タナカシンゴ

なぜ私は「今日の仕事が、楽しみ」なのか。その本質的な理由が分かった。

今日の仕事は、楽しみですか。

皆さんご存知、先日、品川駅のコンコース(通称、社畜回廊)をジャックした経済メディア「NewsPicks」の広告である。

「品川駅に関係のない場所にいてよかった」

「ディストピア感が半端ない」

「よけい仕事が辛くなりそうです」

「言葉の呪い感あって結構危ういなと思った」

「しんどい誰かにとっての変なスイッチを押しかねない」

ネット上で多くの人の反感を買い、即日取下げとなったことで話題になった。

だが、この一連の反応は私にとっては「意外」だった。

なぜなら私にとって仕事とは、昔から「楽しみ」なものだからである。

しかし、「仕事なんか楽しみではない」と思う人がいるのも分からなくはない。

上司や先輩との人間関係がうまくいかない。

同期が自分よりも先にどんどん昇進していく。

顧客からは辛辣なクレームを受ける。

残業ばかりでロクに休めない。

思うように成果が出ない。

したがって、苦しい、辛い、きつい、しんどい。

確かに、仕事というのはこういう瞬間が多い。

楽しい仕事というのは希少で、楽しい仕事でスキルもつく仕事はもっと希少だ。

これが実態だと私も思う。

だからこそ「今日の仕事は、楽しみですか。」という問いかけに強く背離する人が多かったのだろう。

しかし、こういう実態をひっくるめても、私にとって仕事は「楽しみ」なものとして認識している。

決して強がりではない。

なぜ私は仕事が「楽しみ」なのか?

それは人生で欲しているものが「経験」だからだ。

信用、健康、幸福、人生で欲しいものは色々とあるが、私が何よりも欲しているものは「経験」だと断言できる。

したがって、障害、挫折、失敗、成功、歓喜といった経験を、様々なバリエーションで得られる仕事が「楽しみ」なのだ。

この経験の中から、

「なぜうまくいったのか」

「なぜうまくいかなかったのか」

「どうすればもっと良くなるのか」

あるいは、

「お客さんは何と言ったか」

「仲間は何と言ったのか」

「それを自分はどのように理解したのか」

このようにして、自らした経験を、よく観察して、分析して、理解する。

そして、経験を再現可能な形にしたり、再発を防いだり、自身の知識として固定化できるように試行錯誤を重ねていくプロセスも「楽しみ」になっている。

今まで自分が仕事を「楽しみ」だと感じる理由は、このあたりだとほぼ確信していた。

ところが。

私はつい最近になってこれ以上に納得のいく本質的な理由を発見した。

それは、自分の「強み」を活かすことができていたから、というものであった。

「仕事が楽しい」と思える人は、毎日、「強み」を使う機会がある

最近「幸福の習慣」という本に目を通した。

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今から10年も前に世に出た本だが、「統計的に幸せをとらえている」「50年以上かけた調査」というので関心が湧いて手にとった。

この本は、アメリカの世論調査会社・ギャラップ社が、1950年代から「元気で充実した人生を生きるために何ができるか」というテーマで、世界150カ国にわたるグローバル調査を実施した内容がまとまったものである。

調査の結果、ギャラップ社は人の幸福を決定する「5つの要素」を明らかにした。

5つの要素とは次の通り。

1.仕事の幸福

2.人間関係の幸福

3.経済的な幸福

4.身体的な幸福

5.地域社会の幸福

著者であるトム・ラス氏は、この5つの中でも、殊更「仕事の幸福」が人生において重要だと強調している。

仕事の幸福度が高い人は、毎朝ワクワクしてい目覚めることができます。

家で仕事をしている人でも、学生でも、会社で仕事をする人でも同じです。

(中略)

「仕事の幸福度が高い人は、実は働きすぎなのではないか?」と思われる人もいるかもしれません。

しかし、実際のところ、彼らは仕事の幸福度が低い人より、仕事もプライベートも楽しんでいて、人間関係も良好です。

また彼らは、日々の生活や仕事や人間関係がうまくいっていることを当然だとは思っていません。

日々の仕事や生活一つ一つに感謝し、大切にしています。

そして、私にとって遥かに大きな発見となったのが以下の事実だ。

「仕事が楽しい」と思える人に共通する点がいくつかありますが、その中で最も重要なのは、「毎日、強みを使う機会がある」ことです。

自分の弱みや失敗に意識を向けるよりも、うまくいっていること、自分の強みに目を向けて日々を送る方が、人は多くのことを学び成長できます。

ギャラップ社の調査では、自分の強みを活かして仕事をしている人は、弱みに意識を向けて仕事をしている人に比べて、仕事に熱意を感じて楽しんでいる割合は6倍、人生を心から楽しんでいる割合は3倍という結果が出ています。

自分の強みを活かして仕事をしている人は、週40時間の業務時間を楽しんでいます。

一方、自分の強みを活かせずに仕事をしている人は、週20時間までは元気に働けますが、20時間を超えたあとは、働けば働くほど疲れてしまいます。

これはアメリカだけの現象ではなく、世界的に同じ傾向です。

(太線は筆者)

私は、経営学の大家、ピーター・F・ドラッガーが、

何事かを成し遂げるのは、人の強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない

という名言を残していることは以前から知っていた。

だから前職で管理職をしていた時も「人の強み」を意識したマネジメントを心掛けた。

やってみると「弱み」を人並みにするにはかなり骨が折れる。

しかし「強み」が「楽しい」という感情にここまでポジティブに作用していることは、この本を読むまで知りもしなかった。

毎日強みを使ってる人は、使ってない人に比べ、

仕事に熱意を感じ、楽しんでる割合は6倍

人生を心から楽しんでいる割合は3倍

この項目を見つけた時の衝撃はなかなかのものだった。

私は時々「知っているか知らないか」という小さな差が、大きな差を生むことになるインパクトポイントに出会すことがあるのだが、これもその一つになる。

仮にも今の仕事が「楽しい」と思えていないのならば、その原因は「強み」を使えていないことの可能性が非常に高い。

したがって、自分の強みの検証に力を入れることや、今置かれている環境を変えようとすることは、人生のための賢明な判断となるだろう。

成果を出しながら長く勤務することできたのは、自分の「強み」を使う機会が毎日あったから

この事実は、何の違和感もなくストンと私の腹に落ちた。

思い返せば、自分の「強み」を使うことができていた、と思うからである。

したがって、強みを使うことができていたから「仕事が楽しみ」だと思えていたのだと自分の認識を改めた。

確かに、仕事からは様々な「経験」が得られる。

だが、もしも経験が得られる過程で、強みが発揮できていなかったとすれば、楽しみはきっと僅かしか得られなかっただろう。

判明したのは今になってだが、自分の「強み」が発揮できる仕事環境に身を置けていたことが、私の「楽しみ」に直結していたのだ。

前職を離れて直ぐくらいに、「ストレングスファインダー®」が、私の最も特徴的な「強み」は下の5つだと教えてくれた。

1.学習欲

2.個別化

3.着想

4.活発性

5.最上志向

具体的には以下のようなものだった。

学習欲」の資質が高い人は、学習意欲が旺盛で、常に向上を望んでいます。

結果よりも学習すること自体に意義を見出します。

楽しそうに何かを学んでいる姿は他の人の学習意欲をかきたてます。

学習することの楽しさを伝えていきましょう。

<向いている職種>

・営業職、販売職

・マネージャー

・コンサルタント

個別化」の資質が高い人は、一人ひとりが持つユニークな個性に興味をひかれます。

異なるタイプの人たちの集団をまとめ、生産性の高いチームを作ることに長けています。

<向いている職種>

・カウンセリング、アドバイザー

・教職、家庭教師

・多様な人と接する仕事

着想」の資質が高い人は、新しいアイデアを考えるのが大好きです。

見た目には共通点のない現象に、関連性を見出すことができます。

<向いている職種>

・ マーケティング・商品開発

・メディア、広告代理店

・デザイナー

活発性」の資質が高い人は、アイデアを実行に移すことにより結果をもたらします。

単に話すだけではなく、いますぐ実行することを望みます。

<向いている職種>

・起業、事業再生

・新規開拓営業

最上志向」の資質が高い人は、個人や集団の卓越性を高める手段として、強みに注目します。

優れたものを最高レベルのものに変えようとします。

才能に目を向けそれを伸ばすスペシャリスト。

<向いている職種>

・一芸に秀でた職業

・起業家

昔、私が在籍していたマーケティングファームは、企業のマーケティング課題を解決することをミッションとする会社だった。

参照:ストレングスファインダー®とは

最初に配属されたのは法人営業。

2〜3年の間はマーケティングソリューションを販売することをメインのミッションとして、テレアポ、DM、紹介、外部の勉強会への参加、社内営業、出来る手立てを尽くした。

その後、プロジェクトリーダーとして複数のソリューションチームを牽引。

顧客課題を解決する責任を負うようになった。

6年目以降に管理職になった私は、人を動かし、チームを動かし、チームとして成果を出すことも求められた。

振り返ればこのいずれの経験においても、前出の5つの強みを使うことができていたのだ。

「学習欲」「個別化」「着想」「活発性」にいたっては、それこそ毎日使う機会があったと思う。

私の知る限りでは、新卒で入社をして3年も経つと転職する人もそれなりにいた。

「キツい」「大変だ」という理由からだ。

確かに私も「キツい」「大変」と思ったことはたくさんあった。

それでも、丸7年それなりの成果を出しながら勤務することできたのは、自分の「強み」を使う機会が毎日あり、「仕事が楽しい」と思えていたからだったのだ。

仕事が変わった今もなお「楽しみ」だと思えているのは、毎日自分の強みを使う機会がある、ということなのだろう。

今日の仕事は楽しみですか。

冒頭にあるとおり、この広告は多くの人の反感を買った。

だが、少なくとも私にとっては「新しい発見」につながる、良い問いであったと今思う。

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【著者プロフィール】

タナカ シンゴ

「われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか」という本の最後に「楽しい人生にたどり着くための10のステップ」が記されていました。

1 現在を生きる

2 心地よいひとときを探す

3 幸せを護って健康を保つ

4 モノではなく経験を蓄積する

5 食べもの、友だち、性的関係を優先する

6 協力する

7 共同体の一員になる

8 新しいことを学ぶ

9 強みを活かす

10 幸せの原型を探す

理工学部卒業後、マーケティングファームに7年間勤務。国内大手企業や外資系企業をクライアントに、法人営業、リサーチ、コンサルティング、商品開発、集客、マネジメント、リーダーシップの現場経験を積みジョブチェンジ。

現在はNPOと一人会社も兼業で、商品開発と集客のプロジェクト運営をしたり、webライティングをしたり、ネーミング開発もしたりしています。

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