田中 新吾

習慣を続けてくためには「ほんの少しの理由」を大事に磨き続けるための習慣や仕組みが必要。

タナカ シンゴ

日本を代表するベストセラー作家村上春樹さんは「走る人」としても知られる。

この記事を書いている時点でその年齢は74歳。

33歳で走り始め、40年以上毎年フルのレースに出場するれっきとしたランナーだ。

そんな村上さんの著書「走ることについて語るときに僕の語ること」は、走ることや書くことを続けている今の私にとって心の拠り所の一つになっている。

この本がすごいのは至言だと思える言葉があり過ぎるところだ。

例えば、以下の言葉。

同じ十年でも、ぼんやりと生きる十年よりは、しっかりと目的を持って、生き生きと生きる十年の方が当然のことながら遥かに好ましいし、走ることは確実にそれを助けてくれると僕は考えている。

与えられた個々人の限界の中で、少しでも有効に自分を燃焼させていくこと、それがランニングというものの本質だし、それはまた生きることの(そして僕にとってはまた書くことの)メタファーでもあるのだ。

ここを読むと私はもう走らずにはいられない。

村上さんは自分の仕事と生活を貫くコンセプトを「ランニング」というメタファー(隠喩)で獲得しているのだろう。

そして、幾つもある至言の中で特に拠り所としているのが以下の箇所だ。

日々走ることは僕にとっての生命線のようなもので、忙しいからといって手を抜いたり、やめたりするわけにはいかない。

もし忙しいからというだけで走るのをやめたら、間違いなく一生走れなくなってしまう。

走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。

僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。

暇をみつけては、せっせとくまなく磨き続けること。

これは日々何かしら継続することに一生懸命取り組んでいる人であれば、きっと心に響く内容なのではないだろうか?

私には少なくともそう思えてならない。

「走る」の箇所を自分の頑張っていることに置き換えてみればいい。

「ほんの少しの理由」を思い返して日々頑張り続ける。

そうすることが「ほんの少しの理由」を磨いてくれる。

「ほんの少しの理由」を思い返さないと、村上さんのいう大型トラックいっぱいぶんのやめるための理由にいつの間にか覆い尽くされて続けるのをやめてしまう。

続けたいことを続けられるように、自分の懐の取り出しやすい場所に常に入れておきたい本当の本当に至言だ。

自分のアイデンティティと接続されていればいいのではないか?

もう2年以上も前のことだが、習慣を続けていくためには「自己のアイデンティティ」つまり「自分が信じているものと紐づけること」が重要という趣旨の記事を書いた。

参照:「やる気」があれば習慣を始められるかもしれないが、習慣を続けられるのは「自分のアイデンティティの一部」になった時だけ。

人間の行動にはたいていの場合、自分のアイデンティティが反映される。

したがって、私たちの行動は、意識的であれ無意識であれ、自分はこういうタイプの人間だと信じていることを示している。

ある研究によれば人間は自分のアイデンティティのある側面をいったん信じたら、その信念に合うように行動しがちだとある。

「自分は有権者だ!」と思っている人は、ただ「投票したい」と言っている人よ、投票する確率が高いそうだ。

同様に「運動」がアイデンティティの一部である人は、トレーニングするように自分に言いきかせる必要がない。

「自分が正しい」と思うことを行動に移すのは意外と簡単だ。

ゆえにアイデンティティと行動が完全一致すればもう行動変化を追い求めなくてもよくなる。

「これが自分だ!」と信じているタイプの人らしく行動するだけでいいのだから。

ざっくりとこんな感じの記事を書いた。

そして、そこから時間が経過した今もなお「自分が信じているものと紐づけること」は習慣化において極めて重要な要素として捉えている。

今習慣になっている「白湯(さゆ)」も「ブログ」も「ランニング」も「鼻呼吸」も、そして最近トライしている「ノンカフェイン生活」も。

いずれも自分が信じているアイデンティティとしっかり紐づいている。

だからこそ続いているという実感だ。

しかし、今同時に思うのは、自分が信じているものと紐づいていればそれだけで習慣が続くとは思わないということ。

アイデンティティと紐づけるのは大前提に、紐づいたものを何年も続けていくには村上さんの言う「ほんの少しの理由」を大事に磨き続けるための仕組みが必要。

これが習慣にしたいと思ったことに取り組み、複数を習慣化できている現時点での私の意見である。

思うに、習慣にしたい物事を取り巻く「環境」が遥かに習慣化には重要だ。

「ほんの少しの理由」を大事に磨き続けるためにやっていること

そんなわけで「ほんの少しの理由」を大事に磨き続けるために私がやっていること(用意している環境)をここで幾つかご紹介してみたい。

まずあらゆる習慣の継続に効いていると思うのが「日記」だ。

参照:30代半ばになって偶然、自分にあった「日記の書き方」を見つけた、という話。

とても地味ではあるが、日記は「なぜ私はこの行動をしているのか?」について自問する機会にもなっており、これが「ほんの少しの理由」を磨いてくれている。

日記を書くことが次の行動のトリガーになっているのだ。

ちなみに最近では「ChatGPT×VoiceIn」という組み合わせで日記を書くことにもトライしている。

ChatGPTをインタビュアーにして「今日の日記としてやったことを箇条書きで記録しておきたいと思います。インタビューしてもらえますか?」と指示を出す。

インタビューの内容に対して「VoiceIn」で音声入力を行う。

最後まとめて下さいで今日やったこと日記は完成。

タイピングで日記を書くという言ってしまえば面倒な行為が、それとは異なる体験に変わるため結構気に入っているやり方だ。

次に、ランニングや鼻呼吸の習慣を続けることには今装着している「スマートウォッチ」がウルトラ効果を発揮している。

使っているのは「HUAWEI WATCH GT Runner(以下GTランナー)」。

2022年1月からの相棒だ。

スマートウォッチでいくと「Applewatch」に次いで2台目になるのだが、このGTランナーはApplewatchの難点だと感じていたバッテリーがまったく減らない。

様々な生体データを取得するには常時スマートウォッチを付けていることが求められるのに対して、Applewatch時代はすぐにバッテリーが無くなるためなんだかんだ常時付けることができなかった。

しかしこの点、GTランナーはフル充電から最大14日間持つ。

これによって入浴時だけ外して、時々充電してそれ以外はずっと着用しているという状況が実現できている。

これにより自身の走力、毎日の歩行数、睡眠の状態などが客観的に分かるベースが出来上がっているのだ。

そして日記と同じように、溜まったデータを見返す時間が「ほんの少しの理由」を磨くことに繋がり、次の行動を後押ししてくれている。

今やもう外せないテクノロジーである。

最後に「DAYS」というスマホアプリも地味に効いていると思う。

このアプリがなかなか優秀で「あと何日」と「あれから何日」をいい感じに管理できる。

あと何日 カウントダウン&カウントアップタイマー

例えば、80歳まであと何日なのか、デカフェ生活をはじめてから何日なのかなどを、設定しておくだけで見たい時にいつでも見返すことができるのだ。

これも私にとっては「ほんの少しの理由」を磨くことに間違いなく影響している。

以上が、やめるための理由に押しつぶされないように「ほんの少しの理由」を磨き続けるための私が実践している習慣や仕組みである。

何かの参考になれば嬉しい。

UnsplashHunter Bryantが撮影した写真

【著者プロフィールと一言】

著者:田中 新吾

プロジェクトデザイナー|プロジェクト推進支援のハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)|タスクシュート(タスク管理術)の認定トレーナー|WebメディアRANGERの管理人(https://ranger.blog)|「お客様のプロジェクトを推進する歯車になる。」が人生のミッション|座右の銘は積極的歯車

何かを続けることに取り組んでいると、やめるための理由が本当にいっぱいあることを知ります。

●X(旧Twitter)田中新吾

●note 田中新吾

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