田中 新吾

「時間を確保して向き合う」と、自分で自分にしっかり「フィードバック」をかけられる。

見たり、聞いたり、やったりというほとんどの行動はその後に自分に対して「甘いフィードバック」がかかるに留まってしまう。

例えば、

「文章を書いた、でもあまりうまく書くことができなかった」

「左足でボールを蹴った、左足で蹴るのは難しい」

「漫画を読んだ、この漫画は面白いかもしれない」

といった具合だ。

どれも自分の行動に対しての検証がなされ、自分に対してフィードバックがかかっていることにはなるのだがいずれのフィードバックにしても甘い。

とった行動に対して少しだけ誤差修正をする程度である。

これだから行動変容が起きるようなこともほとんどない。

一方、生きていると他者の介在によって下のようなしっかりとしたフィードバックをかけてもらうこともあったりする。

例えば、サッカーをやっている少年がいたとする。

その少年が憧れのクリスチアーノ・ロナウドにNIKEのイベントで「今のプレー最高だったぜ!」と言われたら、きっと一生サッカーを続けることになるだろう。

そしておそらくNIKEの商品も長く買い続ける。

例えば、noteに記事を書いていて、何かのイベントでキングコングの西野さんに会って、「君が書いた記事読んだけど凄い面白かったよ」と言われたら、多分記事を書くことを一生辞めることはないだろう。

そしておそらくnoteから離れることもない。

極端な例だったかもしれないが「他者にかけてもらうフィードバック」というのはこのくらい大きな影響を及ぼすこともあるのだ。

このように行動に対して検証をしっかり行い、しっかり(質と量)としたフィードバックがかかった場合に行動変容は起こり、それによって私たち人間は成長していく。

人が失敗をするメカニズムと、失敗を活かす組織の在り方について書かれた名著「失敗の科学」の中にもそれは書かれている。

これを読むとどんな分野にしても「検証とフィードバック」をしっかり行うことこそが成長したり、あるいは進歩したりする上で重要なことがよく分かるだろう。

自分自身に最も厳しい鬼を宿らせる

元任天堂のデザイナー前田高志さんも「デザインというのは、フィードバックという修正と改善の繰り返しで効果が最大化される」と述べている。

前田さんが書いた「鬼フィードバック」という本に最近目を通してみたのだが、デザイナーとの間で行われる具体的なフィードバックラリーが示されていて大変勉強になった。

「鬼フィードバック」と聞くと「すごく厳しいことを言われそう」と思う人も多いだろう。

もちろん厳しいは厳しいのだが、きつい言葉が飛んでくるという意味での鬼ではない。

前田さんが実践されているのは「膨大な数のラリーを繰り返す」という「数の意味での鬼」なのだ。

※このような「ラウンド」が何回も何回も繰り返されていく様子が本書で確認することができます。

前田さんの「鬼フィードバック」を受けられたデザイナーの方々のコメントが幾つか掲載されていたので一部ご紹介したい。

(サムネイルに鬼フィードバックをしてもらったデザイナーのAさん)

「鬼フィーを体験してみて感じたことは、1回の鬼フィーでスキルが上がるのではないかということ。頭フル回転で考えるだけでなく、デザインの先の先を見ていくというか、なんのためのデザインなのか、誰に届けたいのかということを再度考えること。1枚の画像なんだけど、そこに込めていく想いが、デザインの見えない奥行き(厚み/重さ)を出しているような感じがしました」

(バナーに鬼フィードバックをしてもらったデザイナーのBさん)

「最終的に出来上がったものと、はじめに作ったものを比べると、まったく違うものになりました。自分の手でこうして形にできた嬉しさが明日反面、最初から凝り固まって動かなかった部分があって、それに気付けなかったことが悔しかったです。もっと自分自身で、柔らかく色々な変化を付けられるようになっていきたいと思いました。」

このコメントを読むだけでも、鬼フィードバックを受けたデザインの成長、ひいてはデザイナーさん自身に成長があったことが分かると思う。

そして私は前田さんが本書の最後に述べていたことが鬼フィードバックの実践の先にあるゴールだと解釈した。

それが、

自分自身に最も厳しい鬼を宿らせること

である。

鬼フィードバックを提唱し実践する前田さんが目指すところはつまりはここなのだ。

自分自身の中に最も厳しい鬼を宿らせ自分自身で鬼フィードバックをかけられるようにすること。

これには私も大いに納得がいった。

自分自身の中に厳しい鬼を宿らせることができれば、他者から受けるフィードバックの時間以外も自分の行動に対してしっかりとしたフィードバックをかけることができ、多くの時間を使って自分を成長させることができると思うからである。

自分で自分にしっかりフィードバックをかけるには時間をちゃんと確保して向き合うこと

私自身、自分で自分にしっかりフィードバックをかけることについて、あれやこれやと試行錯誤してきた。

検証とフィードバックによって人は成長することはよく理解できてきた →

ということは、他者からフィードバックをかけてもらえない時でも、自分で自分にしっかりとフィードバックをかけられるようになったら多くの時間を使って自分を成長させることができるはず →

では、自分で自分にしっかりとフィードバックをかけるにはどうしたらいいんだろう?? →

これはどうだろう?あれはどうだろう?

という感じのことを行ってきたのだ。

そして、このような取り組みがあったからこそ、前田さんの「自分の中に厳しい鬼を宿す」についても強く共感することができたのだと思う。

思考錯誤してきた中で、現時点で私が重要だと思うものを一つ取り上げたい。

何かというと、自分で自分にしっかりフィードバックをかけるには時間をちゃんと確保して向き合うこと、というものである。

個人的に思うに、自分で自分にしっかりフィードバックをかけることはなんとなくできるようなものではない。

そうするためには「ちゃんと時間を確保して向き合うことが大事」なのだ。

例えば、私には月に一度、今利用しているサブスクなどのWebサービスをチェックする習慣がある。

自作の「サービス管理」というシートがあり、そこに自分が今契約しているサービスとかかっている費用をすべて見える化しているのだ。

そして月に1回、当月中頃にシートを開きその利用状況と向き合うことをし、サービスの要不要をチェックし不要なものはそこでバッサリ解約をしていっている。

ご存知のとおりこの手のものというのはほとんど勝手に増殖していってしまう。

登録に手間が少しかかるくらいで利用をはじめるのは極めてイージーだからだ。

その結果、気がついたら毎月とんでもない額を払っていたなんてことはザラで、無駄遣いの最たるものだと思う。

しかし、毎月しっかり時間を確保してそれと向き合うことをしてきて私が感じているのは、

何かを使いはじめる時「いや待てよ、これ本当に今登録する意味あるか?」と立ち止まって考えるようになり、すべてではないのだが勝手な増殖に歯止めをかけることができているのだ。

このような行動変容は、シートと向き合うことをする前にはまずなかったことで、向き合うことをするようになったからこそ生まれでたものだと実感している。

そして、こうした経験値を言語化したものが、自分で自分にしっかりフィードバックをかけるには時間をちゃんと確保して向き合うこと、なのだ。

こうやって日々感じたことや考えたことをブログを通して言語化することもまさに「時間を確保して向き合う」であり、ブログを通して自分にしっかりフィードバックをかけている、という解釈にも自分で納得がいく。

「向き合う」ためには「まとまった時間を確保する」ことこそが最重要

つい最近、試聴した社会派ブロガーちきりんさんのVoicyでも偶然にも同じようなことが話されていて「そうそう!」と思ったところだ。

参照:2022/6/13 #607 自らの無駄遣いと向き合おう

現在はプレミアムリスナーしか聴けないようになっているのだが、

「世の中って本当に無駄ばかりでその無駄に気づくためには向き合うしかないと思う。例えば、無駄が存在する最たるところは冷蔵庫。冷蔵庫にしっかり向き合うから気づきがあり、それ以降はだんだんと無駄が減っていく。人間はこういうことをすることで少しづづ成長していくんですよ」

たしかこんな感じの内容でまさしく我が意を得たりだった。

「時間」というのは確保しなければ絶対に生まれないし、まとめようとしなければまとまった時間は確保できない。

したがって「時間がない、時間がない」と言っている人は「私は時間を確保することができない」と明言しているようなもので、タイムマネジメントやスケジューリングがあまり上手ではないのかもしれない?と私は思ってしまう。

そしてこの「時間を確保する」というのは、自分で自分にしっかりとフィードバックをかける上でも極めて重要なことなのだと私は思う。

向き合うことができればしっかりとしたフィードバックが自分にかかる

だからこそ、向き合うためにはまとまった時間を確保することこそが最重要

といった話だ。

かくいう私はつい最近、自分の「リアルな本棚」と久々に徹底的に向き合うことをした。

一番の狙いは整理整頓であったのだが、この向き合いによってもかなり自分にフィードバックがかかり、今後の読書ライフに色々と良い影響が出そうで楽しみなところである。

改めてになるが、成長したり進歩したりする道というのは「検証とフィードバック」をしっかり行うことしかない。

そして、限られた時間の中にどれだけこの仕組みを組み込むことができるかどうかで「変わるor変わらない」が決まってくる。

あとは本当にどれだけ実践できるかどうかだけだ。

Photo by Andre Mouton on Unsplash

【著者プロフィール】

田中 新吾

昔、協力者を増やすためには協力者への「フィードバック」が徹底的に大事だという教えを受けました。

これは協力者の「自分の協力がどんな貢献につながったのか」という関心は自分の想像以上に高いからということでした。協力してくれた協力者のこの関心に応えておくと次の協力も得やすくなるということを実感しているんので、意識して実践しているものでもあります。

中小企業、中小自治体、個人のプロジェクトサクセスを支援しています。人生のミッションは「プロジェクトという挑戦」を応援すること。座右の銘はLife is Projects。自称ネーミングマニア。

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