「大人が孤独感を感じてしまう構造」と「守護神」という役割の必要性について。
もう随分前のことですが、こんな投稿をしたことがありました。(当時のTwitterに)
歳を重ねれば重ねるほど「人を好きになること」って大事になるんだな、とふと思いました。
若い時は誰でも自分に優しくしてくれます。
赤ちゃんや子供をイメージすれば分かるかと。
しかしながら、歳を重ねれば重ねるほど「価値」か「好意」のどちらかを相手に示さないかぎり、どんどん「孤独感」を感じてしまいます。
「価値」は相手によって見出されたり見出されなかったり、そして上下するものなので自分でコントロールできない場合がほとんどです。
一方で「好意」に関しては自分でコントロールすることが可能だと思います。
シンプルに自分が好きな気持ちを持てばいいわけだから。
だからこそ、孤独感を感じたくないと思うなら、歳を重ねれば重ねるほど「人を好きになること」が大切になってくると思うわけです。
ちなみに、孤独感と孤独は非なる概念なので一緒くたにして考えてしまうのはよろしくない。
「孤独感」は一人の人が感じるのではなく、集団生活をしている人が感じることがある心の病。
一方の「孤独」という状態には、思考を深めるなどメリットを享受できる場合はよくあります。
クリエイターで漫画家のみうらじゅんさんも、大人が孤独感を感じてしまう構造について分かりやすく説明してくれています。
大人になるとみんなホメてもらいたいんだけど、みんながみんなそう思っているのでなかなか自分の順番が回ってこない。
だから大人は寂しい。
これを知った時は大きく膝を打ってしまいました。
「本当にそうだよなあ」と。
自分自身、思い当たる部分が多いのでときどき見返したい名言としてストックしているものでもあります。
*
ここまでの内容を整理すると以下のようになると思っています。
大人になるとみんなホメてもらいたい
↓
みんながみんなそう思っているのでなかなか自分の順番が回ってこない
↓
だから大人は孤独感を感じる
このフローに対して、
大人になるとみんなホメてもらいたい
↓
みんながみんなそう思っているのでなかなか自分の順番が回ってこない
↓
だからこそ自分から相手に「価値」か「好意」を示す
↓
そうすると孤独感を感じなくて済む
思うに、このようなフローに変えていくことができれば大人の孤独感は回避ができる。
ゆえに私自身かなり意識をしていることでもあります。
*
しかしながら、
「では全ての大人が価値か好意を示すことができるのでしょうか?」
こう聞かれたら私は「そうではない」と答えると思います。
なぜなら、それをすることができずに悩んで孤独感を感じてしまっている大人も実際にいることを知っているから。
なかなか根深く難しい問題ですが、こういうタイプの大人はできないから自分の順番が回ってくるのをただ待つしかない。
「こうした状況に対して救いの手は何もないのだろうか?」
そう思っていたところ、大きなヒントになると思える記事を見つけました。
もうだいぶ前(2019年)のものではありますが、新R25の関根勤さんのインタビュー記事です。
人は、育てる前に守るべき。“褒めの達人”関根勤が「僕は守護神でいたい」と語るワケ
この記事の中で関根さんは「守護神」の必要性を説いています。
「守護神?なんだそれは?」
そう思った方も多いかもしれませんが、私は読後、この聞き慣れない「新しい役割」の必要性を強く感じました。
そして、先ほどあげた「大人の孤独」という課題の解決策にもなりそうだなと思ったわけです。
以下で私の心が動いた箇所を引用します。
「この人に相談すれば、絶対に自分のことを肯定してくれる」と思える存在ですね。
今の時代、そういう「無条件で人の味方になれる大人」が、世の中にもっと必要だと思うんです。
僕はね、世の中で一番褒めてあげなきゃいけないのって「うまくいかなかった人」だと思うんですよ。
失敗して、自信を失って下を向いてるときこそ、まわりが褒めて前を向く手伝いをしてあげなくちゃ。
ほとんどの人はうまくいってないとき、自分はダメなやつだなあ、ここから逃げ出したいなあってなっちゃう。
だから「デキる人」は自信をつけてどんどん「デキる人」に、「デキない人」は自信を失ってますます「デキない人」になってっちゃうのよ。
今はそうやって、「自分は価値のない人間なんだ」とドロップアウトする人がうまれやすい構造になってる気がするんですよね。
(中略)
「成果」という一つのベクトルだけで評価する会社が多いから、デキない人は自分の価値を見失って苦しくなっていく。
だから会社にも、「守護神」って役職を作ったほうがいいと思うんですよ。
守護神とは、関根さん曰く「この人に相談すれば、絶対に自分のことを肯定してくれる」と思える存在のこと。
一通り共感する記事でして時々読み返せるようにストックしているものです。
先に私は「価値」か「好意」を示さなければ大人は孤独感を感じてしまうと書きました。
しかし、この記事を読んで改めて思うのは「価値」か「好意」が示せる大人は、自分の存在に対してしっかり肯定感を持てているから。
自己肯定感が低い場合には「価値」も「好意」も示せるわけがない。
だからこそ「守護神」という役割について、大人の社会になればなるほどとても必要性を感じるのです。
「大人になるとみんなホメてもらいたい」だったら、みんなちゃんとホメてあげようよ。
特に、重要だと思うことは関根さんもおっしゃっている通り、デキる人ではなく失敗したりして下を向いてしまっている人。
社会全体の方向性としては、少しでもいいので皆が自分の中に「守護神」という役割を宿す。
手垢のついた言葉を利用して言えば「一億総守護神」的な方向性(大人は一億もいないですが)が、現代の大人社会にとっては特に必要なんじゃないかなと。
今回書きたかったことはこんなところです。
UnsplashのJen Theodoreが撮影した写真
【著者プロフィールと一言】
著者:田中 新吾
プロジェクトデザイナー|プロジェクト推進支援のハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)|タスクシュート(タスク管理術)の認定トレーナー|WebメディアRANGERの管理人(https://ranger.blog)|「お客様のプロジェクトを推進する歯車になる。」が人生のミッション|座右の銘は積極的歯車
昔の記事が今の自分にとって役に立つことが時々あります。残しておくことの意味は大きいですね。
●X(旧Twitter)田中新吾
●note 田中新吾
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