「かかっている」という言葉で気づいた自分の性分とそこから見えるもの。
この前、「かかっている」という言葉をお笑い芸人が使っているのを聞いて、その響きに新鮮さを感じたことがあった。
便利な世の中になったものだ。
「かかっている」の意味を調べてみると、それを丁寧に解説しているものがすぐに見つかった。
大切な仕事の時や大先輩の前でハリキリすぎて、不自然なほど前のめりになったり、から回っている状態
「かかっている」にはいくつか意味があるようだが、私が聞いた「かかっている」はどうやら悪い意味合いのものだったようだ。
参照:【芸人用語】『かかる・かかっている』の意味と使い方について【お笑い】
そう言えばこの言葉に限らず、お笑いで使っている言葉が一般にも使われているシーンをチラチラと見受けるようになった。
「ヤバい」
「裏回し」
などなど。
こんなに丁寧な解説があるのならばこれもあるんではないか?と思ったのがお笑い用語集。
やはり存在していた。
参照:「どこよりも分かりやすい!」お笑い芸人に関する専門用語集【随時追加】
お笑い用語にも一般の人の生活を豊かにする言葉がたくさんあるように思った。
さて、「かかっている」という言葉は競馬用語からきているらしいが、それを人にも展開させて使ったということ、これがまずは素晴らしいし、短いフレーズで複雑なニュアンスを共有できることは非常に豊かなことだとあらためて思う。
今回、この「かかっている」という言葉に引っかかったことで、私のいろいろな記憶を思い出すことになった。
思い出した私の記憶は何ともたわいもないことなのだが、「かかっている」という言葉で、私は私を知って、私がすこしだけ豊かになったように思う。
「かかっていた」自分を思い出す
「かかっている」という意味合いがわかったら、いい大人が「かかっている」というのは恥ずかしいし冷静でありたいと思うわけだが、その思いとは裏腹に「かかっていた」自分をドンドン思い出し始めてしまった。
〇キャベツにかかっていた
〇サプリメントにかかっていた
〇ゴルフにかかっていた
〇毒を摂取しない生活にかかっていた
〇世の中不信にかかっていた
上記の「かかっている」という言葉の使い方としてはどれも正しくないかもしれない。
それでも夢中になって空回りする自分を表現するにはピッタリの言葉として紐づいた。
子供の頃、キャベツが好きで毎回山盛り食べていたところ、ある時に気持ち悪くなってキャベツを一切受け付けなくなってしまった。
サプリメント歴にすごい変遷があって、マルチビタミン、セサミン、一酸化窒素NO(血管を柔らかくする)、グルコサミン・・・、更にはドイツ在住の方から直接サプリを取り寄せたこともあった。
ゴルフは、それだけが生きる楽しみという時期が長くて、自分の体型や打ち方に合ったマイクラブも作ったことがあったし、長期にわたって練習もラウンドもかかすことはなかった。
後半は、はるばる神奈川県のはずれに在住するコーチに毎週通うまでになっていた。
レッスンビデオは未だに家に山のように残っている。
人工の化学物資、保存料、農薬などの摂取が排毒機能を上回ることで体に溜まってしまう。
これが免疫低下につながりさまざま病気の原因になる、と聞いてコンビニ・スーパーに一切行かずに通販で取り寄せる生活になったことがあった。
野菜は有機栽培に留まらず、自然栽培(完全無農薬)でないと毒があると聞きつけ、ワインも二酸化硫黄SO2無添加のナチュラルワインを探し回った。
今はコンビニもスーパーも使っているのだが。
数々のドキュメンタリー映画を見て回った時には、演出された戦争、フェイクニュース、政府内の不正などをよく見ることになって、世の中不信に陥った。
アメリカの不正選挙?の噂を聞いてその不信はピークに達した。
これら以外にもランニング、冷えとり、サウナなどなどかかってきたものはまだまだある。
何て夢中だったんだろうか?
何というエネルギーだったんだろうか?
今となっては苦笑いしかない。
今自分を振り返ってみて
夢中になったら猪突猛進。
言い出したら聞かない。
自分には、一種の興奮状態のタイミングがいくつもやって来ているようだ。
まさに、チョイチョイかかってきたんだなあと思う。
いいと思ったら我慢できない子供のような自分、その若さ、落ちつかなさが見えてしまう。
もっと冷静に向き合える人もいるだろうに、とも思うのだが残念ながら誰からか強制されたわけではなくて、自分から湧き出た思いで選択してきているので、そういう性分なんだと認識せざるを得ない。
ここまで好きなことをやってこれているのは贅沢なことなのかもしれない。
これだけ集中できることは、幸せなことだったのかもしれない。
徹底してやれる、と言えば素晴らしいことのようでもある。
でも周りに違和感を与えて、迷惑をかけてきた面も否めないのだ、とも思う。
この自分のかかっていた状態が、時を経てどうなったかをたどってみると、キャベツからもサプリメントからもゴルフも毒の非摂取からも世の中不信からも、一定の距離を置くようになった。
ものによって距離間に差ができるのだが、全体傾向としてはそれらを否定するように変わったのではなく未だに好意的な面も持っているが、熱が冷めたというのか冷静に見られるようになっているように思う。
夢中で取り組んだことが新鮮なものではなくなって、当たり前のものになっていくのは私に限らず一般的なものかもしれない。
とにかく新鮮だったものはすぐそこにあるものとなり、何が何でも、というものではなくなった、という感覚に変わっていく。
興奮して夢中になった後に、そこから時間とともに当たり前になって熱が冷める、という流れまでが私の変わらない性分なのだと思う。
自分の性分にこれからもつきあっていく
最初にできた自分のスタイルをずっと変えない性分の人もいれば、あれやこれやと飽きっぽく変わっていく性分の人もいる。
夢中になって、あるところで冷める、を繰り返す私の性分はどちらかと言うと飽きっぽい方なのかもしれない。
それでもこの性分とつきあっていかなければならないから、最後に自分を慰めるようにこの性分を何とか好意的に捉えてみたい。
興奮して人は動き始めるものなのだ。
未知の宝石が見つかった!
というような興奮。
年をとると当時なんでそんなに興奮したんだろう?なんでそこまで頑張れたんだろうと思うことが多々ある。
若い頃のその無知さが発見した宝石を実際よりも美しく見せることがあるが、その勘違いが頑張れることにつながっていたりもする。
それでも、いや、それだからこそ、興奮に素直になって自分が納得いくまでやってみる、でいいのだと思える。
無駄だったかなあ?と思えることもあるにはあるが後悔はしていない。(するまい)
経験できるものならばやった方がいい。
経験しないで頭でわかったようになってはもったいない。
とにかく経験してみると景色が変わるのだ。
私のこの性分にはこれまでの常識にはない新しい極端なものに興奮して飛びつくという要素も含まれる。
極端なものに夢中になり、その経験から夢中になる自分をすこしだけ上から眺められるようになり、極端への付き合い方を方向修正し、いい距離に落ち着くという感じだ。
これは、私なりのアウフヘーベンというものなのではないだろうか?
アウフヘーベン(止揚)
:あるものをそのものとしては否定するが、契機として保存し、より高い段階で生かすこと
これは自分への励ましが行き過ぎて、調子よく話を大げさにしてしまっているかもしれない。
常識を否定して極端に飛びつき、その極端もまた否定して、向き合い方を調整していくのだ。
私は、これからも年だからといって恥ずかしがらずに極端なことに興奮して、当たり前のものとして捉え方向修正していく、これを繰り返すのだと思う。
これは、どうでもいい、と思える範囲が増えていく方向でもあって、悟りの方向と言えるのか?あるいはこれを成長というのか?はたまた老化というべきなのか?
そしてその行く先は本当にヘーゲルの言うアウフヘーベン(止揚)と言えるのか?わからない。
何と評価しようとも、とにかく興奮したならばその興奮に飛び付き経験していくしかない。
あることには興奮しなくなって、また別のあることの興奮を感じていくのだ。
そう、この性分の自分を肯定して折り合いをつけていくしかない。
それでいいのだ。
キッカケはいろいろなところに隠れている
今回いろいろ考えるキッカケになったのは「かかっている」という言葉だった。
このようなちょっとしたことが新しい何かを考えるキッカケになったりするものだ。
周りにはいろいろなことの蓋を開けてくれるキッカケが溢れている。
何を感じるかは人それぞれ。
このような些細なことであっても、自分なりのキッカケを大事にしていきたいものだ。
Photo by Subtle Cinematics on Unsplash
【著者プロフィール】
RYO SASAKI
最近人づてに、人間の身体にある60兆個の細胞は30%程度しか活動していない、という話を聞きました。
この細胞をどうやって動かしたらいいのか?今度はこれにかかってしまいそうです。
工学部を卒業後、広告関連企業(2社)に29年在籍。 法人顧客を対象にした事業にて、新規事業の立ち上げから事業の撤退を多数経験する。
現在は自営業の他、NPO法人の運営サポートなどを行っている。
ブログ「日々是湧日」
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