田中 新吾

思っていても実際に行動する人間は少ない。だからこそ、行動には大きな価値がある。

タナカ シンゴ

先日、東証プライム上場のIT企業で活躍中の知人女性からこんな話を聞いた。

その女性が「新卒」だった時の話である。

聞けば、彼女は最初「営業」として採用されたそうだ。

新卒入社した人間の配属先として営業というのはよくある話だろう。

「まずは現場を知りなさい」「まずはお客さんを知りなさい」という会社の思惑は分からなくない。

現に私が新卒入社した会社で最初の配属先は法人営業だった。

しかし、彼女が真に志望する先は「営業」ではなく「広報」だった。

そして、そんな彼女がとった行動を聞いて私は驚いた。

なんと半年間の新人研修の最中に、人事部の人の力を借りて、役員に配属先変更の希望を直談判したというのだ。

配属希望の資料だけでなく、補足資料も添えたプレゼンを実現。

結果はどうだったか?

その会社では異例中の異例。

新入社員にして「広報」への配属が叶ったそうだ。

同期入社は40名ほどだったと聞いたが、恐らくこのような異質な行動をとったのは彼女だけだったのだろう。

よく言われることかもしれないが、この社会において思っていても実際に動く人間というのは本当に少ない。

彼女の場合、40人に1人であるが、私の経験則的には100人に1人くらいという感覚だ。

つまり、ほとんどの人が「思っていても行動を起こさない」と考えていい。

そしてだからこそ、思いを行動に転換できる人の価値は極めて高く、そういう人は会社から、そして社会から希求される。

言葉が動かすことのできるのは、人(自分も含む)の考えだけでその結果、その人が具体的に動いたときにはじめて現実は動く。

言葉が「現実を動かす」ということはあり得ない。

彼女の話を聞いて私は改めてこんなことを考えた。

新しい切り口のお仕事マンガ「株式会社マジルミエ」

話は変わるが「株式会社マジルミエ」という漫画をご存知だろうか。

現在、ジャンプ+の水曜日更新枠で、新しい切り口の「お仕事マンガ」として注目を集めている漫画だ。

お仕事マンガと言えば、

・ハコヅメ(警察官)

・左利きのエレン(広告代理店)

・宇宙兄弟(宇宙飛行士)

・バクマン(漫画家)

・働きマン(編集者)

・コウノドリ(産婦人科医)

という具合に「実在する仕事」をテーマにした漫画はすぐに思い浮かぶかもしれない。

いずれもがその仕事の魅力を伝えるのに一役も二役も買っている良漫画だ。

一方のマジルミエだが、このマンガが取り扱うのは「実在する仕事」では、ない。

この点が前述のお仕事マンガらと大きく違う点になると言っていいだろう。

マジルミエは、

魔法少女

という現代にはない仕事をテーマにしたSFお仕事マンガなのである。

魔法少女というテーマを現実世界に繋ぎ込むのが物凄く上手い

本作品について簡単に紹介しておきたい。

マジルミエは「魔法少女」という「仕事」が普通に成立する世界を描いている。

この世界で魔法少女は、「怪異(いわゆるバケモノ)」と呼ばれる自然災害の一種を鎮静させ、社会の安全を守る仕事を担う。

数多くの魔法少女カンパニーが存在し、大企業から中小企業まで現実さながらだ。

魔法少女と聞くと、真っ先に想像するのはプリキュアや、まどか☆マギカのような「魔法が使える少女」だろう。

しかし、マジルミエに出てくる魔法少女は実際に魔法が使えるわけではない。

「スイッチを押したら空を飛ぶことができ、ソフトをダウンロードしてスマホみたいにカスタムもできて、化物も退治できちゃうホーキ」

「カワイイ魔法少女の格好に変身することができる社員証」

「倒した怪異をファイルのように圧縮して収めることができるUSBメモリ」

などが「家電製品」のごとく開発されており、その取り扱いが上手い女性が魔法少女(専門職)として活躍しているといった具合だ。

ホーキから出力される「魔法」も、アプリケーションを開発するかのように魔法エンジニアのプログラミングによって生成される。

このように、魔法少女というテーマを「現実の世界」に繋ぎこむのが物凄く上手いのだ。

そして、肝心の「マジルミエ」は「株式会社」とついている通り、記憶力が抜群にいい新人魔法少女「桜木カナ」(本作の主人公)が所属する零細ベンチャー企業の一つとなっている。

就活が上手くいかずすっかり自己価値を見失っていたカナは、ある企業の面接中の怪異退治に現れたマジルミエ所属の身体能力オバケ魔法少女「越谷仁美」と出会う。

幼い頃、女子なら誰でも一度は憧れる魔法少女を目の前にしてカナはマジルミエへの就職を決心する。

越谷との出会いを皮切りに物語は一気に動き出すという展開だ。

「魔法少女に魂を売ったフリフリドレスの変態社長」

「オタクで人見知りで根暗だが凄腕の魔法エンジニア」

「調整役で縁の下の力の持ちの営業マン」

「利益至上主義の大手魔法少女企業の細目社長」

「感情が欠落したエリート魔法少女」

「超美人でハート強強なパートナー会社の魔法少女」

思うに、この作品にハマれるのは、上記のような個性の塊のようなキャラクター達がとてもいいテンポで登場してくるあたりも大きい。

フリフリドレスの変態社長の言葉

そして、もう一つ。

フリフリドレスの変態社長・重本が社員らに向けてかける「言葉」がイチイチ胸にくるのだ。

重本から発せられる言葉からその思考モードを知った読者からは、

「こんな会社で働きたい。」

「見た目はヤバいけど人を見る目が半端ない。」

「マジルミエ、主人公はカナちゃんじゃなくて重本社長なのでは。衣装も一番カワイイし。」

「マジルミエの社長、すきだ」

このように社長・重本への称賛、賛美が止まらない。

そして、そんな重本は第2話「ホーキなんて楽勝だから」の中で「行動できる人の価値は高い」ことを新入社員のカナに向けて言い放っている。

話は、小規模の怪異が発生している場所に、先輩の越谷と一緒にカナが向かうという案件が突然入り込んだところだった。

該当箇所を引用して紹介させていただきたい。

「知っている」人間は多いかもしれない。

しかし「知った」上で「動く」人間は百人に一人だ。

あんな状況なら千人に一人かもしれない。

私も重本のこの考えにはウルトラ同意だった。

思うに「株式会社マジルミエ」は遅かれ早かれ「アニメ化」される。

第一話を読んだ側から「アニメでも観てみたい」と思わせる漫画というのはそうそうあるものではないだろう。

しかし、マジルミエを初めて読んだ私は心の底から「アニメで観たい」と思ってしまった。

読んでいると本当に魔法少女という仕事が現れる未来も想像できなくない。

今後、新しい切り口のお仕事マンガとして是非その価値を高めていっていただきたいと切に思う。

常に言葉よりも行動を

話は戻るが冒頭の知人女性の話についてだ。

新卒から「広報」に配属された彼女は、部の編成は変われども10年以上にわたり、やりたかった広報の仕事に携われたと言っていた。

就職活動や転職時において「花形」とも言われる広報に、それだけの間長く携わるためには間違いなく相応の成果が求められる。

私には基本的に「その人の本当の実力というのは一緒に働いてみないと分からない」という考えがある。

だが、彼女に関していえば、東証プライム上場企業の広報として行動してきた「時」が、一緒に働く前からその実力を十分に審判してくれているように思うのだ。

そんな彼女から新年度になり遂に広報を離れることになった、と聞いた。

そう、部署異動である。

「次の部署はどこになるの?」と聞いてみると彼女は「人事」と答えた。

何を隠そう、新卒の時、彼女の広報配属を裏で支えてくれた、あの「人事部」である。

それと同時に、最年少で「管理職」になることも決まったそうだ。

いやはや本当にすごい。

そしてめでたい。

リーマンショックを予言した知の巨人ナシーム・ニコラス・タレブは、「リスクを冒さず、行動しない知的バカはクソだ」と喝破する。

「常に言葉よりも行動を」

こういうことを再認識させてくれる存在が近くにいるのは、本当に幸せなことなのだなと今あらためて思う。

株式会社マジルミエ【7話】

【著者プロフィールと一言】

著者:田中 新吾

プロジェクトデザイナー|プロジェクト推進支援のハグルマニ代表(https://hagurumani.jp)|タスクシュート(タスクと時間を同時に管理するメソッド)の認定トレーナー|WebメディアRANGERの管理人(https://ranger.blog)|座右の銘は積極的歯車。|ProjectSAU(@projectsau)オーナー。

●X(旧Twitter)田中新吾

●note 田中新吾

ハグルマニの週報

「株式会社マジルミエ」は本当に、今一推しのマンガでして、個人的には「次にくるマンガ大賞2022」の大賞確定だと思ってます。

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