点で十分知識と言えるのだ。

もし、「大人」とは何か?という問題の回答がこれであって、これを回答として覚えるならば、よっぽど注意していい加減な距離に置いておかないとこの内容での刷り込みが始まってしまうことになる。

これだけでは十分な学びとは言えないし、知らず知らずに窮屈になっていくのだろう。

数十年後の大人は間違いなく変わっているし、今現在も刻々と変化しているのだ。

すべての知識を貪欲に求めつつ、同時にすべての知識に警戒して距離をおいて学んでいくのならば、人生は自由で豊かなものになるのだろう、とあらためて感じるのだった。

参考文献:

無意識はいつも正しい

自分のままで突き抜ける無意識の法則

大丈夫!すべて思い通り。 一瞬で現実が変わる無意識のつかいかた

UnsplashAnnie Sprattが撮影した写真

【著者プロフィール】

RYO SASAKI

今回は「無意識」から意外なところに着地しました。

いい加減がわかっている人は、本質がわかっている人なのだと思います。

そんな人に憧れるところがあるのです。

工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。

現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。

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