私が「バランス・イージー」という椅子をお勧めする理由は、人生100年時代だから。
テレワーク時間の増加をキッカケにして、自宅の椅子を買い替える人がいると聞く。
この動きは、健康になるためのチャンスであり、疫病がもたらした明るい兆しとも言えるのではないだろうか。
前回記事で、
落ち着きのない健康オタクの末路。~焦らずに重要なことをコツコツと続けること~
私が「一生使える」という信念をもつに至ったのが、「バランス・イージー」である。
この椅子の素晴らしさを伝えるために、少し長くなるのだが、股関節痛の治療の話から始めたい。
私の股関節痛の治療が始まってから約10年になるが、最近は改善が感じられるようになってきた。
改善の要因は、この椅子によるものではないのだが、この椅子の機能につながるものである。
もし子供の頃にこの椅子に出会っていたら、股関節痛はなかったかもしれないとも思う。
人間には個体差があるから、私のような症状が出る人は稀である。
実際に通ったいくつもの整体院から、私のような症状は初めて、と言われた。
私のこの症状の改善がそのまま他の方の役に立つのは難しいのだが、ここで学んだことの中に、どこも悪くない方にとって役に立つものがあれば・・・という思いがある。
治療で学んだ人間とは
私が初めに意外だったことは、人間は体を特に意識することなしにバランスよく合理的に使うようにできている、その恩恵が与えられている、と思っていて、確かに大概はそうなのだが、そうでない部分が結構多いということだ。
怪我や体の使い方の癖などによって体のバランスを崩す様を、いろいろなところで目の当たりにするようになった。
学んだことは、生まれた時から多かれ少なかれ骨格の歪みが始まって、20歳を超えたあたりから多かれ少なかれ老化が始まる、という人間の体のしくみである。
そして、歪みや老化がある閾値を超えてしまうと、どこかで不具合が出てきてしまうということ。
なりゆきでは歪んでしまうにもかかわらず、人は歪みの原因にもなる歩き方や座り方について正しい方法を学ぶことがない。
健康についての情報はたくさんあるのに何て欠陥なんだろうか、と感じる。
骨格の歪みが軽んじられる原因には、以下の2つがあると思う。
・骨格が歪んだとしても必ずしも痛みや不具合が出るとは限らないから。
・かなり高齢になってから痛みや不具合が出るから。
ものすごく腰が曲がった老人でも痛みがなく元気に生きているケースがある。
人間の体はある程度歪んだ状態でも、それに適用するように他の関節や筋肉を連動させられる、という機能を持っている。
これを代償機能という。
他の筋肉などが代わりをしてくれる。
歪んでも大丈夫なのりしろがあるのも体のしくみということになる。
ちなみに、股関節を使った正しい(人間の本来機能に即した)歩き方をしている人は少ない。
日本人は特に膝歩きをしている人が多い。
出典:膝の痛み3
膝歩きによって膝関節などに痛みが出ることはあるのだが、正しい歩き方をしていなくても、痛みが出ない人もいる。
私は自分に痛みが出たものだから、他の人の歩き姿勢に注目し始めて、代償歩行の姿勢を羨ましくも冷ややかに眺めている。
人間のもつこの素晴らしい代償機能が、皮肉にも人から予防を遠ざける原因になっている。
人は自分がずーっと健康であり続けると思って生きている。
将来の故障を想像もしたくないし、想像もしない。
目の前のことばかりで、先のことをあまり考えない。
歯の予防でクレンジングに通うように、骨格についての予防をしている人は少ないのではないだろうか?
私もそのひとりだった。
治療で学んだ人間の体とは
私の股関節痛は40代後半から始まった。
最初に通った大学病院では、股関節の隙間が詰まってしまっていて、最後は人工関節しかない、というような診断だった。
私はそれに納得がいかずに、いろいろな治療を受けてきて、今の整骨院は17番目の治療になる。
ここで股関節痛の原因は、「骨格の歪み」にあるというところにようやくたどり着いた。
私の骨格は、たぶん子供の頃から右の図のような骨盤後傾であったと思われる。
出典:「痛みの正体を知り原因を突き止める。これがセルフ理学療法の基本!」
大学時代の鏡に映る自分を姿勢の違和感を数年前に思い出した。
どうやっても股関節の前側がまっすぐに伸びずに、お尻が少しだけ後ろに出る格好にしかならなかった。
社交ダンスのサークルに入ったのだが、社交ダンスには致命的な姿勢(骨格)だった。
この姿勢によって、股関節がはまる位置が本来位置よりも前側にずれていった。
そして、このずれた前側の位置を長い間酷使したために、そこに痛みが出たという結論だ。
本体の股関節を受け止める位置には軟骨によるクッションがあるのだが、ずれた位置ではクッションがあまり効かないらしい。
そんな骨格のせいで、私のお尻は子供の頃からずーっとテロンテロンで、筋肉がない状態だった。
股関節の位置がお尻側に入っていないから、殿筋(お尻の筋肉)を使うことができない構造だった。
パーソナルトレーナーのところに通ったこともあり、スクワットなどでヒップを鍛えたりしたが、骨格の問題で物理的に鍛えることは難しかったと思われる。
それでも全く支障なくいろいろなスポーツをやってこれたのだが、本来的でないバランスで代償してきたということが今になってわかって驚いた。
ちなみに、今現在は骨格が変わってきたことで、自分史上もっとも殿筋が発達した状態になった。
ではなぜ、子供の頃から骨盤後傾になってしまったのかというと、ひとつには腰を丸めた姿勢にあったと言える。
骨盤が立った凛とした座り姿勢なんてものは感覚的にいい子過ぎて、気持ち悪く、不良っぽい骨盤後傾の姿勢をカッコよいと思った、というしようもないメンタルによって、腰を丸めた姿勢は始まったのかもしれない。
それに加えて、骨盤後傾姿勢の方が起立筋などの筋肉を使わないから楽になってしまったということもあったのだろう。
今にして思えば、受験勉強から社会人の仕事までの座る時間といったらとてつもない長さになっている。
当然ながら、私のように骨盤後傾姿勢で長時間過ごしてきた方でも、このような股関節痛にならない方は多いのだろう。
私の場合、生まれつきの股関節の形状の悪さ(たぶんずれやすいなどでバランスがベストではなかった)がもうひとつあって、それに骨格の歪みが加わって痛みが出たものと思われる。
現在の整骨院では、体の骨格を正常化する(骨盤後傾の改善含む)治療をしていただいている。
ちなみに、様々なところが歪んでいくのが骨格の宿命とも言えるのだが、その中で骨盤が屋台骨でもっとも重要なのだそうだ。
骨盤が歪むことから始まって、それによって腰以外の別のところにも痛みが出ることが多い。
ところが、大元の骨盤には手をつけずに痛みが起きた部位を最初に改善しようとする治療が世の中に多いという。
患者が痛みが出ている部位の解消を真っ先に望むから、やむをえないところもある。
特定部位の改善は、根本改善にならないことが多い。
体の全体バランスが重要で、時間がかかるが、大元の骨盤の改善を優先させなければならない。
ところがである。
今度は正しい骨盤(骨格)に一気に変えてしまうと、体はビックリしてしまう。
代償をしてバランスをとっていた体、そしてそれをコントロールしていた頭が対応できずに、かえって体調が悪くなってしまうと言うのだ。
歪んだ骨格で代償してきている体の秩序は、新参者の正しい骨格に激しい抵抗を見せる。
身体の中で戦いが起こっている。
だから、治療は時間をかけてだましだまし正しい骨格に誘導していくようなものになる。
先生は、右利きを左利きに変えるようなものだ、とも繰り返し伝えてくれている。
挫折する人、これは代償していた体に戻ってしまう人のことだが、こういう人も多いらしい。
先生は鋭くて、私のウォーキングが不足した時にはそのことがすぐにわかってしまう。
血流がいいと治療の反応が早いから、体の反応の速さによってわかるのだという。
人間の血流が重要であることを、ここでも確認できる。
そして、人間の体はこんなにも複雑にできているんだ、とまざまざと感じるのだ。
人が変わるということ
治療を続けていく途中で、どうしても調子が上がらない時期があった。
調子というのは波のように毎日変化するものだ。
傾向を見ると調子が悪くなるのは長時間デスクワークをした後であることがわかった。
その時に整骨院の先生から、座り方について骨盤が立つような姿勢を指導された。
お尻の方を高くすることで骨盤が立つ姿勢になるという簡単なものだ。
私は、この姿勢を教わった時には、新鮮でもあったし、股関節がいい感じになったので、まじめにやっていた。
ところが、そのうちに姿勢がおろそかになったことがあった。
姿勢なんか重要じゃないだろう、それよりもお金を払っている治療自体が重要だ、治療で治してもらわないと!、というような気持がどこかにあったように思う。
そうしていると先生に、
「チャンとした姿勢で座ってますか?」
と言われた。
チャンと座っていないことが見透かされていた。
それでもう一回姿勢を意識したところ、調子はよくなった。
私は、このように、気を抜く→調子悪い→指摘を受ける→改心する、ということを何回か繰り返してきた。
最近先生に言われていることは、
「足(下半身)が痛かったらその逆(上半身)を疑え!」
というものだ。
これは体の筋肉がいろいろ連動していて、動作はその一連の動きで行われているから、というもの。
股関節周りの不調が、肩甲骨周りの動きで改善されたりする。
これも初めて聞いた時に、何となくそういうものだろう、と思ったくらいだったが、すこしずつ腹落ちするようになってきた。
各部位の問題は、体全体のバランスで考えないとならない。
「知る」ことは簡単にできるが、本当の意味で「分かる、理解する」更には「納得する、腹落ちする」ということはまた別のことなのだ。
このことを治療が実感させてくれた。
本当の意味で納得しないと人は変わらない。
それから、整骨院での治療は習慣とともにある、ということだ。
日頃の血流の良さが、治療に影響するように、習慣が悪いと治療の効果も泡に消えてしまう。
私は、「治療=有料の単発イベント重視」あるいは「医者依存」に偏重していたようにも思う。
ここからの治療はセッションである、と先生は言っている。
これは、治療そのものだけではなく、患者の考え方、理解、そして習慣の全体を合わせたものが治療である、という意味だと思う。
調子には波があり、治療によって直線的に改善していく症状ばかりではない。
この波に対して人は、調子が悪くなったからといってネガティブになってみたり、ちょっと調子がよくなったら、緩んでしまうものだ。
「治らないかも」と思っている人は、治りづらい、とは先生から何回も聞く話だ。
患者も人間の体を学んで、自分の状態を正しく把握した上で、自らも積極的に治療に参加しないと治るものも治らない。
これらのことは、他の疾患の治療にも、さらに言えば、全く別のすべての課題への取り組みにも共通することだろう。
さて、人は急には変わらないと言われるが、臨死体験や刑務所生活などの大きな出来事を経験した人だけが、変わる、とも聞いたことがある。
ある意味、私も「人が変った」と言っていいのではないだろうか。
確かに「オーバーな・・・」と言われても仕方がない。
なかなか伝わらないとは思う。
私の場合、お尻にチャンと体重が乗る、ということが今までなかったが、それを初めて感じて重心が腰を通り体重が腰に乗っかる、と感じるところまで至った。
体重が腰に乗った感覚はいつ以来のことだろうか?
歩く時に使う筋肉も以前とは全く違うものになった。
全く違う生き物になったような感覚だ。
先生が、ある時、
「マトリックスみたいでしょ!?」
出典:1999年公開『マトリックス』の衝撃 バレットタイム大流行、DVDミリオン達成…ブームを振り返る
と言ったことがある。
重心がもっと後ろでいい、もっと後ろでいいのだという感覚は、私にとってこのマトリックスの画像とつながった。
正しいとされる位置は、私にとってあり得ないほど後ろの位置に感じられたのだ。
もちろん、その位置に乗った姿勢を鏡で見ると非常にキレイな姿勢なのである。
かなりの違和感、想像以上の古い自分の抵抗をくぐり抜けてきた末のことだ。
私はまだ途上にはあるが、今やっと、
「変わる、ということはこういうことなんだ」
「右利きを左利きに変える、とはこれだけ大変なのことなんだ」
と感じられるようになった。
お勧めの椅子
前置きがかなり長くなってしまったが、私がお勧めするバランス・イージーはこちら。
出典:ラクに姿勢がよくなる椅子|バランス イージー バランスラボ
この椅子は先生が以前に勧めてくれたバスタオルで骨盤を立たせる座り姿勢をそのまま実現してくれる椅子である。
商品コンセプトとして、以下のようなものが書かれている。
・歩くような状態で座る。
・これからは、椅子を体に合わせる時代である。
ひとつ目は、正しい歩く姿勢は骨盤が立ったものになるから、そのままの状態で座る、という意味合いだろう。
そして、ふたつ目は、世の中の椅子のほとんどが体が椅子に合わせるものであるのに対して、この椅子は椅子の方が体に合わせた設計になっている、ということのようだ。
人類の歴史は肉体労働が長い時代が続いたが、その時代のわずかな休み時間に座る椅子というものと、現代の1日ずーっと座る椅子では、その形状が変って当然である、という前提がある。
座る時間が長くなった現代に合わせた椅子が必要であるというメッセージがある。
どちらも一読して「なるほどー」と唸ってしまった。
サイトを見ると「お子さんの集中力が高まった」というユーザーレビューがある。
私も使い始めて、座り直しがほとんどなく姿勢が安定していて、意識の集中が高まっているようだ。
結果、パソコンで打っている文字数が格段に増えている。
座った状態は、骨盤立位という型に入れて焼かれるセラミックのようだ。
骨盤立位に矯正されてその名残のままに、歩きで骨盤立位を体になじませるといった良い循環が起こっているように感じる。
今まで良いとされていたタオルをお尻の下に入れて座る姿勢も座っている途中でずれてしまうから不十分である。
治療で築いてきた骨盤立位の骨格を座ることでまた元に戻してしまっているとまでを感じてしまい、もう元に戻れなくなった。
重心がお尻側へお尻側へ、私の中でのマトリックス側にドンドン押されて、歩きも安定してきているように思う。
この椅子を使用する上での注意点も伝えておきたい。
●血流が大切なので体を動かすことは必須である。
座る時間が長いと血流が悪くなると言われるようになった。
この椅子には血流改善が期待されるとあるが、いくら椅子がいいからと言って座ったままではよくないので、以下の動きもセットにして使いたい。
・座っている途中でも足先をモゾモゾと動かすこと。
・座っている途中で、手を上げたり、肩を回したりすること。(上半身、下半身の連動)
・30分に一回程度は立つこと。
●既に骨格が歪んでいる人は、骨盤の歪み改善の施術とセットにしないと難しいということ。
既に骨盤が歪んでいる人は、この椅子に座ることがかなりの苦痛になる場合が予想される。
正しい骨格に矯正されることは、代償する骨格の抵抗を受けるからで、この椅子だけで矯正しようとするのは難しく、避けた方がいい。
治療は習慣とともにある。
現代生活で誰しもが時間を長くかけている行為、それは「座る」こと。
この長時間の習慣こそが大切にされるべきことで、骨盤を立てた姿勢の維持は、骨格の中で最も重要な骨盤の歪みを抑えてくれるものだ。
人生100年時代は素晴らしいことだが、一方では簡単に死ねなくなるから、新たな問題が生まれる。
寿命が長くなると、歪みの閾値を超えて痛みが現れる可能性が高まる。
ということは、骨格が歪んで痛みが出る期間が長くなってしまう、ということになる。
医学では筋肉も内臓に指令を出していたりするし、運動ができなくなると体のバランスが崩れて、他の疾患も出てきてしまう。
寿命ではなくて健康寿命が大切と言われるように、痛みがあったり、体を動かせない生活では長生きしても幸せではない。
このような体のしくみを知ると、歯の矯正と同様に、いや、歯の矯正よりも優先して骨格の歪みの矯正、骨格歪みの予防が必要になる時代なのではないか、そんな風にも思う。
この椅子は、人生100年時代の疾患予防に不可欠なアイテムだと思う。
私のように壊れてしまってから変えることは見ての通り大変に手間がかかる。
壊れる前に是非予防してほしい。
投資コスト)100年使う場合、約1.1円/日
【著者プロフィール】
RYO SASAKI
痛みがなければ、こんなに面倒なことはなかったでしょうけれど、痛みのおかげでようやく知ることができるものがあります。
痛みがない方にとっても何らかの気づきになれば幸いです。
工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。
現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。
ブログ「日々是湧日」
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