ポジティブ思考で長生きするには、まずは了見を広げてポジとネガの両方を捉えることから始めるのがいい。
前回の記事の続きで「私の合理的な判断が裏目に出る話」から始めてみたい。
私はとにかく渋滞が嫌いだ。
待っている意味のない時間がとにかく嫌なのだ。
今はましになったが、以前は運転中に前にバスがいると最悪な気分になり、バスが停留場に停まろうものならば、すぐさま追い抜きをするし、バスが停留所から出ようとする時に絶対に道を譲ることはなかった。
それが、目的地への一早い到着を獲得するための合理的な選択だと思っていたわけだ。
同様に、待ち合わせ時間に対してはいつも時間ピッタリに到着するように計算していた。
到着地で持て余した時間は無駄な時間であるから、そうならないようにしていた。
もちろん、仕事であれば5分前到着、10分前到着などに矯正されて何とかやってきたのだが、プライベートになるとずーっとこの癖のままだった。
さて、これが本当に合理的な判断なのか?
という疑問からスタートしてみたい。
ドキドキで寿命が削られる!?
私のこれらの判断に対しては、急いで事故につながる、や、相手を待たせる、などご批判を多いに受けそうなものだが、話を自分事だけのシンプルなものにするために今回はスルーさせていただく。
私のこの判断がホントに合理的なのか?という疑問が浮かんだのは以下の記事を読んだ時だった。
出典:鳥類(及び哺乳類)の体重、心拍数、寿命の相互関係/鳥類も傾向は哺乳類とほぼ同じ
※人間は特異点のようなのだが、ここでは動物全般として進める。
バスの先に行こうとする時の頑張りや焦り、ピッタリ待ち合わせ時間に到着しようとする時の頑張りや焦りが、心拍数を上げてしまっているのではないだろうか?
確かに毎回ドキドキしていたように記憶している。
同様にイライラしていたことも。
ともにストレスになっているようにも思い、気になり始めた。
ストレスが病気に関係しているともいうし・・・。
ドキドキやイライラで寿命を削っていやしまいか?
最近の健康長寿に関する情報と照らし合わせてみることにしよう。
『死ぬまで老けない人がやっている超意外なこととは!?』
まずこちらは、人が老けないために、適度なストレスが必要である、ということを実験データを元に紹介している動画である。
お風呂であったまるだけでなくて、最後に水を体にかけると緊急事態に対応しようとして人の体は頑張って元気になるという。
人前で話す、新しいことをする、などドキドキすることの刺激が健康に導くものであるとも主張している。
とすると、バスを追い越すドキドキだって、イライラだって、返って老けないためのいい刺激になるということだろう。
『運動脳』
次に、こちらは、5分のウォーキング・ランニングが脳に作用して、学力・集中力・記憶力・創造性が高まり、よく動いていた先祖が生き残ってきたことを紹介した本になる。
ウォーキング・ランニングでは心拍数が高まるから、先ほどの寿命との関係とは逆のことを言っていることになりそうだ。
でも、何となく理解できる。
現代人は太り過ぎだから、心拍数だけでは寿命は決めらんないんだろうと思う。
『「寿命が延びる」方法を1冊にまとめてみた』
こちらは、上記「運動脳」とは一見して逆の、「運動すると寿命が縮まる」という実験データを紹介した本になる。
運動と心疾患による死亡率の関係は、運動を全くしない人より、週1回→週2回→週3回と運動が増えるに連れて死亡率が下がるが、週6回を連続で行うより1日おきに運動する方が死亡率が下がるという。
筋トレ後の筋肉が回復するまで48時間が必要だと言うが、これと同じように体には回復するための時間が必要であると言えるのではないか?
健康長寿情報を統合してみよう!
これらの情報から、バスを追い抜く私の合理的な判断に結論が出るだろうか?
情報は足りないかもしれないが、どこまで行ってもエビデンス不足で矛盾が出てくるものだ。
私の寿命はそれをとても待っていられないから、自分の感覚に照らし合わせた類推で答えを出そうと思う。
その答えが例え間違ったとしても、信じることができるのが人間の素晴らしさだし・・・などと言い訳しながら。
まずドキドキやイライラという不快なものも、運動や冷たさと同様に刺激としてある程度までは、体を頑張らせる良いものと捉えることができる。
同時に、ドキドキやイライラは大きく括ると筋肉への刺激同様に負荷でもあるので、筋肉と同じように疲れるはずである。
よって、ドキドキやイライラによる疲労をとらないと健康長寿にはならない。
ドキドキやイライラだって筋肉同様、例えば48時間の間をおかないとならないのではないだろうか?
最近、疲労度を大雑把に測定できるある機械があって、疲労は1日寝たからといって取れるものではないことを体感したところだったこともこの考えを支えている面もある。
1日の疲れが1日でとれずにそのまま惰性で頑張って土日にグッタリする、ということは多くの方も経験してきているのではないだろうか?
その感覚とも一致する。
だから、ドキドキやイライラは例えば、週3回1日おきにやったらいい刺激になるのだ!笑。
週休2日というのは5日間連続で筋トレをするようなものだから、疲労が蓄積し老化は促進する、ということでそもそも現代のシステムは人間の体に合っていないと敢えて言ってみよう。
それから、仕事するしないにかかわらず、土日も含むプライベートの時間も急いだりして、ドキドキ・イライラすれば疲労は1週間連続となり、結果疲労が蓄積して老化が早まると言える。
あまっちょろいことを言うと、ほとんどの人がオーバーペースで人生を生きているとも言えるのではないか?
そういう意味でも現代人はドキドキ・イライラは減らした方がいい人が多いのではないか?と思う。
このドキドキ・イライラが厄介なことは、筋トレは自分の意志で休むことはできるのに対して、意識して休むことができづらいということだ。
人には感じ方あるいは考え方の癖があって、イライラする人、ドキドキする人は結構ずーっとそうしている。
今日はイライラ・ドキドキをしない日などとして急に切り替えることができない。
だから、逆にこの感じ方や考え方の切り替えにチャンスがあると感じるのだが。
ここで、この自分の主張に一旦反論しておきたい。
それでもイライラ・ドキドキはずーっと続くのではなくて断続的だから、休憩日までは不要なのではないか?
そして、そもそも人生の目的は、長生きすることではなくて、身を削っても何かを成し遂げることなのではないか?
どちらも反論のしようがないから、「個人差もあるし、程度問題だろう」とボヤかして先に進める。
さて、早く到着するという目的達成によって、私の寿命を削っている可能性があるとするならば、目的設定を変えなければならないのかもしれない。
ひとつひとつの早い目標到達は寿命を削ることに見合うだけのものだろうか?
短期の目的と長期の目的。
物事を長期的に見ることは難しいものだと今やっと反省する。
判断が合理的かどうか?という以前に私の目的の設定がどうだったかで揺れ始める。
結論は一生出ないだろう。
程度問題であるとしか言いようがない。
わからないながらに今更だが、デリケートな体を少し大切にしようと思った。
こうして私の合理的な判断には、またしても怪しさが漂うことになった。
更にポジティブシンキングとも統合してみよう
健康長寿の話をもう一つ続ける。
『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』
この本には、健康長寿には『楽観性』が必要である、とあった。
そして、当然ながら楽観的に生きるにはポジティブ思考が必要、だという。
幸福に生きるためのポジティブ思考は、ずいぶん前から言われている。
これに対して、誰でもそうはなれないし、日本人はネガティブ思考だから難しい、とかネガティブ思考も必要だ、という反論がいろいろ出ていた記憶がある。
この本は、ポジティブ思考を獲得するためのトレーニングとして、一日のいいことーそれは些細な事であってもー5つ思い出して一日を終えるということをあげている。
日々の出来事にはかならずポジティブな事があるというわけだ。
物事にはネガティブな事とポジティブな事がある。
その中から、ポジティブな事を抽出する、あるいはポジティブな事に光を当てることで気分が良くなり、ポジティブな事の見方が優勢になり、ネガティブな事が入る隙が段々少なくなる、というのだ。
これまで知りえたポジティブ思考のお勧めとは少し表現が異なっていて、なるほど、と思った。
そしてまた思ったことは、ポジティブな物事とネガティブな物事があると同時に、一つの物事にも必ずポジティブな面とネガティブな面があるということだ。
私のバスの話で言えば、ドキドキ・イライラをネガティブな事と捉えることが普通なのだろうけど、それでも早い到着ができることはポジティブな事であり、更に見てきたようにイライラ・ドキドキは良い刺激として体に必要だという意味ではポジティブな面である。
身を削ると知ってバスに譲るようになれば、イライラ・ドキドキはなくなる、あるいは、譲る我慢ができる、と考えればそれはどちらもポジティブな面であると言える。
いろいろな角度から見るとポジティブとネガティブをそこここに気づくことができる。
ここに至って、狭かった私の了見が広がっているのかも、と感じられたりもした。
了見が狭くならずにーそれは自分の感情に引っ張られずにということになろうがーいろいろな角度から物事に光を当てて見る。
そうすると必ずや、ポジティブな面とネガティブな面の両方を見ることができる。
芸人に習えば、いじられたらおいしい。
失敗は次なる成功の糧になる。
失敗は人をタフにする。
などなど。
更に言えば、私の分別によるポジティブやネガティブなんてものは、物事のほんの一面しか見ていないから、とても信頼などできないといい加減わかるべきなのだろう。笑。
物事はもっと深淵で複雑にからまっているような思いにだんだん変化してきている。
まあ、そこまで言ってしまってはもともこもないかところもあるから、とりあえず両面を捉えるようにしよう、と言っておく。
両面を捉えられれば、次には頭の中のポジティブな面の勢力を徐々に広げていけて、少しずつかもしれないが楽観的に傾いていくことは自然な流れだと感じる。
物事をいろいろな角度から見る
↓
ポジティブな面とネガティブな面を感じる
↓
ポジティブな面の勢力を広げる
この健康長寿の件で言えばポイントは、根っからのネガティブな人をどうポジティブにするかである。
ここまで近くにいたネガティブな人を思い出すと、ネガティブな人=頑固な人と言えるのではないか?と感じる。
そんな人は絶対に大切な何かを持っていて、そらからずれてしまった時にいくら「大丈夫」「こういう面から良かった」などと励ましたとしても人の話を聞きやしない。
ポジティブな面を一切見ようとしない。
固執が強い。
こう書いていると、どうも自分の昔のことを言っているみたいに思えてきてしまった。汗。
ネガティブな人は頑固にならずに了見を広げることが、ポジティブの前にするべきことなのだと思いに至るのだった。
最後にまたお酒の話で説得しよう
今回の気づきは、まずは健康長寿のためには不要なイライラ・ドキドキの時間を減らそう!というものだ。
意外にも人の体は、1日で十分と言われている食事や睡眠だけでは復活しないデリケートなものかもしれない。
そして、もう一つは楽観的に生きるために了見を広げることが大切だ、ということ。
これについては最後にお酒の話で後押しをしたい。
コロナ禍で外食がなくなった時に、自分で用意しないとならないなどもあって残念(ネガティブ)に思えたのだったが、家呑みはお店よりお酒の値段が安く飲めるから、それはそれでいい(ポジティブ)と思った。
ところがである。
この家呑みのお酒を安く買っていること(ポジティブ)が、どこか自分の無意識の計算にあって酒量が多くなっていることに気づいたのだった。
思えば、外食では逆に支出を抑える(ポジティブ)ためにお酒を控えているところがあったのだ。
こんな風に、もはや家呑みにすらポジティブとネガティブが混在していて、何がどうなのかどっちがどうなのかわからなくなってしまうものだ。
家呑みは、支出を抑えるという目的や美味しいお酒をたくさん呑みたいという目的に対しては、ポジティブであるが、長く健康に呑むという目的に対しては、ネガティブである。
このことに目的設定というものが、そもそも簡単ではないのだと感じるのだった。
何を言っているのか?
家呑みで酒量を抑えればいいではないか・・・
いや、そもそもお酒の話でポジティブとネガティブを語るなんて軽すぎるではないか・・・
おっしゃる通り。
・・・
それでも言っておきたい。
私は、外食したい時は手間のなさ、美味しさ、酒量抑制による健康というポジティブな面だけを見つめて、家呑みでは経済性と美味しくたくさん味わう、というポジティブな面だけを見つめている。
これこそ健康長寿のための楽観性なのだ。笑。
このことに対しても、周りから「都合のいいことを言っている」「そもそも飲酒自体はどうなんだ?」などと大いにご批判をいただくことだろう。
確かに、論理的ではないししっかりした説明になっていない。
特に答えを求める真面目な人、答えに固執する人には納得がいかないだろう。
でも、このご都合の良さこそが楽観性なのだ。
答えを固定して、答えに固執するとネガティブが除外できない。
これに関してはどんなに重い話のことになろうが、基本的に考え方が一緒なのだと思う。
少し楽観的になった今の自分から、真面目で答えに固執した昔の自分へのこのようなメッセージをして逃げるように終わることにしよう。
UnsplashのShawn Rainが撮影した写真
【著者プロフィール】
RYO SASAKI
3年ぶりだという博多のビールフェスに参加してきました。
大変な人で注文の長蛇の列に並んでいた時に、一人の中年の男性が列の最後尾に並ばずにスルスルと横入りしているのを発見しました。
サイコパスでないならば、罪悪感でドキドキしているだろうから、身を削っているなあ、などと思いました。
眉間の皺深く、たくさんのドキドキを受け入れる以前の自分を見ているようでした。汗。
工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。
現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。
ブログ「日々是湧日」
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