田中 新吾

改修された古民家から感銘を受けたこと。

タナカ シンゴ

島根県大森町で感銘を受けたものに「改修された古民家」があります。

この町では行政主導というよりも民間主導での空き家再生が進んでおり、二大企業である「中村ブレイス」さんと「石見銀山生活文化研究所(=以下、郡言堂)」さんにより多くの古民家が再生されています。

中村ブレイスさんで約60軒、郡言堂さんで約10件ほどの古民家を再生しているんだとか。

滞在期間中に感銘を受けたこととして、少し書いておこうと思います。

直しすぎていないからこそ尊い

郡言堂さんが改修を手がけた「加藤家」と「阿部家」を見せてもらった後にこんなツイートをしました。

お金がなかったから、短い時間で一気に改修できず、ゆっくりゆっくりその時々の気持ちで改修できたことが逆によかったと言っていましたが、舌を巻くところばかりでそれは本当に尊いものだと思いました。

加藤家や阿部家のそれを見たときに「直しすぎていない」こう思ったんです。

使える部分はしっかり残して、腐ったりダメになってしまったところだけ補修するといった姿勢が其処此処に見受けられました。その家の声を聴き、その家が直して欲しいと思っているところだけを直している。そんな気がしました。

だからこそ、その家が元々もっている佇まいや風情を残したまま新しい時代との接点を作ることができるんだろうなあと思ったり。

新しくするのはお金さえあればとても簡単なことです。でも、直しすぎないことは凄く難しい。であるからこそ、見た時に僕は尊く思ったのだと思います。

用を果たさなければ見ることのできない美しさ

用の結果の美。これは大森町にきて知った言葉の一つです。

改修された古民家には、枕木や廃材で作られたテーブル、古い瓦を砕いてタイル代わりにしている床、錆びたトタンでつくられたファサードなど、廃材の利用が目立ちます。

これらの仕事は楫谷さんという職人さんがすべて行った仕事のようですが、どれもこれも本当に美しいです。

どんなものも新品はきれいだけれど、何年か使い込むと手や暮らしに馴染み味わいが出てくるものです。僕はひとが毎日使い込んだ結果、生まれ出る輝きが大好きです。そして、それを美しいと思います。

このことを「用の結果の美」というんだそうです。大森町にきてはじめて知りました。

この用を果たさなければ見ることのできない美しさに、もしかしたら普通の人は見向きもしないかもしれませんが、阿部家や加藤家はこの価値を一個づつすくい上げていくような存在に見えました。

別に僕は古民家の改修を専門でやっているものでもなんでもないので、説得力には欠けてしまいますが、今まで見てきた古民家改修の中で大森町のその価値は、どのものよりもズバ抜けて高いと感じました。

次回の大森町に来る際は、阿部家または加藤家での宿泊を目的に来たいと思います。

気になる方は下記リンクから見てみてください。

参考:石見銀山暮らす宿

さいごに

昨晩は、三浦さん(@miura_henshucho )の粋なはからいで、大森町の人気パン屋「ベッカライ コンディトライ ヒダカ」での食事会に参加させてもらいました。

パン屋で蕎麦を愛でるという不思議な会でしたが、その蕎麦が本当に美味しくてついついほお張ってしまいました。大田市で蕎麦屋を経営しているひとがこの時のためにうってくれたみたいです。感謝。下のツイートの左が日高さんで、右が蕎麦屋さん。

参考記事:世界遺産「石見銀山」の町で人気のドイツパンとお菓子の店!島根県太田市「ベッカライ コンディトライ ヒダカ」

今日の夜の飛行機で埼玉の家に戻ります。本当に短い時間でしたが振り返るととても充実していたと思います。群言堂の松場さん(@tadashi_matsuba )、三浦さん(@miura_henshucho )には感謝しても仕切れません。

大森町の魅力を他にも伝播させることや、他の誰かとまたくることでこのご恩を少しづつ返していけたらなと思います。

また、今回の旅費をpolcaで支援してくださった皆さんには心から感謝をしています。お陰様で忘れられない貴重な体験をたくさんすることができました。大森町に来れて本当によかった。

それでは今日はこの辺で!

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